それでもあなたが好きなんです(曽妹)
admin≫
2009/08/20 11:56:39
2009/08/20 11:56:39
夜桜さんのリクエストで曽妹!
ですが…なかなかに難産でした。
書きながら、
「なぜ曽良視点で書き始めた!?」とか
「妹子はもっとこう…なんかキャラ違うだろ!」とか
「曽良くんのSは芭蕉さん限定なんだよ!」とか
「デレデレカップルやないか!」とか
突っ込みを入れていました。
そんな曽妹。
ネタがかぶっていたらすみません。削除します。
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▼納得なんて、出来るはずない▼
「いつまでそうしているつもりですか。」
僕は、体操座りで小さくなってうつむく妹子さんの背中に声をかけた。
もうずいぶん長い間。彼は一言もしゃべることなく、ただじっと座りこんで地面を見つめている。…声が、聞こえないはずないのに。
「妹子さん…いい加減、返事くらいしてくれませんか。」
返事がないと、不安になる。
自分の声は…言葉は、このまま誰の耳にも、心にも届かず響くことはないのではないかと。
「妹子さん。」
以前は、そうやって不安を感じてもただ返事が返ってくるのをひたすら待ち続けた愚かな子供だったが、今は違う。
届いていることも知っているし、こんな時にどうすればいいのかも理解しているつもりだ。
「仕方ないじゃありませんか。誰だって、遣隋使のあなたが聖徳太子といつも一緒にいるなんておかしいと思います。」
「っ…!」
呼びかけるだけではなく、こちらから話題を振ると妹子さんはようやく肩を震わせて反応を示した。
それでもまだ顔をこちらに向けてくれる気はないようで、仕方なく僕は話を続ける。
「彼らだって人間です。おかしいと思ったら、それを解消しようとする。その中ではじき出された答えが」
「わかってます!」
僕の言葉を遮るようにして、妹子さんは声を張り上げた。
…天岩戸を開けるのは、さほど難しいことではない。
「わかってるんです。理屈も…その結果に至るまでの経緯も。でも…でも、納得したくないんです!」
口を開けばあとは簡単。
妹子さんは悔しそうにこぶしを握り締めて、溜めこんでいたものを一気に吐き出すようにしゃべり始めた。
そうなれば僕は、ただ黙って彼の話を聞くだけだ。
「納得、出来るわけがない…僕が、よりによってあんなカレー臭くてアホで変な太子と恋仲だなんて…!!」
「…きっと、彼らも疲れていたんでしょう。」
そう…太子さんが妹子さんを気に入っているのは確かだが、あくまでも上司と部下。もしくは友人、遊び相手といったところだろう。
それを、何を勘違いしたのか朝廷の人たちは妹子さんと太子さんの関係をそう噂していたらしい。
「冗談じゃないよ、もう!大体、僕はっ…」
妹子さんが言葉に詰まり、頬を染めた。
芭蕉さんや太子さんが同じように頬を染めた時は気色悪いと思ったが…
「僕は…なんです?」
「僕は…その…」
視線が宙をさ迷う。
そういう態度、表情にも勘違いされる要素はあると思うが、まぁ今は関係のないことだ。
「妹子さん…?」
続きを促すように名前を呼ぶ。
せっかくなら、彼の口から直接聞きたい。
「僕は…僕は、曽良のことが好きなんです。太子よりずっと、ずっと…曽良と一緒に、居たいんです。」
恥ずかしそうに顔を逸らしての告白。
なんとも妹子さんらしい。
「ありがとうございます。僕も、あなたのことは嫌いではありませんよ。」
それだけ返すと、ほんの少しだけ不満そうな気持ちを宿した瞳で僕を見る。
彼は本当に、僕好みの人間だと思う。
「どうかしましたか?」
「な、何でもっ…ないです…」
気づかぬふりでわざとらしく問いかければ、ハッとしたように目を逸らして嘘をついた。
そんなそわそわした態度で何でもないことないだろうに。
「嘘です。僕も…好きですよ。妹子さん。」
「っ!」
告白は、抱きしめて耳元ではっきりと。
一瞬驚いたように目を見開き、そのすぐ後には幸せそうな笑みを浮かべて僕の服を握り締めてくる。
「曽良は、ずるい…」
「そんなことはないですよ。問題があるとすればあなたのその態度です。」
妹子さんは僕の胸に顔をうずめて呟いたが、こんな態度を見せてくれると分かってて、僕は彼の思いどおりにする気は毛頭ない。
「態度って…!別に僕は特別何かしてるわけじゃ…」
「では、その普通の態度が僕を楽しませているんですね。」
密着した体を少し離して、妹子さんと目を合わせる。相変わらず僕と目が合うと照れるのか、もともと赤かったのに今度は耳まで赤くした。
僕と違って忙しなく変わるこの表情は、見ているだけでもこちらを楽しませてくれる。
「だっ…だから、楽しいとかそういう…」
「妹子さん。」
「っ…」
僕が頬に手を添えて、名前を呼んだらそれは合図。
妹子さんはいつものように戸惑った表情を見せてから、ゆっくりと躊躇いがちに目を閉じていく。
「愛しています、妹子さん…」
耳元で誓うように囁いてから、かすかに震える形の整った唇を奪う。
恥ずかしさから反射的に逃げようとする妹子さんの肩を抱いて、この口付けにあるだけの思いを込めた。
「そら…」
触れ合うだけで唇を離せば、物足りないと言いたげに名前を呼ばれる。
それに応えるように再び唇を重ね合わせるが、与えるのはまた子供のような軽い口付け。
「ん…」
当然妹子さんは物足りなくて、僕の首に手を回して舌を差し出してきた。
それでも僕が反応を示さないと、ムキになって僕の舌に絡ませてくる。
恥ずかしがり屋のわりに、この大胆さは反則だとは思うが、それもまた彼の魅力であると言える。
「っ!…ん、んぅ…っふ…ぁ…」
そこまで来てようやく僕が動き出せば、とたんに彼はそれに身を任せて感じるに徹する。
いちいち僕の好みを突いてくる人だ。
「は、ふ…」
「満足いただけましたか?」
潤んだ瞳でこちらを見る妹子さんに、僕にしては柔らかい表情を見せて問いかける。
「…まだ。」
「あなたは本当に口付けが好きですね。」
物欲しそうに首を振る彼に苦笑して、再び唇を重ね合わせる。
…僕としては、もうそろそろ先に進みたいところだけれど。
「んっ…そら…」
唇を離してすぐ、幸せそうに微笑んで甘えるように名前を呼ぶから、僕はついつい先に進むことをためらってしまう。
「そろそろ、帰りましょうか。暗くなってきましたし…」
妹子さんから離れて、空を見上げる。
「あ…そっか。もうそんな時間かぁ…」
同じように空を見上げて、明らかに声のトーンが落ち込んだ。
「物足りませんか?」
「少しだけ。」
問いかければ、苦笑とともに返ってくる言葉。
思わずもう一度、僕の腕に妹子さんを閉じ込めた。
「そ、曽良…?」
驚いたように名前を呼ばれる。
それはそうだろう。今まで時間を教えた後に僕が彼に触れることは無かった。
触れたら、離れがたくなることは僕自身がよくわかっていたから。
「できることなら、このままあなたを連れて帰りたい。」
気づけば、僕の口は本音を言葉にしていた。
黙っていようと思ったのに、どうやら無理みたいだ。
「太子さんとの関係を疑われているという話を耳にした時…本当に噂だということは理解していました。けれど…そんな噂をされてしまうくらい、あの人と行動を共にしているんだと思って、正直…嫉妬しました。」
「曽良…」
「ならばいっそ、このままあなたを連れ帰ってしまえばずっと一緒に生活できるでしょう?」
きっと今僕は、ひどい顔をしているだろう。
いつものように無表情を装えている自信がない。妹子さんも、困ったような表情を見せている。
「…冗談です。妙なことを言ってすみませんでした。」
なんとかしていつもどおりの表情に戻して、妹子さんから離れ背を向ける。
このまま妹子さんの家まで行ってしまえばいつものように別れることができるだろう。そして、お互いにまた自分のやるべきことをするだけだ。
「待ってくださいっ!」
「っ!?…妹子、さん?」
突然声とともに後ろから抱きつかれる感覚。
首だけで振り返れば、顔を赤くした妹子さんの姿。
「今の、言葉…冗談じゃ、ないですよね。」
「…はい。」
あなたに真剣な眼差しで問いかけられたら、嘘なんてつけるはずがない。
素直にうなずいて、彼の言葉の続きを待つ。
「すごく、嬉しいです。僕も同じように、曽良をこのまま帰さないでいられたらって…思ってましたから。」
「妹子さん…」
お互い、思うことは同じ…けれど、だからこそそれができないことを理解している。
「でも僕たちは、やるべきことがある。」
「えぇ。そして、それは僕たち自身が決めたことです。」
だからこそ、この関係が愛おしくて離れがたく…愛おしいからこそ離れられる。
「…大好きです、曽良。」
「僕も愛していますよ、妹子さん。」
今度はちゃんと妹子さんのほうに体を向けて、目を合わせて告げる。
最後に、あいさつ程度の触れるだけの口付けをどちらからというわけでもなくして、僕らは自分たちのやるべきことをするために歩き出した。
【終】
―――――――――
いろいろと終わりを考えたけど、結局こんな終わりでした。
もう、書いていて曽良も妹子も離れないからどうしたらいいかと考えまくっていました。
夜桜さん、こんな曽妹でよければ…もらってやってくださいwwww
