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君といる幸せ(曽芭曽?) 

「曽良くん・・・」

旅の途中、少し前を歩く彼に声をかける。勿論、振り返ってくれるはずもないんだけど。

「そ、ら・・・くん。」

さっきより少し大きめの声で懲りずにもう一回。
振り返るはずもないし、期待するだけ無駄だってこともわかってるのに、やはり口からこぼれるのは彼の名前で。
夜の空みたいに黒くて、さらさらな髪。結構広い背中。細くて長い、綺麗な指。

「曽良、くん・・・」

あぁ、この溢れそうなくらい胸いっぱいの気持ちをどうしたらいいんだろう。
名前を呼ぶだけで、こんなにも幸せな気分になるなんて。

「そ・・・ら、ぐほぁっ!!」

腹に、もう慣れつつある重い痛みが突然やってきた。・・・ついさっきまで、ずっと前にいたのに。行動早男っ!!

「うるさいですよ、芭蕉さん。先程から何なんですか。」

私のためだけに開発したという断罪チョップの構えのまま、曽良くんは冷たい目を向けて問いかけてくる。
私は涙目になりながら曽良くんを見上げて口を開いた。

「ホント容赦ないよね。・・・私、一応師匠なのに。」

「質問に答えなさい。くだらなかったら断罪しますよ。」

曽良くんの目が鋭くなるのが分かった。

「ヒッ!い、言う!言うよ!けど、その・・・くだらない、かも・・・」

「良いから早く言ってください。準備はしておきます。」

こ、怖い・・・!でもでも、言うって言っちゃったし・・・。
思わず、ごくりと唾を飲み込む。

「そ、曽良くんが、さ・・・その、すっ・・・好きだなぁって、思って。」

「は・・・?」

予想外だったのか、理解できないという風に聞き返す曽良くんの声に、私はうつむいて続ける。

「そ、それでっ・・・好きだなぁって、思ったら・・・名前、呼びたくなって。」

うわ、なんか・・・顔が熱い。松尾、結構恥ずかしいこと言ってない?
でも、言うって言ったし・・・はっきり、伝えたい。

「なんとなく、口にしてみたら、なんか・・・凄く、幸せな気持ちになって。もっと、呼びたくなって。あっ、別に振り返ってほしかったわけでも、曽良くん怒らせるつもりもなくて!」

はっとして慌てて顔を上げてフォローしようとしたら、曽良くんは驚いたような・・・戸惑ったような?そんな顔をして微動だにしなかった。

「そ、ら・・・くん・・・?」

どうしたんだろう・・・?はっ!まさか、密かにこうやって力を集中させてるとかっ!?

「・・・あまりにくだらなすぎて、断罪する気も失せました。先を急ぎますよ、芭蕉さん。」

でも、曽良くんは私の言葉で気がついたようにいつもの無表情に戻して、言いながら私の腕を掴んで歩き出した。
あれ・・・もしかして、これは・・・

「・・・引きずられたいんですか?それならそのまま歩きますが。」

その言葉に慌てて歩き出す。けれど、それは口だけだってことを、私と目を合わせないでいつもよりゆっくりと歩く姿が教えてくれた。
様子を伺いながら、そっと手を握ってみる。何の抵抗もなく、曽良くんは歩き続けた。
さらさらと揺れる髪の間から、ほんのり赤い耳が見え隠れする。

・・・うん。本当に幸せってことは、きっとこんなことを言うんだろうね。


――――――――――――――――

誰だろう、この二人。
とりあえず、曽良くんと芭蕉さんではないことは確かです。←
こんなものネットに載せて申し訳ありません。
ほのぼのっぽい話が書きたくなったんです!>_<;
すみません。結局何が言いたいのか書いた私自身、皆目見当がつきません。

こんなものを最後まで読んでいただきありがとうございました。
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