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- 2009/12/18 俺のリズムは君次第(鬼閻)
俺のリズムは君次第(鬼閻)
admin≫
2009/12/18 21:03:48
2009/12/18 21:03:48
某Rさんのイラストと言葉に妄想を掻き立てられて、書き上げたドラムを叩く鬼男くんです。
色々考えたのですが、私の乏しい想像力では鬼男くんがドラムを叩く場面が学園祭しか浮かばなかったので季節はずれな上、学園パロディとなっています。
躍動感や空気を文章で表現するのは私の技術ではかなり難しいということが判明しました。書きたいことは沢山あったのに、なんだか残念な結果に…
あのイラストのカッコよさ、ドラムの魅力をもっとちゃんと書きたかった…!
文字数オーバーでちょこっと削っています。でも、これはこれで今私が出せる力をちゃんと出せたはず!よろしければお付き合いください。
・学園パロディで学園祭です
・飛鳥組がちょっと出てきてます。
・糖度は相変わらず!…のはず。
・やっぱり乙女な閻魔さま(笑)
・そしてやっぱりカッコつけな鬼男くん(苦笑)
・名前も出ていないが、まったく関係なしの超脇役がちょくちょくいます
色々考えたのですが、私の乏しい想像力では鬼男くんがドラムを叩く場面が学園祭しか浮かばなかったので季節はずれな上、学園パロディとなっています。
躍動感や空気を文章で表現するのは私の技術ではかなり難しいということが判明しました。書きたいことは沢山あったのに、なんだか残念な結果に…
あのイラストのカッコよさ、ドラムの魅力をもっとちゃんと書きたかった…!
文字数オーバーでちょこっと削っています。でも、これはこれで今私が出せる力をちゃんと出せたはず!よろしければお付き合いください。
・学園パロディで学園祭です
・飛鳥組がちょっと出てきてます。
・糖度は相変わらず!…のはず。
・やっぱり乙女な閻魔さま(笑)
・そしてやっぱりカッコつけな鬼男くん(苦笑)
・名前も出ていないが、まったく関係なしの超脇役がちょくちょくいます
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▼惚れ直すどころか、さらに惚れさせてやりますよ▼
「はい、まぁ…。」
閻魔が期待に満ちた瞳で問いかけると、鬼男はにらめっこをしていた楽譜から少しだけ視線を上げて歯切れ悪く答えた。
「でも…あんまり乗り気じゃなさそうだね。」
「いきなり来て“お前しかいないから頼む!”って押し付けられただけなんで。」
鬼男の態度に苦笑して確認すれば、鬼男は楽譜に視線を戻して足でリズムを取りながらバチを動かし返した。
「じゃあ、バンド参加するんだ?」
「はい、まぁ…。」
閻魔が期待に満ちた瞳で問いかけると、鬼男はにらめっこをしていた楽譜から少しだけ視線を上げて歯切れ悪く答えた。
「でも…あんまり乗り気じゃなさそうだね。」
「いきなり来て“お前しかいないから頼む!”って押し付けられただけなんで。」
鬼男の態度に苦笑して確認すれば、鬼男は楽譜に視線を戻して足でリズムを取りながらバチを動かし返した。
「一人でこんなに時間まで残って練習してるくせに、言うねぇ。」
「そりゃ…やると決まった以上、最高に盛り上げてやりたいじゃないですか。」
くすくすと笑ってからかうように言った閻魔に、鬼男は少し照れた様子で言い返す。その間も目は楽譜を追い、まだ拙いリズムを刻んでいる。
「ふぅん…?」
「…何ですか。」
閻魔が含みある笑みを浮かべ、じっと鬼男を眺めながら言うと、手を止めた鬼男がようやくちゃんと顔を上げ、居心地悪そうに問いかけてきた。
「うん…カッコいいなぁって、思って。」