「いつまでそうしているつもりですか。」
僕は、体操座りで小さくなってうつむく妹子さんの背中に声をかけた。
もうずいぶん長い間。彼は一言もしゃべることなく、ただじっと座りこんで地面を見つめている。…声が、聞こえないはずないのに。
「妹子さん…いい加減、返事くらいしてくれませんか。」
返事がないと、不安になる。
自分の声は…言葉は、このまま誰の耳にも、心にも届かず響くことはないのではないかと。
「妹子さん。」
以前は、そうやって不安を感じてもただ返事が返ってくるのをひたすら待ち続けた愚かな子供だったが、今は違う。
届いていることも知っているし、こんな時にどうすればいいのかも理解しているつもりだ。
「仕方ないじゃありませんか。誰だって、遣隋使のあなたが聖徳太子といつも一緒にいるなんておかしいと思います。」
「っ…!」
呼びかけるだけではなく、こちらから話題を振ると妹子さんはようやく肩を震わせて反応を示した。
それでもまだ顔をこちらに向けてくれる気はないようで、仕方なく僕は話を続ける。
「彼らだって人間です。おかしいと思ったら、それを解消しようとする。その中ではじき出された答えが」
「わかってます!」
僕の言葉を遮るようにして、妹子さんは声を張り上げた。
…天岩戸を開けるのは、さほど難しいことではない。
「わかってるんです。理屈も…その結果に至るまでの経緯も。でも…でも、納得したくないんです!」
口を開けばあとは簡単。
妹子さんは悔しそうにこぶしを握り締めて、溜めこんでいたものを一気に吐き出すようにしゃべり始めた。
そうなれば僕は、ただ黙って彼の話を聞くだけだ。
「納得、出来るわけがない…僕が、よりによってあんなカレー臭くてアホで変な太子と恋仲だなんて…!!」
「…きっと、彼らも疲れていたんでしょう。」
そう…太子さんが妹子さんを気に入っているのは確かだが、あくまでも上司と部下。もしくは友人、遊び相手といったところだろう。
それを、何を勘違いしたのか朝廷の人たちは妹子さんと太子さんの関係をそう噂していたらしい。
「冗談じゃないよ、もう!大体、僕はっ…」
妹子さんが言葉に詰まり、頬を染めた。
芭蕉さんや太子さんが同じように頬を染めた時は気色悪いと思ったが…
「僕は…なんです?」
「僕は…その…」
視線が宙をさ迷う。
そういう態度、表情にも勘違いされる要素はあると思うが、まぁ今は関係のないことだ。
「妹子さん…?」
続きを促すように名前を呼ぶ。
せっかくなら、彼の口から直接聞きたい。
「僕は…僕は、曽良のことが好きなんです。太子よりずっと、ずっと…曽良と一緒に、居たいんです。」
恥ずかしそうに顔を逸らしての告白。
なんとも妹子さんらしい。
「ありがとうございます。僕も、あなたのことは嫌いではありませんよ。」
それだけ返すと、ほんの少しだけ不満そうな気持ちを宿した瞳で僕を見る。
彼は本当に、僕好みの人間だと思う。
「どうかしましたか?」
「な、何でもっ…ないです…」
気づかぬふりでわざとらしく問いかければ、ハッとしたように目を逸らして嘘をついた。
そんなそわそわした態度で何でもないことないだろうに。
「嘘です。僕も…好きですよ。妹子さん。」
「っ!」
告白は、抱きしめて耳元ではっきりと。
一瞬驚いたように目を見開き、そのすぐ後には幸せそうな笑みを浮かべて僕の服を握り締めてくる。
「曽良は、ずるい…」
「そんなことはないですよ。問題があるとすればあなたのその態度です。」
妹子さんは僕の胸に顔をうずめて呟いたが、こんな態度を見せてくれると分かってて、僕は彼の思いどおりにする気は毛頭ない。
「態度って…!別に僕は特別何かしてるわけじゃ…」
「では、その普通の態度が僕を楽しませているんですね。」
密着した体を少し離して、妹子さんと目を合わせる。相変わらず僕と目が合うと照れるのか、もともと赤かったのに今度は耳まで赤くした。
僕と違って忙しなく変わるこの表情は、見ているだけでもこちらを楽しませてくれる。
「だっ…だから、楽しいとかそういう…」
「妹子さん。」
「っ…」
僕が頬に手を添えて、名前を呼んだらそれは合図。
妹子さんはいつものように戸惑った表情を見せてから、ゆっくりと躊躇いがちに目を閉じていく。
「愛しています、妹子さん…」
耳元で誓うように囁いてから、かすかに震える形の整った唇を奪う。
恥ずかしさから反射的に逃げようとする妹子さんの肩を抱いて、この口付けにあるだけの思いを込めた。
「そら…」
触れ合うだけで唇を離せば、物足りないと言いたげに名前を呼ばれる。
それに応えるように再び唇を重ね合わせるが、与えるのはまた子供のような軽い口付け。
「ん…」
当然妹子さんは物足りなくて、僕の首に手を回して舌を差し出してきた。
それでも僕が反応を示さないと、ムキになって僕の舌に絡ませてくる。
恥ずかしがり屋のわりに、この大胆さは反則だとは思うが、それもまた彼の魅力であると言える。
「っ!…ん、んぅ…っふ…ぁ…」
そこまで来てようやく僕が動き出せば、とたんに彼はそれに身を任せて感じるに徹する。
いちいち僕の好みを突いてくる人だ。
「は、ふ…」
「満足いただけましたか?」
潤んだ瞳でこちらを見る妹子さんに、僕にしては柔らかい表情を見せて問いかける。
「…まだ。」
「あなたは本当に口付けが好きですね。」
物欲しそうに首を振る彼に苦笑して、再び唇を重ね合わせる。
…僕としては、もうそろそろ先に進みたいところだけれど。
「んっ…そら…」
唇を離してすぐ、幸せそうに微笑んで甘えるように名前を呼ぶから、僕はついつい先に進むことをためらってしまう。
「そろそろ、帰りましょうか。暗くなってきましたし…」
妹子さんから離れて、空を見上げる。
「あ…そっか。もうそんな時間かぁ…」
同じように空を見上げて、明らかに声のトーンが落ち込んだ。
「物足りませんか?」
「少しだけ。」
問いかければ、苦笑とともに返ってくる言葉。
思わずもう一度、僕の腕に妹子さんを閉じ込めた。
「そ、曽良…?」
驚いたように名前を呼ばれる。
それはそうだろう。今まで時間を教えた後に僕が彼に触れることは無かった。
触れたら、離れがたくなることは僕自身がよくわかっていたから。
「できることなら、このままあなたを連れて帰りたい。」
気づけば、僕の口は本音を言葉にしていた。
黙っていようと思ったのに、どうやら無理みたいだ。
「太子さんとの関係を疑われているという話を耳にした時…本当に噂だということは理解していました。けれど…そんな噂をされてしまうくらい、あの人と行動を共にしているんだと思って、正直…嫉妬しました。」
「曽良…」
「ならばいっそ、このままあなたを連れ帰ってしまえばずっと一緒に生活できるでしょう?」
きっと今僕は、ひどい顔をしているだろう。
いつものように無表情を装えている自信がない。妹子さんも、困ったような表情を見せている。
「…冗談です。妙なことを言ってすみませんでした。」
なんとかしていつもどおりの表情に戻して、妹子さんから離れ背を向ける。
このまま妹子さんの家まで行ってしまえばいつものように別れることができるだろう。そして、お互いにまた自分のやるべきことをするだけだ。
「待ってくださいっ!」
「っ!?…妹子、さん?」
突然声とともに後ろから抱きつかれる感覚。
首だけで振り返れば、顔を赤くした妹子さんの姿。
「今の、言葉…冗談じゃ、ないですよね。」
「…はい。」
あなたに真剣な眼差しで問いかけられたら、嘘なんてつけるはずがない。
素直にうなずいて、彼の言葉の続きを待つ。
「すごく、嬉しいです。僕も同じように、曽良をこのまま帰さないでいられたらって…思ってましたから。」
「妹子さん…」
お互い、思うことは同じ…けれど、だからこそそれができないことを理解している。
「でも僕たちは、やるべきことがある。」
「えぇ。そして、それは僕たち自身が決めたことです。」
だからこそ、この関係が愛おしくて離れがたく…愛おしいからこそ離れられる。
「…大好きです、曽良。」
「僕も愛していますよ、妹子さん。」
今度はちゃんと妹子さんのほうに体を向けて、目を合わせて告げる。
最後に、あいさつ程度の触れるだけの口付けをどちらからというわけでもなくして、僕らは自分たちのやるべきことをするために歩き出した。
【終】
―――――――――
いろいろと終わりを考えたけど、結局こんな終わりでした。
もう、書いていて曽良も妹子も離れないからどうしたらいいかと考えまくっていました。
夜桜さん、こんな曽妹でよければ…もらってやってくださいwwww
たまには真面目な話でも(鬼男×閻魔)
admin≫
2009/08/15 12:33:56
2009/08/15 12:33:56
漣さんにお中元その?
会話文の方を先に考えてしまったのでやはり文章が微妙。
でも、私自身は楽しく書いてしまったという…。
楽しんでいただけるかは分かりませんが…読んでやるよ!というのなら、追記へお願いします。
お中元、短い話ばかりですみません!
会話文の方を先に考えてしまったのでやはり文章が微妙。
でも、私自身は楽しく書いてしまったという…。
楽しんでいただけるかは分かりませんが…読んでやるよ!というのなら、追記へお願いします。
お中元、短い話ばかりですみません!
