夢の話(鬼←妹)
2012/04/10 23:12:53
後半は、部屋を出た鬼男が閻魔に何かあってざわつく仲間たちから事情を聞いて
閻魔の下に全力疾走→鬼閻展開、だったのですが、よく覚えてなくて続かなかった^q^
「鬼男は、さ…本当に、閻魔大王の元に戻る気はないの?」
「妹子…またその話か?何度も言ってるだろ。僕の意思の問題じゃないんだ。僕は、もう閻魔大王のそばに居ることを許されていない。」
「ふぅん…?」
鬼男はもともと、真面目すぎるところがある奴だからこうと決めたら意地でも曲げようとしない。閻魔大王も、規則や公平を歪めるわけにはいかないと表面上は鬼男が隣にいないことを気にした風もなく、むしろ当然の報いとしているけれど…実際はどうなんだろう。
「鬼男、鬼男。」
布団に寝転がったまま、ちょいちょいと机に向かう鬼男を手招く。鬼男は面倒くさそうに顔をしかめながらも、「何だよ?」と返事をしてこちらに向かってきてくれる。目の前まで来たところで、にっこり笑って隙だらけの彼の腕を思いっきり引き寄せた。
「っ、ぅわ…!?」
「ねぇ、鬼男…秘書を辞めてからは一度も閻魔大王と会ってないんでしょう?さすがに、たまってるんじゃない?」
バランスを崩して僕の上に倒れこんだ鬼男を逃がさないように、ぎゅっと背中に手を回して抱きしめる。言葉の意味が理解できなかったのか、首を傾げる気配。
「僕が相手…してあげようか?」
抱き寄せたまま、首筋に顔をすり寄せて誘うように耳元で囁く。
「っ、止めろ妹子!!」
部屋着の裾から手を差し入れてめくり上げようとしたところで、鬼男もようやく僕が言わんとしているところを理解したらしく、彼は声を荒げて僕の腕を強く掴んで引き離してきた。
(あ…)
勢い余ってめくれ上がった服の下。見慣れない文字が見えた。見慣れない、というか…本当に存在しているなんて思ってもいなかったというほうが正しい。僕じゃなくても、きっとここで働く者なら誰もが知っているであろう、閻魔大王の…
(結局、離れてしまったって鬼男は閻魔大王のものだって、ことなんだ…)
「妹子…?」
思いっきり僕を拒んだくせに、何も言わない僕を不思議そうに呼ぶその声は心配そうで…どこまでも優しい。
「鬼男…君は、早く閻魔大王の隣に戻るべきだと僕は思うよ。」
「だから、僕は…」
「閻魔大王は!!大王は…鬼男が戻ってくるのをずっと待ってる。」
なおも言い訳しようとする鬼男に、僕は柄にもなく声を荒げる。これ以上、僕をみじめにさせないで欲しい。
「それは…君の胸に印された所有契約の呪が未だに残っていることが、何よりの証拠じゃないか。」
「これは…別に、」
「鬼男…戻って、あげなよ。もう、十分だろう…?」
「妹子…」
ごめん、ありがとう。そう言って鬼男は僕に背を向けた。僕は、俯いて顔を上げない。ドアが開いて、閉まる音。まったく、なんて短く…滑稽な、片思いだったんだろう。
頬を伝うこれは、決して涙なんかじゃない。泣く必要なんて、どこにもないんだ。滲む視界で僕は1人、自分の中で言い訳を重ね続けていた。
君のとなり
2011/09/09 21:40:20
「…大王。」
形だけのノックをして、当然返事は待たずにドアを開ける。目の前に広がるのは真っ暗な空間。…まったく、電気すらつけていないとは。
目が慣れないうちは何も見えないけれど、ドアを開けた瞬間震えた気配と鼻をすする音で当たりをつけて部屋の奥へと足を進める。ベッドの上、僕に背を向けた状態で小さくなっているイカを見つけた。
「おい、何サボってんだ大王イカ。」
「っ、」
もう一度、声をかければビクッと大きく跳ねるひょろい肩。けれどこっちを振り返る様子はなく、さらに小さく縮こまりやがった。変なところで意地っ張りな奴。
「僕は、そんなに頼りないですかね。」