惚れ直しちゃいそうだよ、とはにかむ閻魔。それを見て一瞬驚いたように動きを止めてから、鬼男はふっと不敵な笑みを向けた。
「本番は惚れ直すどころか、さらに惚れさせてやりますよ。」
「っ、な…!」
予想しなかった鬼男の宣言に、閻魔はかぁっと頬を赤らめて言葉を失う。それを満足そうに眺めて、鬼男はさらに言葉を続けた。
「今はまだこんなですけど、本番は言ったとおり最高に盛り上げてやります。だから…僕から目、離すなよ?」
「もう、バカ!言ってろ!!」
鬼男の表情、言葉にドキドキしている自分が居た堪れなくなって、閻魔は真っ赤な顔で声を張り上げると、逃げるようにして音楽室から飛び出してしまった。その背中を楽しげに見やり、鬼男は練習を再開した。
◇◇◇
当日、閻魔はクラスの出し物の当番を終えると、真っ先に体育館へ向かった。
体育館に着くと、まだ別の有志発表の最中だったので邪魔にならないように静かに入り、壁に沿って舞台近くの席があるところに移動する。ちょうど一番前の端が空いていたので、今やっている発表には興味ないが閻魔はそこに座ることにした。
「お、ずいぶん早いなぁ閻魔。そんなに鬼男が見たかったの?」
「えっ、太子!?ちょっと、いつ来たのさ…?」
突然後ろから聞こえた声に振り返り、訝しげに問いかける閻魔。自分が座るほんの数分前までは真後ろには誰も座っていなかったはずだ。
「たった今来たとこだぞ。ようやくクラスも落ち着いたからな!」
体育館入ったら閻魔の姿見つけたから声かけたんだ。と笑って付け足す太子。どうせ今の発表に興味はないし、と閻魔は首だけひねっていたところを自分が辛くないように体ごと振り返って太子と向き合った。
「太子のクラスって何やってんだっけ?」
「今日、明日と色んな衣装での模擬結婚式だ!学生設定でセーラー服とブレザーとか、マフィア設定でチャイナ服とスーツとか、男女だろうと同性だろうと兄弟だろうとお構いなし!」
閻魔が首をかしげて問いかけると、太子は胸を張ってふふんと笑顔で答える。どうやら大盛況のようだ。
「妹子ちゃんのクラスはメイド喫茶だし、太子のとこはコスプレ結婚式って…飛鳥組は2年も3年も自由だねぇ…」
「…クラス総出で全国のセーラー服についての研究と考察して発表をしてる3年天国組の奴に言われたくないぞ。」
感心したように閻魔が呟くと、太子は呆れ顔でそう返してきた。…つまりは、この学校全体が自由ということだ。
「言っとくけど、今回提案したのは俺じゃないんだからね?」
「分かってるでおまっ!閻魔が提案してたら確実に鬼男に阻止されてるだろ。」
弁解するように言う閻魔の頭をぽんぽんと撫でて太子が笑うと、アナウンスを知らせる音が響いた。
『次は、有志によるバンド発表です。』
「あれっ?いつの間にそんなに時間経ってたの?」
「見ろ閻魔!知らないうちに椅子全部埋まって、立ってる人もいっぱいだ!」
放送を聴いて、閻魔も太子も驚いたように辺りを見回す。人口密度の高さに一番驚いた。
どこにこんなに多くの人間がいたのだろう。
ふっ、と突然全体の照明が消えた。ざわついていた体育館内も、それに反応して静かになる。下りていた幕が上がり、暗闇で拍をとる乾いたバチの音が響いたと思ったら、前奏開始とともに舞台が照らされた。
一気に沸く体育館の空気。歓声が曲に負けないくらいの大きさで響き渡る。
「うわ…これはすごい…!なぁ、閻魔?…閻魔?」
あまりの音の大きさにさすがの太子も少し顔を顰めながら前の閻魔に声をかけたが、閻魔の瞳はただひとりしか映しておらず、恐らく音も彼の刻むリズムしか聞こえていないだろう。
最初の掴みということもあってアップテンポなこの曲はやはり大変なのか、鬼男の表情は真剣そのもので。観客を見る余裕もあまりない鬼男の顔が上がることはなく、伏し目がちにひたすらリズムを刻む。
「鬼男くーん!!こっち向いてぇー!」