▼閻魔と鬼男は頭の回転が早いと思う▼
本日の裁きを終えた閻魔は、今日裁いた死者たちの確認と見直し、転生の時期をチェックするために閻魔帳に目を通していた。
「鬼男くん。」
3分の2くらいまで目を通してさすがに疲れたのか、閻魔はぐっと伸びをして頬杖をつくと閻魔帳のページを弄りながら鬼男に声をかけた。
「なんですか?」
いつも通り隣に立って書類に必要事項を記入していた鬼男は、それに反応して作業を止め、閻魔の方を向いて聞き返す。
「人間ってさぁ…」
閻魔は読んでいるのかいないのか、閻魔帳をパラパラと捲りながら口を開く。
「はい。」
「愚かだよね。」
「…また、突然ですね。どうしたんです?」
閻魔の言葉に一瞬驚いたように目を見開いてから、すぐにいつも通りの態度で続きを促す鬼男。
「下らないことで問題や犯罪犯して、地獄行きになったりしてさ。」
今日の死者は地獄行きが多かった。
きっとそれを気にしているんだろうと思いながらも、鬼男はため息をひとつ。
「人間はそういうものだって、アンタがよく知ってるでしょう。何を今更。」
もう数える気も起きないくらい長い年月の中で閻魔大王は人間を裁いてきた。
本当に、今更だ。
「んー、そうなんだけどさぁ…こうやって閻魔帳を見直してると…」
鬼男の言葉に苦笑を見せて、閻魔は言いながら再び閻魔帳を捲る。
「見直してると?」
続きを促すと、閻魔は今度はちょっとおかしそうに笑って。
「大丈夫なのかなぁって、時々思う。」
「…人間たちの未来ですか?」
愚かだと言っておきながら、やはり心配はするのだろうかと聞き返せば、閻魔は首を左右に振って地獄の入り口に視線を送って答えた。
「いや、地獄の許容量。拡大しなきゃいけなくなるかなって。」
「そこまでしないといけないくらいなんですか。世も末ですね…」
さすがにその返答には本気で驚き、鬼男も地獄の入り口を見ながら返す。
「好きじゃないんだよなー、地獄の拡大。疲れるし。どうせなら天国の拡大をしたいよ。」
頬杖を崩し、ぺたんと執務机に頬を寄せて、心底嫌そうに閻魔は呟いた。
「天国の拡大なんて、当分必要ないですね。」
「気分乗らないなぁ…」
鬼男が現実をはっきりと口にすると、ますます嫌そうな…面倒くさそうな雰囲気をまとわせる閻魔。
「気分が乗らなくたって、必要に迫られてるならやらざるを得ませんよ。」
普段なら慰め、励ますところだがどうしようもないことだと鬼男も理解しているのであえて無感情に返す。
「あ、そうだ!そうだよ!…鬼男くん、代わりにやって!やり方だけは教えてあげるから。」
すると閻魔がパッと体を起こして、さも名案が浮かんだと言わんばかりに鬼男に告げる。
「爪を刺されたいのなら何も言いませんけど?」
「いえ、結構です。」
にっこりと、爪を光らせて鬼男が言えば、とたんに閻魔は顔をひきつらせて即答。
「なら言うな。…大体、教えられたって僕にできるわけないでしょう。」
閻魔の返答で伸ばした爪を戻した鬼男は、今度はため息混じりに言い返した。
「知ってるよ!でも、言ってみるくらい良いじゃないか!鬼男くんのケチ!」
「誰がケチだ!刺すぞ。」
「ていうかもう刺してんじゃん!」
ケチと言う言葉に腹が立ったらしく言いながら容赦なく閻魔の額に爪を刺した鬼男に、閻魔は血の気の少し引いた顔で声を張り上げた。
「…それで、どうするんですか。」
すぐに爪を抜いて、血を拭き取りながら会話を元に戻す。
「ルールだからね。あともう少し…地獄に行く人が増えたら、その時にやるよ。」
ふぅ…とため息をついて言いながら、閻魔はパタンと閻魔帳を閉じた。
「…そんなこと今更言わなくたって、よく知ってます。つーか、それくらい普通に言え。」
いつからか始まった、閻魔帳を合図に日常会話の中に紛れる密かな告白。
「えー…だって、恥ずかしいじゃない。俺みたいな奴が真剣に言ったら。」
いつものようにその告白を受け取った鬼男がため息交じりに言うと、閻魔は椅子ごと鬼男の方を向いて肩を竦めた。
「僕としてはストレートに言っていただきたいんですけどね。会話しながら繋げていくの、案外疲れるんで。」
鬼男は閻魔に近づき、机に片手をつきながらじっと彼の瞳を見つめる。
「いや、でもさ?鬼男くんだって、もう大分慣れたでしょ…?」
鬼男に見つめられると閻魔は目を逸らすことができなくて、気まずそうに上目遣いで鬼男に問いかけてくる。
この、逃げられなくて思わずしてしまう閻魔の上目遣いが、鬼男は密かに好きだった。
「えぇ、おかげさまで。ったく…お前は今みたいな難しいことはできるくせに、なんでたった二文字、五文字の言葉が言えないんですか。」
その姿が見れただけでも良しとして、鬼男は言いながら閻魔と距離を置く。
閻魔は内心それを物足りないと感じつつ、「ホントはさ…」と言葉を続けた。
「すごく重くて、強い言葉だから…使うのが怖いんだ。」
――私の言葉の影響力を考えると、つい躊躇ってしまう。
「僕はどれくらいアンタに愛を囁けば、アンタの一回の重さと釣り合うんでしょうね。」
フッと自嘲的な笑みを浮かべて、鬼男は言った。
――どれくらい、愛してると叫んでも…
「鬼男くん…」
「僕も、大王のことが大好きで…愛してますよ。誰にも、何にも負けないくらい。」
切なげに眉根を寄せて名前を呼ぶ閻魔に笑顔で答えて、鬼男は誓うように触れるだけの口づけを閻魔の唇に落とした。
「いつかアンタに、同じことを言わせてやりますよ。」
【終】
―――――――
ツンデ恋歌、かなり好きです。デレを探すのがww
閻魔は小難しい告白でも、鬼男くんは結構ストレートに告白ができるタイプだと思っています。
閻魔からの告白を見つけてあげると、もれなく由良がにやけます。
「鬼男くん。」
3分の2くらいまで目を通してさすがに疲れたのか、閻魔はぐっと伸びをして頬杖をつくと閻魔帳のページを弄りながら鬼男に声をかけた。
「なんですか?」
いつも通り隣に立って書類に必要事項を記入していた鬼男は、それに反応して作業を止め、閻魔の方を向いて聞き返す。
「人間ってさぁ…」
閻魔は読んでいるのかいないのか、閻魔帳をパラパラと捲りながら口を開く。
「はい。」
「愚かだよね。」
「…また、突然ですね。どうしたんです?」
閻魔の言葉に一瞬驚いたように目を見開いてから、すぐにいつも通りの態度で続きを促す鬼男。
「下らないことで問題や犯罪犯して、地獄行きになったりしてさ。」
今日の死者は地獄行きが多かった。
きっとそれを気にしているんだろうと思いながらも、鬼男はため息をひとつ。
「人間はそういうものだって、アンタがよく知ってるでしょう。何を今更。」
もう数える気も起きないくらい長い年月の中で閻魔大王は人間を裁いてきた。
本当に、今更だ。
「んー、そうなんだけどさぁ…こうやって閻魔帳を見直してると…」
鬼男の言葉に苦笑を見せて、閻魔は言いながら再び閻魔帳を捲る。
「見直してると?」
続きを促すと、閻魔は今度はちょっとおかしそうに笑って。
「大丈夫なのかなぁって、時々思う。」
「…人間たちの未来ですか?」
愚かだと言っておきながら、やはり心配はするのだろうかと聞き返せば、閻魔は首を左右に振って地獄の入り口に視線を送って答えた。
「いや、地獄の許容量。拡大しなきゃいけなくなるかなって。」
「そこまでしないといけないくらいなんですか。世も末ですね…」
さすがにその返答には本気で驚き、鬼男も地獄の入り口を見ながら返す。
「好きじゃないんだよなー、地獄の拡大。疲れるし。どうせなら天国の拡大をしたいよ。」
頬杖を崩し、ぺたんと執務机に頬を寄せて、心底嫌そうに閻魔は呟いた。
「天国の拡大なんて、当分必要ないですね。」
「気分乗らないなぁ…」
鬼男が現実をはっきりと口にすると、ますます嫌そうな…面倒くさそうな雰囲気をまとわせる閻魔。
「気分が乗らなくたって、必要に迫られてるならやらざるを得ませんよ。」
普段なら慰め、励ますところだがどうしようもないことだと鬼男も理解しているのであえて無感情に返す。
「あ、そうだ!そうだよ!…鬼男くん、代わりにやって!やり方だけは教えてあげるから。」
すると閻魔がパッと体を起こして、さも名案が浮かんだと言わんばかりに鬼男に告げる。
「爪を刺されたいのなら何も言いませんけど?」
「いえ、結構です。」
にっこりと、爪を光らせて鬼男が言えば、とたんに閻魔は顔をひきつらせて即答。
「なら言うな。…大体、教えられたって僕にできるわけないでしょう。」
閻魔の返答で伸ばした爪を戻した鬼男は、今度はため息混じりに言い返した。
「知ってるよ!でも、言ってみるくらい良いじゃないか!鬼男くんのケチ!」
「誰がケチだ!刺すぞ。」
「ていうかもう刺してんじゃん!」
ケチと言う言葉に腹が立ったらしく言いながら容赦なく閻魔の額に爪を刺した鬼男に、閻魔は血の気の少し引いた顔で声を張り上げた。
「…それで、どうするんですか。」
すぐに爪を抜いて、血を拭き取りながら会話を元に戻す。
「ルールだからね。あともう少し…地獄に行く人が増えたら、その時にやるよ。」
ふぅ…とため息をついて言いながら、閻魔はパタンと閻魔帳を閉じた。
「…そんなこと今更言わなくたって、よく知ってます。つーか、それくらい普通に言え。」
いつからか始まった、閻魔帳を合図に日常会話の中に紛れる密かな告白。
「えー…だって、恥ずかしいじゃない。俺みたいな奴が真剣に言ったら。」
いつものようにその告白を受け取った鬼男がため息交じりに言うと、閻魔は椅子ごと鬼男の方を向いて肩を竦めた。
「僕としてはストレートに言っていただきたいんですけどね。会話しながら繋げていくの、案外疲れるんで。」
鬼男は閻魔に近づき、机に片手をつきながらじっと彼の瞳を見つめる。
「いや、でもさ?鬼男くんだって、もう大分慣れたでしょ…?」
鬼男に見つめられると閻魔は目を逸らすことができなくて、気まずそうに上目遣いで鬼男に問いかけてくる。
この、逃げられなくて思わずしてしまう閻魔の上目遣いが、鬼男は密かに好きだった。
「えぇ、おかげさまで。ったく…お前は今みたいな難しいことはできるくせに、なんでたった二文字、五文字の言葉が言えないんですか。」
その姿が見れただけでも良しとして、鬼男は言いながら閻魔と距離を置く。
閻魔は内心それを物足りないと感じつつ、「ホントはさ…」と言葉を続けた。
「すごく重くて、強い言葉だから…使うのが怖いんだ。」
――私の言葉の影響力を考えると、つい躊躇ってしまう。
「僕はどれくらいアンタに愛を囁けば、アンタの一回の重さと釣り合うんでしょうね。」
フッと自嘲的な笑みを浮かべて、鬼男は言った。
――どれくらい、愛してると叫んでも…
「鬼男くん…」
「僕も、大王のことが大好きで…愛してますよ。誰にも、何にも負けないくらい。」
切なげに眉根を寄せて名前を呼ぶ閻魔に笑顔で答えて、鬼男は誓うように触れるだけの口づけを閻魔の唇に落とした。
「いつかアンタに、同じことを言わせてやりますよ。」
【終】
―――――――
ツンデ恋歌、かなり好きです。デレを探すのがww
閻魔は小難しい告白でも、鬼男くんは結構ストレートに告白ができるタイプだと思っています。
閻魔からの告白を見つけてあげると、もれなく由良がにやけます。
お中元(鬼男×閻魔)
admin≫
2009/08/15 12:23:45
2009/08/15 12:23:45
漣さんにお中元。
裏に行くのを阻止していたら、なんだか短い変な話になってしまいました。
すみません!