ふぅ、とため息を吐いて、僕も背中合わせに腰かけながらぼやくように言ってやれば、息を呑んで震える身体。
「大王。」
それでも頑なに口を閉ざそうとするので、語調を強めて促すように呼んでやる。
「鬼男くんは、さ…」
「…はい。」
泣いていたせいなのか、それとも緊張しているのか。掠れて、いつもよりかたい小さな声が耳に届く。聞き逃さないように意識して、続きを促すように僕は反応を返した。
「おに、お…くんは…ずっと、おれと一緒に居て…疲れない?」
「は…?」
待て、いきなり何を言い出したんだコイツは。一緒に居て疲れないもなにも、それこそ四六時中一緒に居るのだから、疲れないでいることの方が難しいと思うのだが。まさか、僕に疲労するなって言いたいのか。…いや、そんな意味で言っているのではないのだろうけれど。
「疲れないわけ、ないよね。おれ…大王らしくないし、普段何やってんのか分からないし、逃げるかやられるかのどっちかだし、自分勝手で、迷惑ばっかかけてる…し。」
つらつらと並べ立てられていく大王を非難する言葉たちに、思わず大きくため息を吐いてしまった。ほんと、バカじゃないのか、こいつは。
「…そんなくだらない無駄話をしていたのは、どこの獄卒ですか。明日にでも処分対応をさせていただきますので教えていただけますか。」
「え…」
驚いたように顔を上げて、背中越しに見上げてくる大王の目が、どうして…と問いかけてくる。
「お前が大王らしくないのなんて今に始まったことじゃねえし、四六時中一緒に居て毎日同じ場所で仕事してるのに、普段何をやっているか知らないわけがない。逃げるかやられるかのどっちか?そんなひょろい体で勝てる方が怖ぇよ、何のために僕が裁きのとき隣に立ってると思ってんだアホが。自分勝手で迷惑ばかりかけてる…のは、まぁ事実ですね。僕はもう慣れてますし全く気になりませんが。」
もう一度、深くため息を吐いてから、僕はすぅっと息を吸ってわざとまくしたてるように口早に大王の言った非難を片っ端から否定してやる。目を丸くして、ぱちぱちと数回瞬き。ざまぁ見ろ。
「そんな、分かりきっていることを引き合いに出して大王を非難し、僕の状態まで勝手に決めつけるようなことを僕やお前がやるわけがない。そもそもその必要性が無いですしね。だとすれば今お前が言ったことは全部、僕と大王の仕事をろくに知らない別の部署の獄卒の言葉ってことだろ。…ほら、どこをほっつき歩いてたときに聞いたのかさっさと話せアホ以下大王イカ。」
「フォローしてるのか、けなしてるのか、どっちだよ…もう…」
少しだけ体の向きを変えて、横向きに僕の背中に小さな頭をもたせ掛けながら言い返す大王の声には少しの呆れが混じっていた。ひとまずは安心だと自然と入ってしまっていた肩の力を抜く。
「どっちかってーと、どっちもですかね。」
「何かそれ、おかしくない?」
正直な気持ちを明かすと、くすっと笑う気配。次いで、甘える猫みたいに頭をすり寄せてくる。
「…ねぇ、おれと一緒に居ると…疲れるでしょ。」
「仕事してんだから疲れないわけねぇだろ。」
まだ言うか、と若干苛立ちを覚えながらそっけなく返した僕に、「そういう意味じゃなくって。」と不満げに答える大王。
「おれ…あの子たちの話聞いて、鬼男くんに甘え過ぎてるのかもって、反省したんだよ。」
「へー、自覚したんですか。それは大きな進歩ですね。」
先に続く言葉はすでに予想がついていて、またか…と呆れながら、おざなりに返事を返す。
「このままだと、ずっと甘えっぱなしになっちゃって、いつか本当に、鬼男くんに愛想つかされちゃうかもしれないって、思ったら…やっぱり、離れたほうが良いのかなーとか、思って。」
まったく…いったい何度目だよ、僕だっていい加減聞き飽きるぞ。まぁ、その度に引き戻す僕も僕だけど。
「でも…」
「はい。」