「キャー、鬼男くーん!!」
不意に、女子の高い声が鬼男を呼んだ。
スポーツ万能、成績そこそこでそれなりに良識と優しさを身に付けている鬼男は、密かにファンが多い。本人は閻魔一筋なのでまったく気づいてないのだが。
「っ…?」
集中している最中、ちょうど動きが単純になったところで自分の名前が聞こえたからか反射的に顔を上げて、声のしたほうに視線を向ける鬼男。照明に照らされて光る汗がまた今の鬼男の色気、魅力に拍車をかけていた。
「きゃあーっ!」
鬼男が自分の方を見てくれたという事実に喜びが隠せず再び声を上げる女子に、閻魔は言いようのない不安と苛立ちを覚えた。鬼男はなぜ騒がれているのかと首をかしげながら、演奏の方に意識を向ける。余裕がないのは分かっているが、いまだ一度として閻魔のほうを見てくれない鬼男に無性に腹が立つ。
「カッコいいよー!!おに」
「鬼男くんっ!!」
また別のところから鬼男を呼ぶ声が聞こえると、閻魔はそれを遮るように大きな声で鬼男を呼んだ。他の人じゃなく、自分の声に反応して欲しい…自分以外にその姿を見せないで欲しい…そんな思いをこめて。
「っ!」
それに気づいたのかどうかは分からないが、鬼男の顔が上がり真っ直ぐに閻魔を捉えた。
まさか本当に見てくれるとは思っていなくて、閻魔が驚きのあまり硬直してしまうと、途端に口端を上げて余裕のある笑みを見せてくる。わずかな時間で視線は再びドラムに戻ってしまったが、閻魔にはそのときの楽しげな瞳が「惚れましたか?」と問いかけているようにしか見えなかった。
まさか本当に見てくれるとは思っていなくて、閻魔が驚きのあまり硬直してしまうと、途端に口端を上げて余裕のある笑みを見せてくる。わずかな時間で視線は再びドラムに戻ってしまったが、閻魔にはそのときの楽しげな瞳が「惚れましたか?」と問いかけているようにしか見えなかった。
「もう…鬼男くんの、バカ…」
これ以上君に惚れさせて俺をどうするつもりなの?
気づく人が居るとも思えないが、閻魔は真っ赤になった顔を誤魔化すように軽くうつむいた。鬼男だけはそれを見て満足げな笑みを浮かべていたが。
「みんな、今日はここまで付き合ってくれてありがとう!次がラストです!!」
順調にライブは進み、早くもボーカルの人がラストナンバーを告げた。鬼男のバチが軽快な音を鳴らしてテンポを知らせる。そのときに散った汗の雫が照明の影響で宝石のように輝き、最初の一拍を刻んだ鬼男の真剣な表情をいっそう格好良く見せていた。
◇◇◇
「すごい盛り上がりだったなー、閻魔!」
幕が下りてすぐ、体育館の興奮冷めやらぬまま太子は前にいる閻魔に声をかけた。
「え…?あー…うん。そうだった、ねぇ…」
閻魔のほうは鬼男の姿、演奏が未だに網膜と耳に残っていて半ば放心状態だったため、突然の太子の声に反応出来ず曖昧な返答をしてしまう。顔の赤みもまだ引いていないことは頬の熱さから分かっていたので、迂闊に振り返ることも出来ない。
そんな閻魔を見た太子は、悪戯っ子のように楽しげな笑み浮かべた。
「閻魔、鬼男に見惚れてたんだろー?」
「なっ…!ば、バカ!何言ってんのさ、そんなわけないっ!!」
いきなり核心を突いて問いかけてくるものだから、閻魔はあからさまに動揺した様子を見せて声を張り上げる。それは誰がどう見ても肯定にしか取れないということまで考える余裕はないようだ。
「いーや、私には分かるぞ!ほらほら閻魔ー?さっさと鬼男のとこに行ってきんしゃーい!『カッコよかった』って一言言ってやるだけでもきっとあいつ喜ぶぞー?」
「知らないっ!俺、行かないから!」
ニヤニヤとからかうように言ってくる太子の言葉に簡単に従うのはなんだか腹立たしくて、気恥ずかしくて。思わず言い返してしまった閻魔は、自業自得とはいえ鬼男に素直に会いに行きづらくなったこの状況にもどかしさを感じた。