天国組、好きなんですが書くとなんだかキャラが変わってしまう不思議。
いや、基本どのキャラもそんな感じではありますが…。
書き終えてから、辞書で中元をひいてみた。
①陰暦7月15日に死者の供養をする行事
②中元の時期の贈り物(秋)
あれ、なんか間違った知識で書いてしまった気が…?
そんな作品ですが、よろしければ受け取ってやってください!
裏に行くのを阻止していたら、なんだか短い変な話になってしまいました。
すみません!
天国組、好きなんですが書くとなんだかキャラが変わってしまう不思議。
いや、基本どのキャラもそんな感じではありますが…。
書き終えてから、辞書で中元をひいてみた。
①陰暦7月15日に死者の供養をする行事
②中元の時期の贈り物(秋)
あれ、なんか間違った知識で書いてしまった気が…?
そんな作品ですが、よろしければ受け取ってやってください!
▼そもそも冥界に季節はあるのか▼
「ねぇ、鬼男くん?」
仕事も終わり、後は自室に戻るだけというとき。
鬼男の支度が整うまで待つと言って、執務机にもたれ掛かり筆を弄んでいた閻魔が、不意に鬼男に声をかけた。
帰る支度を整えていた鬼男はその声に反応して手を止める。
「何ですか?」
「お中元って、知ってる?」
鬼男が聞き返すと、閻魔は筆から鬼男に視線を移動させて、どこか楽しげに問いかけてきた。
「夏の時期、お世話になっている方や親しい方に贈り物をするってやつですか?」
いきなり何を聞くんだこいつは…と思いながらも、律儀に鬼男は問いに答える。
「うん、そうそう。それでね、俺もお中元あげようかなって思ってさ。」
「大王…お中元あげるほどお世話になってる方、いましたっけ?」
はにかんだような笑みを浮かべて言った閻魔に、鬼男は首をかしげて問いかける。
少なくとも鬼男の記憶の中には、それほど親しい者も、世話になった覚えのある者もいなかった。
「何言ってんの、鬼男くん!いるじゃない、俺がすごくお世話になってる子が!」
そう言われても、鬼男には全く見当がつかず。
――まさか僕の知らないところで…?
「僕は知らないです。…誰ですか?」
自然、問いかける声が不機嫌になる。
自分の知らないところで、自分の知らない顔をしている閻魔がいることが気にくわない。
閻魔はそんな鬼男をやはり楽しそうに見て、少し離れた位置にいた鬼男に近づいた。
「鬼男くん。」
「何ですか。」
すぐ目の前まで来て名前を呼ばれて、返事はするもののやはり不機嫌さは隠せず。
閻魔はクスクスと笑いながら、スッと鬼男を指差して言った。
「だから、鬼男くん。俺がお世話になってて、お中元あげたいって思った子。」
「あ…」
閻魔に言われて、ようやく納得できた。
確かに冷静になって考えてみれば、秘書としてとはいえ、鬼男は閻魔の世話や手伝いをしているし、公私含めずっと一緒にいるのに鬼男以上に親しかったり世話になったりする相手ができるはずもない。
「…何か、いただけるんですか?」
理解すると、やはり期待はしてしまうもので。
鬼男が問いかけると、閻魔はふふっと嬉しそうに笑った。
「ご所望とあらば、今すぐにでも。」
「っ!?」
チュッ、と音を立てて触れあう唇。
普段は恥ずかしがって完全に受身の閻魔からすれば、ありえないくらい大胆な行動だ。
「いつもありがとう。これからもよろしくね、鬼男くん!」
やはり恥ずかしかったのか、ほんのり色づいた頬を見せて閻魔は言った。
それを見た鬼男は目を隠すように顔に手をやって大きくため息をつく。
「え…このお中元、ダメだった?どうしよう、これ以外用意してないよ俺!」
鬼男の態度を見て何があるわけでもないのにきょろきょろと辺りを見回す閻魔。
「…大王。」
「は、はい!?」
鬼男がそんな閻魔の動きを止めるように名前を呼ぶと、閻魔はピタッと動きを止めて返事をした。
「アンタ、こんなことして…誘ってんですか?」
顎に手をかけて息がかかるほどの至近距離で問いかける。
「ちょ、ちょっと待ってよ!なんでそうなるのさ!俺はただ鬼男くんにお中元をあげただけで…!」
顔が近い、顔が近い!と言いたげに閻魔は身を引こうとするも、腰に手を回されてこれ以上離れることは許されない。
「はい。大王の贈り物は、夜伽のお誘いととって良いんですよね?」
「だから、違うってば…っん…っ!」
問答無用と言わんばかりに重なりあった唇。
鬼男が舌先で閻魔の唇を突っつけば、躊躇いがちではあるものの抵抗はせずに閻魔は口を薄く開く。同時にするりと鬼男は侵入して、飴でもなめていたのか甘さの残る口内を堪能する。
「んっ、は…ぅ、ん…っんぅっ…」
奥の方で隠れるように小さくなっていた閻魔の舌を絡めとり、甘噛みするとビクッと閻魔の体が跳ねた。
鬼男はそれを満足そうに眺めて、口付けたまま閻魔の服の袷に手を伸ばす。が…
「っ…」
閻魔の手に止められてしまった。
「大王…?」
一度唇を離して、鬼男はどうしたんですか?と目で問いかける。
「ここではダメって…いつも言ってるでしょ?俺の部屋、行こ…?」
「…分かりました。歩きますか?」
上目遣いに言われて、鬼男は思い出したように苦笑した。
「鬼男くん、連れてってくれるの?」
聞き返しながらも、閻魔はすでに鬼男の首に手を回している。
「そりゃあ、大切な贈り物ですから。」
鬼男は冗談めかして答え、ひょいと閻魔を抱き上げた。
「ふふっ、力持ち~。」
「お前が軽すぎるんだよ。」
首筋に猫のようにすり寄る閻魔にそう返して、置きっぱなしになっていた荷物を持つと、鬼男は閻魔の寝室へと向かう。
「贈り物は、美味しくいただきますよ。」
パタン、と音を立てて寝室の扉が閉まった。
【終】
仕事も終わり、後は自室に戻るだけというとき。
鬼男の支度が整うまで待つと言って、執務机にもたれ掛かり筆を弄んでいた閻魔が、不意に鬼男に声をかけた。
帰る支度を整えていた鬼男はその声に反応して手を止める。
「何ですか?」
「お中元って、知ってる?」
鬼男が聞き返すと、閻魔は筆から鬼男に視線を移動させて、どこか楽しげに問いかけてきた。
「夏の時期、お世話になっている方や親しい方に贈り物をするってやつですか?」
いきなり何を聞くんだこいつは…と思いながらも、律儀に鬼男は問いに答える。
「うん、そうそう。それでね、俺もお中元あげようかなって思ってさ。」
「大王…お中元あげるほどお世話になってる方、いましたっけ?」
はにかんだような笑みを浮かべて言った閻魔に、鬼男は首をかしげて問いかける。
少なくとも鬼男の記憶の中には、それほど親しい者も、世話になった覚えのある者もいなかった。
「何言ってんの、鬼男くん!いるじゃない、俺がすごくお世話になってる子が!」
そう言われても、鬼男には全く見当がつかず。
――まさか僕の知らないところで…?