続く言葉はもうわかっている。むしろ僕は、その言葉を言わせたいがためにこうやって何度も逃げようとするこいつを懲りずに追いかけ、決して逃してなるものかとその腕に手を伸ばしているのだから。
「やっぱりおれは、君のとなりが良いみたい。」
はい、よくできました。
縋るように僕の腰に手を回してしがみついてきた大王の頭を慈しむように撫で梳いて、体の向きを変えると、ちょうど僕を見上げる紅玉と目が合った。
「僕の居場所は、いつだって閻魔大王の隣ですよ。」
僕もおなじみの定型句を口にしてから、はにかむ大王とそっと唇を重ね合わせた。
【終】
CRAWL
2010/10/12 14:53:28
2/4にポテトさん・やみんさん・かしこさん(仮)のコラボによりUPされた動画
【閻.魔】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9588760
から妄想・発展したお話です。
見たその日から考えて、あっという間に出来上がりました。
ポテトさんとやみんさんには出来上がってすぐにお渡ししました。
こちらでも公開しておきます。無許可ですみません。
私の個人的解釈・妄想・感想を多大に含んでいます。
自分のイメージや解釈がある方、そしてそれとの違いを不快に思う方は見ることをおすすめできません。
夕立(鬼閻♀)
2010/10/12 14:45:18
閻魔女体化です。
突然の激しい雨に慌てて走って帰る女子高生を見て浮かんだ話。
恋に師匠無し
2010/09/26 16:30:39
どうも、お久しぶりです。
閉鎖したサイトに置いてあった学園ものを転載して、気づけば2ヶ月?くらいたってましたね。相変わらず新作は途中で止まってるものやボツになるものばかりで、何とも残念な状態です^q^
今回は3分の2くらい書いていた前回の『案ずるより産むが易し』の続きを加筆修正した話です。
このときは、飛鳥組を見守っていた天国組がいちゃつきたいよーと言っていたようで、二人が受け攻めバトル(笑)を繰り広げています。
今回から察するに、このシリーズを書き出したときの私は鬼閻鬼ではなく閻鬼閻で書き進めようとしていたようですね。^q^
この話では天国と飛鳥しか出てきませんが、そろそろ細道組の話に進めようとしているのが読み直し、書き直しをして伝わってきたので、上手くいったらようやく細道組に焦点が当たってくれそうです。
学園もの以外にも書いてみようかなと思っている話はあるのになぁ…書きあがらないんだぜ^q^
「鬼男くーん、体育祭のことなんだ…け、ど…?」
放課後、オレが生徒会室のドアを開けながら言うと、机に伏せる鬼男くんの姿が目に入った。呼吸が規則的だから、寝てるみたい。
「疲れてるんだね…。」
鬼男くんの傍にしゃがみ込み、眼鏡をかけたまま眠る顔を眺める。
「フレーム、歪んじゃうよ?」
言って、起こさないようにそっと眼鏡を外してやる。普段はかけないのに、細かい字を読んだり授業中に黒板を見たりするときだけ鬼男くんは眼鏡をかける。これがまたかなり似合ってて。思わずときめいちゃうくらい。
「こういうギャップって、結構ポイント高いんだよねー。」
鬼男くんのコト好きな女の子、結構沢山いるんだよな…。鬼男くんの目には、オレや女の子はどういう風に見えてるのかな…?
――それは、ちょっとした好奇心。
「……」
オレは、手に持っていた鬼男くんの眼鏡を自分でかけてみた。
うーん、何か目の前ちょっと変だな…。鬼男くん、こんな視界で生活してたのか。
「何…してるんですか…?」
「うふふ、似合うー?」
目が覚めたらしい鬼男くんが声をかけてきたから、そっちに目を向けて問いかけ。鬼男くんみたいに頭良く見えるかな?
「っ、早く外せバカ!」
「あ!」
オレが眼鏡をかけてることに気付くと、鬼男くんはバッと体を起こしてオレから眼鏡を外してしまった。いくらなんでも、その対応は酷くない?