「早く会いに行かないと、さっきの女の子たちに先越されちゃうかも知れないぞ?今ならまだ舞台袖にいるはずだから、今しかチャンスないぞ?」
どうする?閻魔?とあえて窺うように聞いてくるあたりが憎らしい。嫉妬から発した言葉であれだけカッコいい鬼男が見られたのだ。その原因となった女子のことを出されては、閻魔は行動を起こさざるをえない。
「あー、もう!なんか腹立つなぁっ!」
悔し紛れにはき捨てるように言って、閻魔は舞台袖に向かって駆け出す。太子はやはり楽しそうに「頑張ってこーい」と手を振って笑っていた。
「お疲れ様でしたー。鬼男、ほんっとありがとな!」
「いや、僕もそれなりに楽しかったしいい経験だったよ。こっちこそありがとう。」
閻魔が舞台袖に入ると、楽器類を邪魔にならないところへ寄せたところなのか隅でバンドのメンバーが次の発表の邪魔をしないよう小声で会話をしていた。
「あ、先輩。どうしたんスか?」
「え、あ…っいや!あの…、っ!?」
不意に、声をかけていいのか分からず立ち竦んでいた閻魔に気づいた一人が声をかけてきた。何も考えずに舞台袖に入ってきてしまったので、とっさに言い訳が浮かばずにいた閻魔を、勢い良く抱き寄せる熱い腕。
「おに、お…っく…」
「おに、お…っく…」
「すみません、大王を見たらなんか…体が勝手に…」
あまりに突然すぎる出来事に理解が追いつかず硬直する閻魔を強く抱きしめて、余裕のない熱のこもった声で鬼男が言った。
何かの本で読んだことがある。最高のライブを終えた後はその興奮が冷めにくく、自分自身でも抑えがたい何かが沸き起こると。
「…お疲れ様、鬼男くん。すごくカッコ良くって…悔しいけど、鬼男くんの言ったとおり前以上に好きになっちゃった。」
閻魔も鬼男の背中に手を回して抱き返しながら、素直な感想を腕の中で口にする。発表のときももちろん鼓動は早まっていたけれど、こうして触れ合っているとそれ以上に早く熱くなっている心音に気がついた。鬼男が女子の声に視線を上げたときとも、鬼男と目が合ったときとも違う胸の高鳴り。
思ったよりも早鐘を打っている鬼男の心音と重なって、どこか心地良いリズムを刻んでいた。
「鬼男くん…?」
顔を上げて、ねだるように甘えた声で閻魔が名前を呼ぶと、鬼男も同じ気分だったのか苦笑を見せられた。
髪を梳くように頭を撫でられてそのまま頬に添えられる鬼男の片手。閻魔がゆっくりと紅玉を隠せば、次の瞬間には唇に柔らかくていつもより少し熱い感触が届く。聞こえる水音は、現在行われている発表の音楽に掻き消されて聞こえない。
「っ、は…だい、お…」
「鬼男、く…」
一度、どちらともなく離れてから互いを呼び合ったら、後はもう言葉は要らない。
2人の体は、袖幕に包まれた。
【終】
―――――――――
実はなんだか不完全燃焼です、これ。書き直すかもしれない(笑)
頭の中では最高にカッコいい鬼男くんとそんな鬼男くんにドキドキする乙女な閻魔が浮かんでいるのですが、それを上手く表現できず涙目です。
もし良い感じに文章がまとまったら、太子と閻魔が話していたクラスの出し物についても書いてみたいなとか思っている。(バンドが上手く書けなくて悔しいだけ。)
では、こんな季節外れの学園祭にお付き合いいただき、ありがとうございました。
【終】
―――――――――
実はなんだか不完全燃焼です、これ。書き直すかもしれない(笑)
頭の中では最高にカッコいい鬼男くんとそんな鬼男くんにドキドキする乙女な閻魔が浮かんでいるのですが、それを上手く表現できず涙目です。
もし良い感じに文章がまとまったら、太子と閻魔が話していたクラスの出し物についても書いてみたいなとか思っている。(バンドが上手く書けなくて悔しいだけ。)
では、こんな季節外れの学園祭にお付き合いいただき、ありがとうございました。