「僕は知らないです。…誰ですか?」
自然、問いかける声が不機嫌になる。
自分の知らないところで、自分の知らない顔をしている閻魔がいることが気にくわない。
閻魔はそんな鬼男をやはり楽しそうに見て、少し離れた位置にいた鬼男に近づいた。
「鬼男くん。」
「何ですか。」
すぐ目の前まで来て名前を呼ばれて、返事はするもののやはり不機嫌さは隠せず。
閻魔はクスクスと笑いながら、スッと鬼男を指差して言った。
「だから、鬼男くん。俺がお世話になってて、お中元あげたいって思った子。」
「あ…」
閻魔に言われて、ようやく納得できた。
確かに冷静になって考えてみれば、秘書としてとはいえ、鬼男は閻魔の世話や手伝いをしているし、公私含めずっと一緒にいるのに鬼男以上に親しかったり世話になったりする相手ができるはずもない。
「…何か、いただけるんですか?」
理解すると、やはり期待はしてしまうもので。
鬼男が問いかけると、閻魔はふふっと嬉しそうに笑った。
「ご所望とあらば、今すぐにでも。」
「っ!?」
チュッ、と音を立てて触れあう唇。
普段は恥ずかしがって完全に受身の閻魔からすれば、ありえないくらい大胆な行動だ。
「いつもありがとう。これからもよろしくね、鬼男くん!」
やはり恥ずかしかったのか、ほんのり色づいた頬を見せて閻魔は言った。
それを見た鬼男は目を隠すように顔に手をやって大きくため息をつく。
「え…このお中元、ダメだった?どうしよう、これ以外用意してないよ俺!」
鬼男の態度を見て何があるわけでもないのにきょろきょろと辺りを見回す閻魔。
「…大王。」
「は、はい!?」
鬼男がそんな閻魔の動きを止めるように名前を呼ぶと、閻魔はピタッと動きを止めて返事をした。
「アンタ、こんなことして…誘ってんですか?」
顎に手をかけて息がかかるほどの至近距離で問いかける。
「ちょ、ちょっと待ってよ!なんでそうなるのさ!俺はただ鬼男くんにお中元をあげただけで…!」
顔が近い、顔が近い!と言いたげに閻魔は身を引こうとするも、腰に手を回されてこれ以上離れることは許されない。
「はい。大王の贈り物は、夜伽のお誘いととって良いんですよね?」
「だから、違うってば…っん…っ!」
問答無用と言わんばかりに重なりあった唇。
鬼男が舌先で閻魔の唇を突っつけば、躊躇いがちではあるものの抵抗はせずに閻魔は口を薄く開く。同時にするりと鬼男は侵入して、飴でもなめていたのか甘さの残る口内を堪能する。
「んっ、は…ぅ、ん…っんぅっ…」
奥の方で隠れるように小さくなっていた閻魔の舌を絡めとり、甘噛みするとビクッと閻魔の体が跳ねた。
鬼男はそれを満足そうに眺めて、口付けたまま閻魔の服の袷に手を伸ばす。が…
「っ…」
閻魔の手に止められてしまった。
「大王…?」
一度唇を離して、鬼男はどうしたんですか?と目で問いかける。
「ここではダメって…いつも言ってるでしょ?俺の部屋、行こ…?」
「…分かりました。歩きますか?」
上目遣いに言われて、鬼男は思い出したように苦笑した。
「鬼男くん、連れてってくれるの?」
聞き返しながらも、閻魔はすでに鬼男の首に手を回している。
「そりゃあ、大切な贈り物ですから。」
鬼男は冗談めかして答え、ひょいと閻魔を抱き上げた。
「ふふっ、力持ち~。」
「お前が軽すぎるんだよ。」
首筋に猫のようにすり寄る閻魔にそう返して、置きっぱなしになっていた荷物を持つと、鬼男は閻魔の寝室へと向かう。
「贈り物は、美味しくいただきますよ。」
パタン、と音を立てて寝室の扉が閉まった。
【終】
そばにいて(太子×妹子)
admin≫
2009/08/14 17:51:48
2009/08/14 17:51:48
亜耶のリクで太妹です!
が…飛鳥組はいろんな方が書いているので被っているかも…もし問題があったら教えてください。
太子を、カッコよく書いてみたくて…妹子にデレてもらいたくて…しかし出来上がったのは残念な結果でした。
なんか、意味の分からない感じになってしまいましたので…ふざけんなこのアワビがっ!とか思ったら言ってください。
書き直します!
が…飛鳥組はいろんな方が書いているので被っているかも…もし問題があったら教えてください。
太子を、カッコよく書いてみたくて…妹子にデレてもらいたくて…しかし出来上がったのは残念な結果でした。
なんか、意味の分からない感じになってしまいましたので…ふざけんなこのアワビがっ!とか思ったら言ってください。
書き直します!
▼失敗したら、そりゃへこみますよ▼
「情けないなぁ…」
妹子は、今までにないほど落ち込んでいた。
理由は簡単。今日の仕事で何度も初歩的なミスをしたからだ。
書類の書き損じや書簡の受け渡し間違いをしたり、書物整理中に手を引っ掛けてバラバラにしてしまったりと、普段では考えられないような失敗を連続でしてしまったのだ。
「何年勤めてると思ってるんだよ…」
疲れているんだろうと言われ早めに上がらされて、しかし家に帰る気にもなれず、以前太子とピクニックに行ったときに見つけた大樹のそばに座り込んで自己嫌悪に陥っていた。
「あー、もう…」
体操座りの膝に顔を埋めて、ため息混じりに呟く。
少し真面目すぎるところがある妹子にとって、本日の失敗はかなり堪えたようだ。
「妹子。」
「っ!」
不意に聞こえた声に、ぴくりと妹子の肩が跳ねる。
顔を見なくたって分かる、この声と独特の臭い。
けれど今は、会いたくなかった人。
「妹子…」
顔を埋める妹子の前にしゃがみこむ気配。
優しい響きを持って、はっきりと名前を呼ばれる。
普段とは少し違った、すべてを理解し、包み込むような雰囲気。
――あぁ…だから会いたくなかったのに。
「たい、し…」
顔を上げて、すがるように名前を呼ぶ。
やっぱり太子は、分かってると言いたげに笑っていた。
「っ、太子…!」
妹子は我慢できずに太子の胸に飛び込んだ。
同時に太子は妹子の背中に手を回してぎゅっと抱き締める。
「妹子…たまにはこんな日もあるよ。落ち込むな。」
「うっさい、アワビ!…普段、仕事してないくせにっ…偉そうなんですよっ…!」
からかうでもなく、ただの社交辞令のような慰めでもなく。
ただ優しく励ますように言った太子の言葉に、不覚にも喜びを感じてしまった妹子は、悪あがきのように憎まれ口を叩いた。
「おまっ…私がせっかく励ましてやってるのに、なんだその言いぐさは!」
「僕は、そんなこと頼んだ覚えありません…!」
抱き合ったまま、段々といつものような口論をし始める二人。
さっきまでどうしようもないくらい落ち込んで、自己嫌悪に陥っていたのに、もう妹子は元通りになっていた。
「…離れていいですか、太子。」
調子が戻ってくると、さすがにこの体勢に恥ずかしさを感じ、太子の臭いも気になるのか妹子がもぞもぞ動きながら言う。
「えー、もうちょっとだけ~。」
しかし、今度は太子の方が妹子から離れがたくなったらしく、さらにぎゅっと抱き締めて妹子の髪に顔を埋めてきた。
「やめてくださいよ。カレー臭が移ります。」
「訂正しろ!私は臭くない、断じて臭くないぞ!」
ぐっと太子の胸を押して離れようとする妹子の腕を掴み、迫るように顔を近づけてくる太子。
「あー、もう!臭いっ、寄るなカレーやろっ…おわぁっ!?」
「おぉっ!?」
太子に近寄られまいと妹子も力を込めていたら重心のバランスが崩れたらしく、太子とともに後ろにひっくり返った。
「ったぁ~…まったく!太子がくだらないことを言ってるからこんなことになるんですよ!」
太子の体重も加わって背中と頭を地面にぶつけた妹子は上半身を起こしてすぐに文句を言う。
「何おぅっ!今のは妹子が悪っ」
「「っ…!」」
太子も負けじと文句を言おうと顔を上げると、鼻先が触れあいそうなくらい近くに妹子の顔があって、お互いに動きを止めた。
「あ、あのっ…たい」
「妹子、目閉じて。」
何とかしようと妹子が口を開いたのを遮る、太子の声。
「っ…」
「早くしろ。は…恥ずかしいだろ。」
目元を赤らめて戸惑った様子を見せる妹子に、相変わらずの至近距離で太子も照れたように告げた。
そんな風に言われると妹子もますます恥ずかしくなってきて「分かりましたよっ…!」などと返してすぐさま目を閉じる。
ムードも何も、あったものじゃない。
「っ…」
太子もそれを確認してからためらいがちに目を閉じて妹子に顔を近づける。
…重なりあったら、もう止められない。
「っ…!ん…っうぅ…!?」
まるでスイッチが切り替わったように、太子は妹子の後頭部に手を回して口づけを深いものにしていく。
さすがに手慣れたもので、巧みな舌遣いは妹子の抵抗力を確実に奪っていく。
「っ、は…ふぁ…」
気付けば妹子は再び地面に背中をつけていて。
酸素不足のために涙で潤んだ妹子と、不敵な笑みを浮かべる太子の間には…綺麗に糸を引く銀。
「…でも、妹子が思ったより落ち込んでなくて良かった。」
飲み込みきれず妹子の頬を滑る唾液を拭い取るように触れて、太子はどこか安堵したような笑みを浮かべた。
「え…?」
「普段じゃしないようなミス、いっぱいしてたからさ。真面目な妹子はすごく、すっごーく落ち込んでると思ってた。」
「えぇ、まぁ…確かにかなり、落ち込んでましたけど…」
そこまで強調されると逆に立ち直り始めた気持ちが落ち込みそうになる。
太子は妹子の額と自分の額をくっつけて、くすっと笑った。
「妹子は、いつも通り笑ったり怒ったりしてる方が似合うよ。」
「っ…僕を怒らせるのは、太子くらいですよ。」
合わさった額と視線が恥ずかしくて、妹子は視線だけは逸らして言い返す。
しかし太子はそれをよしとせず、妹子の頬を挟むように両手を添えて意識を自分の方に向けさせた。
「っ、たい…し。」
「そう。妹子はいつだって私のことを考えて、私にだけ意識を向けてればいい。摂政命令だぞっ!」
再び交わった視線に妹子が頬を赤らめると、太子は満足そうに笑ってとんでもないことを口にした。
「っ、このアホ太子!そんなことで権力使うなっ!」
妹子の体温は急上昇して、あっという間に真っ赤なリンゴ状態。
「顔真っ赤。…好きだよ、妹子。妹子のためなら私は何でもするぞ?」
「ば、バカじゃないですか!?」
口調は楽しげなのに、目だけは真剣味を帯びている太子に、妹子は嬉しい反面少し困っていた。
太子も自分も、本当はこのままではいけないと痛いほど分かっていたから。
こんな、お互いに依存しているような関係は…
「妹子…ずっと私のそばにいて、私のことを好きでいてくれるだろう?」
でも…性別も身分も、未来のこともすべて投げ捨てたって良いと、太子のそばで太子の声を聞いていると思ってしまう。
「太子…」
いつかは…いつかは、と思っているのに。
「妹子?」
「…えぇ。ずっと、太子のそばで笑って、怒って。太子だけを好きでいますよ。…大好きです。」
「私も大好きだぞっ、妹子!」
ごめんなさい。
やっぱり僕はまだ、居心地の良いこの人のそばを離れることができないんです。
―――――――
考えていたのと違った話になってしまった…orz
妹子を慰めて甘々にするつもりだったのに…!
妹子は、今までにないほど落ち込んでいた。
理由は簡単。今日の仕事で何度も初歩的なミスをしたからだ。
書類の書き損じや書簡の受け渡し間違いをしたり、書物整理中に手を引っ掛けてバラバラにしてしまったりと、普段では考えられないような失敗を連続でしてしまったのだ。
「何年勤めてると思ってるんだよ…」
疲れているんだろうと言われ早めに上がらされて、しかし家に帰る気にもなれず、以前太子とピクニックに行ったときに見つけた大樹のそばに座り込んで自己嫌悪に陥っていた。
「あー、もう…」
体操座りの膝に顔を埋めて、ため息混じりに呟く。
少し真面目すぎるところがある妹子にとって、本日の失敗はかなり堪えたようだ。
「妹子。」
「っ!」
不意に聞こえた声に、ぴくりと妹子の肩が跳ねる。
顔を見なくたって分かる、この声と独特の臭い。
けれど今は、会いたくなかった人。
「妹子…」
顔を埋める妹子の前にしゃがみこむ気配。
優しい響きを持って、はっきりと名前を呼ばれる。
普段とは少し違った、すべてを理解し、包み込むような雰囲気。
――あぁ…だから会いたくなかったのに。
「たい、し…」
顔を上げて、すがるように名前を呼ぶ。
やっぱり太子は、分かってると言いたげに笑っていた。
「っ、太子…!」
妹子は我慢できずに太子の胸に飛び込んだ。
同時に太子は妹子の背中に手を回してぎゅっと抱き締める。
「妹子…たまにはこんな日もあるよ。落ち込むな。」
「うっさい、アワビ!…普段、仕事してないくせにっ…偉そうなんですよっ…!」
からかうでもなく、ただの社交辞令のような慰めでもなく。
ただ優しく励ますように言った太子の言葉に、不覚にも喜びを感じてしまった妹子は、悪あがきのように憎まれ口を叩いた。
「おまっ…私がせっかく励ましてやってるのに、なんだその言いぐさは!」
「僕は、そんなこと頼んだ覚えありません…!」
抱き合ったまま、段々といつものような口論をし始める二人。
さっきまでどうしようもないくらい落ち込んで、自己嫌悪に陥っていたのに、もう妹子は元通りになっていた。
「…離れていいですか、太子。」
調子が戻ってくると、さすがにこの体勢に恥ずかしさを感じ、太子の臭いも気になるのか妹子がもぞもぞ動きながら言う。
「えー、もうちょっとだけ~。」
しかし、今度は太子の方が妹子から離れがたくなったらしく、さらにぎゅっと抱き締めて妹子の髪に顔を埋めてきた。
「やめてくださいよ。カレー臭が移ります。」
「訂正しろ!私は臭くない、断じて臭くないぞ!」
ぐっと太子の胸を押して離れようとする妹子の腕を掴み、迫るように顔を近づけてくる太子。
「あー、もう!臭いっ、寄るなカレーやろっ…おわぁっ!?」
「おぉっ!?」
太子に近寄られまいと妹子も力を込めていたら重心のバランスが崩れたらしく、太子とともに後ろにひっくり返った。
「ったぁ~…まったく!太子がくだらないことを言ってるからこんなことになるんですよ!」
太子の体重も加わって背中と頭を地面にぶつけた妹子は上半身を起こしてすぐに文句を言う。
「何おぅっ!今のは妹子が悪っ」
「「っ…!」」
太子も負けじと文句を言おうと顔を上げると、鼻先が触れあいそうなくらい近くに妹子の顔があって、お互いに動きを止めた。
「あ、あのっ…たい」
「妹子、目閉じて。」
何とかしようと妹子が口を開いたのを遮る、太子の声。
「っ…」
「早くしろ。は…恥ずかしいだろ。」
目元を赤らめて戸惑った様子を見せる妹子に、相変わらずの至近距離で太子も照れたように告げた。
そんな風に言われると妹子もますます恥ずかしくなってきて「分かりましたよっ…!」などと返してすぐさま目を閉じる。
ムードも何も、あったものじゃない。
「っ…」
太子もそれを確認してからためらいがちに目を閉じて妹子に顔を近づける。
…重なりあったら、もう止められない。
「っ…!ん…っうぅ…!?」
まるでスイッチが切り替わったように、太子は妹子の後頭部に手を回して口づけを深いものにしていく。
さすがに手慣れたもので、巧みな舌遣いは妹子の抵抗力を確実に奪っていく。
「っ、は…ふぁ…」
気付けば妹子は再び地面に背中をつけていて。
酸素不足のために涙で潤んだ妹子と、不敵な笑みを浮かべる太子の間には…綺麗に糸を引く銀。
「…でも、妹子が思ったより落ち込んでなくて良かった。」
飲み込みきれず妹子の頬を滑る唾液を拭い取るように触れて、太子はどこか安堵したような笑みを浮かべた。
「え…?」
「普段じゃしないようなミス、いっぱいしてたからさ。真面目な妹子はすごく、すっごーく落ち込んでると思ってた。」
「えぇ、まぁ…確かにかなり、落ち込んでましたけど…」
そこまで強調されると逆に立ち直り始めた気持ちが落ち込みそうになる。
太子は妹子の額と自分の額をくっつけて、くすっと笑った。
「妹子は、いつも通り笑ったり怒ったりしてる方が似合うよ。」
「っ…僕を怒らせるのは、太子くらいですよ。」
合わさった額と視線が恥ずかしくて、妹子は視線だけは逸らして言い返す。
しかし太子はそれをよしとせず、妹子の頬を挟むように両手を添えて意識を自分の方に向けさせた。
「っ、たい…し。」
「そう。妹子はいつだって私のことを考えて、私にだけ意識を向けてればいい。摂政命令だぞっ!」
再び交わった視線に妹子が頬を赤らめると、太子は満足そうに笑ってとんでもないことを口にした。
「っ、このアホ太子!そんなことで権力使うなっ!」
妹子の体温は急上昇して、あっという間に真っ赤なリンゴ状態。
「顔真っ赤。…好きだよ、妹子。妹子のためなら私は何でもするぞ?」
「ば、バカじゃないですか!?」
口調は楽しげなのに、目だけは真剣味を帯びている太子に、妹子は嬉しい反面少し困っていた。
太子も自分も、本当はこのままではいけないと痛いほど分かっていたから。
こんな、お互いに依存しているような関係は…
「妹子…ずっと私のそばにいて、私のことを好きでいてくれるだろう?」
でも…性別も身分も、未来のこともすべて投げ捨てたって良いと、太子のそばで太子の声を聞いていると思ってしまう。
「太子…」
いつかは…いつかは、と思っているのに。
「妹子?」
「…えぇ。ずっと、太子のそばで笑って、怒って。太子だけを好きでいますよ。…大好きです。」
「私も大好きだぞっ、妹子!」
ごめんなさい。
やっぱり僕はまだ、居心地の良いこの人のそばを離れることができないんです。
―――――――
考えていたのと違った話になってしまった…orz
妹子を慰めて甘々にするつもりだったのに…!
月見酒(鬼男×妹子)
admin≫
2009/08/13 02:11:03
2009/08/13 02:11:03
どこまで書いても大丈夫なのかドキドキです。
でも、チューまでならオッケーですよね!
亜耶のリクだったのですが…初めての鬼妹なので、結構ひどいです。
・鬼男が変!
・妹子はもっと変!
・冥界はどうやら小野家の庭の井戸と繋がってるらしいよ!
・妹子は酒に弱いみたいだよ!
夜桜さんに色々設定やネタを戴いたにも関わらず、生かせなかったのが申し訳ないです。
私の文才ってこんなもん…。ごめんなさい!夜桜さん!
でも、チューまでならオッケーですよね!
亜耶のリクだったのですが…初めての鬼妹なので、結構ひどいです。
・鬼男が変!
・妹子はもっと変!
・冥界はどうやら小野家の庭の井戸と繋がってるらしいよ!
・妹子は酒に弱いみたいだよ!
夜桜さんに色々設定やネタを戴いたにも関わらず、生かせなかったのが申し訳ないです。
私の文才ってこんなもん…。ごめんなさい!夜桜さん!
▼でも、愛は詰めたつもり!▼
「はぁ~…」
明るく輝く満月が高く上がった夜更け。
珍しく妹子は自分の家の縁側に座って一人猪口を傾けていた。
「一人で月見酒なんて乙なことしてるんだから、もう少し楽しげに飲んだらどうなんだ?」
「え…!?」
突然、何の前触れもなく声が聞こえた。
驚いた妹子が声のした方に視線を向けると、そこには井戸の縁に腰かける鬼男の姿。
「おに、お…さん。」
「鬼男、な。…いい加減慣れろよ。」
あまりの驚きで声がかすれている妹子にくすっと楽しげな笑みを見せて、鬼男は妹子の側まで歩いてきた。
「ごめん…鬼男。」
「いや、気にしなくて良いよ。それよりさ、僕もその月見酒に混ぜてくれないか?」
気まずそうに謝罪する妹子に苦笑混じりに答えて、鬼男は当然のように隣に座る。
「え、あ…勿論。…どうぞ。」
そんな風にされて断る人がいるなら見てみたいものだ。
そんなことを思いながらも、妹子は徳利の側においてあった猪口に酒を注いで鬼男に渡す。
鬼男はそれを受け取りつつも首をかしげて
「一人で飲んでたのに何で二つ用意してあるんだ?」
純粋な疑問を投げ掛けた。
「飲んでたって言っても、眠れなくてたった今飲み始めたばっかだよ。うーん…なんでだろう?なんか…会える気がして。」
「っ…!」
はにかむように微笑んで、妹子は鬼男を上目遣いに見つめながらそう答えた。
見事にど真ん中を撃ち抜かれる鬼男のハート。頬にほんのり朱が射した。
「鬼男…?」
「…妹子って、天然だから怖い。」
一瞬動きを止めた鬼男を不思議に思ったらしい妹子が名前を呼ぶと、鬼男は焦ったように一気に猪口の酒を煽り、徳利に手を伸ばしながら返した。
「…?そういえば、仕事は終わったの?」
自分のを注いでから妹子の猪口にも鬼男が酒を注いでやると、妹子はそれを受けてから問いかけてきた。
「ん?あぁ…珍しく書類処理を真面目に終わらせたんだよ、あのイカ。だから…ちょっと妹子の寝顔でも見に行こうかなって。」
「えぇ!?うわぁー、今日眠れなくてよかったぁ…。」
つん、と妹子の頬をつついて言った鬼男に妹子は本気で安心したような声を出す。
そんな態度がちょっと気に食わなくて、鬼男は唇が触れあう寸前まで妹子に顔を近づけた。
「っ…!」
顔の近さに妹子の体温が急上昇する。
鬼男はそんな妹子の表情すら楽しげに眺めていて。
「寝顔見せたくないなんて、今更だろ。何回一緒に寝たと」
「お酒!お、鬼男来たならお酒もう少し持ってくる!」
ぐいっと強く鬼男の胸を押して逃げるように離れると、妹子は立ち上がって早い口調でそう告げ、家の中に入っていってしまった。
鬼男はそれを見送ってから再び酒を注いで月を見上げる。
「月が明るいお陰で、妹子の表情がよく分かる。」
感謝の意も込めて、月に猪口を掲げた。
「鬼男、お待たせ。」
酒を両手に妹子が戻ってきた。
「お、サンキュ妹子。」
鬼男はそれを見て手を下ろすと笑顔で礼を言う。
妹子はそんな鬼男の笑顔にときめきを覚えながらも、とりあえず平静を装って鬼男のとなりに腰かけた。
「さ、鬼男。どんどん飲んでよ。」
「僕一人で飲んでも楽しくないだろうが。妹子も飲めって。」
徳利を持って鬼男の猪口に傾ける妹子に、鬼男は苦笑して自分も妹子の猪口に酒を注いだ。
「わ、駄目だって!僕、普段あんまりお酒飲まないんだから。」
とりあえず受けとるものの、妹子は焦った様子で自分の猪口を鬼男から離した。
「鬼男なら閻魔大王の付き合いで結構飲んでるんだろうけどさ、僕はそんなに付き合いで飲むことはないし…」
「まぁ、そうだけど…」
妹子の言葉にしぶしぶ鬼男は頷く。
その返答に、妹子は安心したように表情を和らげた。
「じゃあ、どんどん飲ん」
「でも…飲んだことないって言われると、飲ませたくなるもんだろ?」
「え…」
ホッと息を吐いて酒を勧めようとした妹子の言葉を遮って、鬼男は新しいおもちゃを見つけた子どものような笑顔を見せた。
「たまには、酒に溺れてみないか?」
「ん…!?」
言うが早いか、自分が持っていた酒を口に含むと、そのまま妹子と唇を合わせた。
逃げられないように体を抱き寄せて、何度か同じようにして徳利の酒をすべて飲ませる。
「ん…っぅ…は、ぁ…」
鬼男が徳利が空になったことを確認してから唇を離すと、妹子は酒のせいか酸欠のせいか瞳を潤ませ、頬を上気させて浅い呼吸を繰り返す。
心なしか、焦点が合っていない…?
「えっと…妹子?」
「もぉ…おに、おのっ…ばかぁ…」
調子に乗って飲ませすぎたか?と思って声をかけると、とたんにふにゃりと妹子の目尻が下がってぽろぽろと涙を流し始めた。
「え…!?」
「ぼく、飲めないって言ったのにぃ…ばかぁ!もぉ、やだぁ…!」
予想外の妹子の反応に戸惑う鬼男を置き去りに、妹子は子どものように泣きわめいてポカポカと鬼男の胸を叩く。
「え、えーっと…とりあえず、ごめん妹子…」
――なんか、可愛いかも…
思わずそんなことを思いつつ、どうやら怒っているようなので胸を叩き続ける妹子の頭を撫でながら謝罪する鬼男。
すると妹子は鬼男の手を振り払い
「やらっ!あつい!!」
鬼男からパッと離れてしまった。
「妹子、お前な…」
「にゃー…あつい…おにおー、ぬいでいーい…?」
鬼男がため息混じりに言おうとした言葉など聞いておらず、妹子はトロンとした瞳で問いかけると、答えも聞かずに自らの服に手を伸ばした。
「は!?ちょ、待て待て!お前今着てるの寝巻きだろうが!!」
脱いだら下着姿になる…!
慌てて鬼男はあわせを引っ張って脱ごうとする妹子の腕を掴んだ。
「やらぁ!はなしてよ、おにおのばかぁ!ぼくはぁ、あついのぉ…!」
「だからダメだって!妹子っ!」
鬼男の腕から離れようと暴れる妹子を止めようと、鬼男はほぼ無理矢理妹子を押し倒した。
あくまで妹子を止めようとして。
「ふぇっ…うぅ~…も、あついのぉ…」
「っ!」
止まることを知らない妹子の涙と、赤く染まった頬。暴れたせいで結局はだけてしまった寝巻きとそこから見える上気し、少し汗ばんだ白い肌。
それがなにも言わずに空で輝く月の光に照らされて、ひどく扇情的だった。
「いも、こ…」
名前を呼ぶ鬼男の声がかすれる。
どうせこんな真夜中だ。誰かが見ることもないだろう。…そんな考えが、鬼男の頭をよぎった。
「おに、お…やらぁ…つき、が…見てるぅ…!」
自分の思考に忠実に、妹子の首筋に唇を近づけたとき、妹子が身を捩ってそう言った。
「は…月?」
思わず顔を上げて妹子を見る。
月が見てると言う断り文句を聞くとは思わなかった。
「きょぉは、まんげつだもん…あかるくて…はずかしい、よぉ…」
酒に酔ってるときくらいその羞恥心はなりを潜めてくれないだろうか。
どんなときでも必ず現れる妹子の羞恥心に、鬼男は少しやるせない気持ちになる。
「僕は妹子の体や表情がよく見れて嬉しいんだけど…?」
「それがヤなのぉ!みないでよぉ、おにおのばかぁ!」
からかうように鬼男が言うと、妹子は首を横に振ってもはや口癖のようになっている鬼男のバカと共に嫌だと告げる。
「あんまりバカバカ言うな。僕でもちょっと傷つくぞ…。いいじゃないか、満月にだろうと草の中の虫にだろうと見せつけてやろうぜ。」
「んぅ…!ふ、ぅん…っ!」
どうせ今の妹子には大した抵抗力もないだろうと踏んで、鬼男は強行突破に出た。
いやいや言う唇を長く、しつこい口づけで塞ぐ。
「ぁ…は…おに、お…」
妹子が手を鬼男の首に回してきたら、もうあとは流されるまま流される。
鬼男は、口には出さずとも計画通りと言いたげに笑みを深めた。
「本当は月にだって見せたくないけど…月明かりに照らされる妹子も、たまにはいいかな。」
特別に、今夜の満月にだけ妹子の乱れる姿、見せてあげますよ。
「あ、やぁっ…!おにっ、お…っ!」
◇◇◇
「いたた…」
翌朝、妹子は激しい頭痛で目が覚めた。
「あれ…?ちゃんと布団で寝てる…」
昨日は、なんだか鬼男が来るような気がして寝付けなくて、少しお酒でも飲もうと思って縁側に出て…?
「っ!!」
順を追って思い出していくうちに、一気にすべてを思い出した。
ボンッと音がしそうな勢いで妹子の顔が赤くなる。
「うわぁ~、なんか…ものすごく恥ずかしいこと言ってた気がする!…ん?」
妹子が恥ずかしさのあまり叫ぶと、視界の端に見覚えのない紙が映った。
思わず手に取り、目を通す。
『大丈夫か?
妹子があんなに酒に弱いと思わなかった。
すまない。
きっと月も知らなかっただろうな。
でも、月明かりに照らされてる妹子は綺麗だったよ。
凄く綺麗で、我慢できなかったんだ。
妹子は二日酔いになってないか?
もし、二日酔いで辛かったら無理はするなよ。
子どもじゃないんだからこんなこと言う必要ないよな…じゃあまたな。
鬼男』
「っ!」
何を考えてるんだ、あの鬼は…!
読んですぐ、くしゃっと紙を握りしめた。
「たまにしか…会えないのに…」
呟いて、握りしめた紙を胸に持ってきてぎゅっと抱き締める。
「手紙書くならっ…もうちょっとマシなこと書けよ…っ、鬼男のバカ…!」
昨日だって、ほんとは色々話したくて…普段言わないようなことも、酒のせいにしてしまえば言えるかもって思ってたのに…。
「鬼男は、そんな力借りなくたって言っちゃうんだから、すごいよ。」
くすっと笑ってくしゃくしゃにしてしまった紙を綺麗に伸ばして引き出しにしまう。
頭痛は少し辛いけど、仕事を休むわけには行かない。鬼男の手紙で元気も出てきた妹子は朝服に着替えて出仕することにした。
『大好きです妹子』
手紙の頭文字に改めて記された、鬼男の気持ち。
明るく輝く満月が高く上がった夜更け。
珍しく妹子は自分の家の縁側に座って一人猪口を傾けていた。
「一人で月見酒なんて乙なことしてるんだから、もう少し楽しげに飲んだらどうなんだ?」
「え…!?」
突然、何の前触れもなく声が聞こえた。
驚いた妹子が声のした方に視線を向けると、そこには井戸の縁に腰かける鬼男の姿。
「おに、お…さん。」
「鬼男、な。…いい加減慣れろよ。」
あまりの驚きで声がかすれている妹子にくすっと楽しげな笑みを見せて、鬼男は妹子の側まで歩いてきた。
「ごめん…鬼男。」
「いや、気にしなくて良いよ。それよりさ、僕もその月見酒に混ぜてくれないか?」
気まずそうに謝罪する妹子に苦笑混じりに答えて、鬼男は当然のように隣に座る。
「え、あ…勿論。…どうぞ。」
そんな風にされて断る人がいるなら見てみたいものだ。
そんなことを思いながらも、妹子は徳利の側においてあった猪口に酒を注いで鬼男に渡す。
鬼男はそれを受け取りつつも首をかしげて
「一人で飲んでたのに何で二つ用意してあるんだ?」
純粋な疑問を投げ掛けた。
「飲んでたって言っても、眠れなくてたった今飲み始めたばっかだよ。うーん…なんでだろう?なんか…会える気がして。」
「っ…!」
はにかむように微笑んで、妹子は鬼男を上目遣いに見つめながらそう答えた。
見事にど真ん中を撃ち抜かれる鬼男のハート。頬にほんのり朱が射した。
「鬼男…?」
「…妹子って、天然だから怖い。」
一瞬動きを止めた鬼男を不思議に思ったらしい妹子が名前を呼ぶと、鬼男は焦ったように一気に猪口の酒を煽り、徳利に手を伸ばしながら返した。
「…?そういえば、仕事は終わったの?」
自分のを注いでから妹子の猪口にも鬼男が酒を注いでやると、妹子はそれを受けてから問いかけてきた。
「ん?あぁ…珍しく書類処理を真面目に終わらせたんだよ、あのイカ。だから…ちょっと妹子の寝顔でも見に行こうかなって。」
「えぇ!?うわぁー、今日眠れなくてよかったぁ…。」
つん、と妹子の頬をつついて言った鬼男に妹子は本気で安心したような声を出す。
そんな態度がちょっと気に食わなくて、鬼男は唇が触れあう寸前まで妹子に顔を近づけた。
「っ…!」
顔の近さに妹子の体温が急上昇する。
鬼男はそんな妹子の表情すら楽しげに眺めていて。
「寝顔見せたくないなんて、今更だろ。何回一緒に寝たと」
「お酒!お、鬼男来たならお酒もう少し持ってくる!」
ぐいっと強く鬼男の胸を押して逃げるように離れると、妹子は立ち上がって早い口調でそう告げ、家の中に入っていってしまった。
鬼男はそれを見送ってから再び酒を注いで月を見上げる。
「月が明るいお陰で、妹子の表情がよく分かる。」
感謝の意も込めて、月に猪口を掲げた。
「鬼男、お待たせ。」
酒を両手に妹子が戻ってきた。
「お、サンキュ妹子。」
鬼男はそれを見て手を下ろすと笑顔で礼を言う。
妹子はそんな鬼男の笑顔にときめきを覚えながらも、とりあえず平静を装って鬼男のとなりに腰かけた。
「さ、鬼男。どんどん飲んでよ。」
「僕一人で飲んでも楽しくないだろうが。妹子も飲めって。」
徳利を持って鬼男の猪口に傾ける妹子に、鬼男は苦笑して自分も妹子の猪口に酒を注いだ。
「わ、駄目だって!僕、普段あんまりお酒飲まないんだから。」
とりあえず受けとるものの、妹子は焦った様子で自分の猪口を鬼男から離した。
「鬼男なら閻魔大王の付き合いで結構飲んでるんだろうけどさ、僕はそんなに付き合いで飲むことはないし…」
「まぁ、そうだけど…」
妹子の言葉にしぶしぶ鬼男は頷く。
その返答に、妹子は安心したように表情を和らげた。
「じゃあ、どんどん飲ん」
「でも…飲んだことないって言われると、飲ませたくなるもんだろ?」
「え…」
ホッと息を吐いて酒を勧めようとした妹子の言葉を遮って、鬼男は新しいおもちゃを見つけた子どものような笑顔を見せた。
「たまには、酒に溺れてみないか?」
「ん…!?」
言うが早いか、自分が持っていた酒を口に含むと、そのまま妹子と唇を合わせた。
逃げられないように体を抱き寄せて、何度か同じようにして徳利の酒をすべて飲ませる。
「ん…っぅ…は、ぁ…」
鬼男が徳利が空になったことを確認してから唇を離すと、妹子は酒のせいか酸欠のせいか瞳を潤ませ、頬を上気させて浅い呼吸を繰り返す。
心なしか、焦点が合っていない…?
「えっと…妹子?」
「もぉ…おに、おのっ…ばかぁ…」
調子に乗って飲ませすぎたか?と思って声をかけると、とたんにふにゃりと妹子の目尻が下がってぽろぽろと涙を流し始めた。
「え…!?」
「ぼく、飲めないって言ったのにぃ…ばかぁ!もぉ、やだぁ…!」
予想外の妹子の反応に戸惑う鬼男を置き去りに、妹子は子どものように泣きわめいてポカポカと鬼男の胸を叩く。
「え、えーっと…とりあえず、ごめん妹子…」
――なんか、可愛いかも…
思わずそんなことを思いつつ、どうやら怒っているようなので胸を叩き続ける妹子の頭を撫でながら謝罪する鬼男。
すると妹子は鬼男の手を振り払い
「やらっ!あつい!!」
鬼男からパッと離れてしまった。
「妹子、お前な…」
「にゃー…あつい…おにおー、ぬいでいーい…?」
鬼男がため息混じりに言おうとした言葉など聞いておらず、妹子はトロンとした瞳で問いかけると、答えも聞かずに自らの服に手を伸ばした。
「は!?ちょ、待て待て!お前今着てるの寝巻きだろうが!!」
脱いだら下着姿になる…!
慌てて鬼男はあわせを引っ張って脱ごうとする妹子の腕を掴んだ。
「やらぁ!はなしてよ、おにおのばかぁ!ぼくはぁ、あついのぉ…!」
「だからダメだって!妹子っ!」
鬼男の腕から離れようと暴れる妹子を止めようと、鬼男はほぼ無理矢理妹子を押し倒した。
あくまで妹子を止めようとして。
「ふぇっ…うぅ~…も、あついのぉ…」
「っ!」
止まることを知らない妹子の涙と、赤く染まった頬。暴れたせいで結局はだけてしまった寝巻きとそこから見える上気し、少し汗ばんだ白い肌。
それがなにも言わずに空で輝く月の光に照らされて、ひどく扇情的だった。
「いも、こ…」
名前を呼ぶ鬼男の声がかすれる。
どうせこんな真夜中だ。誰かが見ることもないだろう。…そんな考えが、鬼男の頭をよぎった。
「おに、お…やらぁ…つき、が…見てるぅ…!」
自分の思考に忠実に、妹子の首筋に唇を近づけたとき、妹子が身を捩ってそう言った。
「は…月?」
思わず顔を上げて妹子を見る。
月が見てると言う断り文句を聞くとは思わなかった。
「きょぉは、まんげつだもん…あかるくて…はずかしい、よぉ…」
酒に酔ってるときくらいその羞恥心はなりを潜めてくれないだろうか。
どんなときでも必ず現れる妹子の羞恥心に、鬼男は少しやるせない気持ちになる。
「僕は妹子の体や表情がよく見れて嬉しいんだけど…?」
「それがヤなのぉ!みないでよぉ、おにおのばかぁ!」
からかうように鬼男が言うと、妹子は首を横に振ってもはや口癖のようになっている鬼男のバカと共に嫌だと告げる。
「あんまりバカバカ言うな。僕でもちょっと傷つくぞ…。いいじゃないか、満月にだろうと草の中の虫にだろうと見せつけてやろうぜ。」
「んぅ…!ふ、ぅん…っ!」
どうせ今の妹子には大した抵抗力もないだろうと踏んで、鬼男は強行突破に出た。
いやいや言う唇を長く、しつこい口づけで塞ぐ。
「ぁ…は…おに、お…」
妹子が手を鬼男の首に回してきたら、もうあとは流されるまま流される。
鬼男は、口には出さずとも計画通りと言いたげに笑みを深めた。
「本当は月にだって見せたくないけど…月明かりに照らされる妹子も、たまにはいいかな。」
特別に、今夜の満月にだけ妹子の乱れる姿、見せてあげますよ。
「あ、やぁっ…!おにっ、お…っ!」
◇◇◇
「いたた…」
翌朝、妹子は激しい頭痛で目が覚めた。
「あれ…?ちゃんと布団で寝てる…」
昨日は、なんだか鬼男が来るような気がして寝付けなくて、少しお酒でも飲もうと思って縁側に出て…?
「っ!!」
順を追って思い出していくうちに、一気にすべてを思い出した。
ボンッと音がしそうな勢いで妹子の顔が赤くなる。
「うわぁ~、なんか…ものすごく恥ずかしいこと言ってた気がする!…ん?」
妹子が恥ずかしさのあまり叫ぶと、視界の端に見覚えのない紙が映った。
思わず手に取り、目を通す。
『大丈夫か?
妹子があんなに酒に弱いと思わなかった。
すまない。
きっと月も知らなかっただろうな。
でも、月明かりに照らされてる妹子は綺麗だったよ。
凄く綺麗で、我慢できなかったんだ。
妹子は二日酔いになってないか?
もし、二日酔いで辛かったら無理はするなよ。
子どもじゃないんだからこんなこと言う必要ないよな…じゃあまたな。
鬼男』
「っ!」
何を考えてるんだ、あの鬼は…!
読んですぐ、くしゃっと紙を握りしめた。
「たまにしか…会えないのに…」
呟いて、握りしめた紙を胸に持ってきてぎゅっと抱き締める。
「手紙書くならっ…もうちょっとマシなこと書けよ…っ、鬼男のバカ…!」
昨日だって、ほんとは色々話したくて…普段言わないようなことも、酒のせいにしてしまえば言えるかもって思ってたのに…。
「鬼男は、そんな力借りなくたって言っちゃうんだから、すごいよ。」
くすっと笑ってくしゃくしゃにしてしまった紙を綺麗に伸ばして引き出しにしまう。
頭痛は少し辛いけど、仕事を休むわけには行かない。鬼男の手紙で元気も出てきた妹子は朝服に着替えて出仕することにした。
『大好きです妹子』
手紙の頭文字に改めて記された、鬼男の気持ち。