「むー…オレ、そんなに似合わなかった?」
「そういう問題じゃありません。僕の眼鏡は少なからず度が入ってるんです。目が良い大王がかけてたら視力落ちますよ。」
不満を露に問うと、鬼男くんは叱るように答えて眼鏡をケースに仕舞ってしまった。
あ、もう掛けないんだ…ちょっと残念。
「鬼男くんの目には、どういう風に世界が見えてるのかなって思ってさ。」
鬼男くんの顔を下から覗き込むようにして見上げる。
「…眼鏡掛けたってそんなん分かるわけないでしょう。」
鬼男くんは、オレの上目遣いに弱い。ほんのり頬を赤らめて答える姿は目の保養と言わんばかりに可愛いんだよね。
「好きな子のコトを知りたいって言う乙女心…悟ってほしいなー?」
顔を近づけて、鬼男くんの首に手を回す。
「お前は間違っても乙女じゃねぇし、眼鏡一つで分かるわけないだろこのイカ野郎。」
「ちょ、ヒド!俺、今結構傷ついたぁ~!」
首に回した手はそのままに鬼男くんの胸に顔を埋めて喚いた。ほんと、辛辣なんだから。もう少し恋人らしく甘やかしてくれたって…
「不安にならなくたって、僕の目には閻魔しか映ってませんよ。」
「っ!」
不覚。少し、ときめいた。
いつの間にそんな口説き文句覚えたんだろ。…ご丁寧に頬に手まで添えてくるし。
「顔…赤くなってますよ?」
珍しく、したり顔の鬼男くん。
「え!?え、あー…あぁ、今日は少し暑いからねぇ。」
テキトーなことを言って、そのまま口付けた。逃げられないように後頭部を押さえて舌を滑り込ませる。だってこのオレが動揺したなんて、少し悔しいじゃない?
「っ、ふ…ん…っ」
お互いに舌を絡ませあってしばらく口付けを堪能する。
最近、何だかんだで邪魔入ってたしね?
「っ、は…ぁ」
鬼男くんはキスの最中に息を止める癖があるから、離れたときにはもうオレより赤い顔で肩で息をしてる。まだまだだね、鬼男くん。
「…オレも眼鏡掛けよっかな~。」
「は…?」
オレの呟きに、鬼男くんは心底理解できないと言う顔をした。
「ずっと眼鏡掛けてれば外したときドキッとするじゃない?」
「…ドキッとしたんですか?」
「っ!」
しまった、墓穴掘った。鬼男くんをからかうつもりだったのに…!スッゴク楽しそうな顔してるよこの子!
「教えてくださいよ…大王。」
「っ…」
うぅ…ヤバイ、今日は何だか押されそうな気がする。だって、そうやって問いかけてくる鬼男くん…かなりカッコいい。
「眼鏡掛けてる僕の姿に見とれましたか?」
「えー…っとぉ…」
「…閻魔?」
あぁ、もう…。今日だけだからね?
「う、ん…見とれてた。ほらっ、鬼男くんって普段は眼鏡かけないからさ…余計に、カッコよく見えて。」
言ってみて今分かったけど…こういうの、半端なく恥ずかしい。鬼男くんが素直にならない理由が分かった気がするよ。
「…あれ?」
「見るな大王イカ!」
「げふぉっ!?」
何の反応もないから鬼男くんの様子を窺ってみると、叫びと共に鉄拳が飛んできた。なに、この仕打ち…。オレ、珍しく素直になったのに。
「っ…!」
あらら~、顔真っ赤だねぇ…。
「…好きだよ、鬼男くん。」
真っ赤な顔を背けて俯いてる鬼男くんに近づいて、耳元で囁いてみる。
あぁ…ダメだよ、鬼男くん。そんな風に戸惑った表情を見せられたらオレ、我慢できなくなっちゃう。
「鬼男くん…」
名前を呼んで、顎に手をかける。窓際に鬼男くんを追い詰めてそのまま…
「おっにお~!!」
「っ!!」
何の前触れもなく開いた扉に驚いた鬼男くんがオレを突き飛ばす。…また、このパターンですか。
「…どうしたんだ?」
「ねぇ、太子さぁ…オレたちに何か恨みでもあるの?」
突き飛ばされたまま、オレは立ち上がる気すら起きなくて恨みがましく太子を見上げた。太子は何も理解してなさそうな顔できょとんとしてる。…あぁ、邪魔されない恋がしたい。
「お…おぅ太子。今度は何だよ。」
鬼男くんが必死に何事もなかったかのような態度を装ってる。うーん…でも、まだ顔真っ赤だよ?鬼男くん。
「聞いてくれ鬼男!今日、今日なんと!妹子が」
「黙っとけアホ太子ー!!」
太子が嬉々として何かを語ろうとした時、背中に叫びと共に飛び蹴りが直撃。
「え…」
「小野…?」
これにはさすがに驚いた。朝よりきつい一撃だ。まさかここまでとは…。
「いったいなー、もう。いきなり何すんだ!」
「アンタが余計なこと話そうとするからだ!」
「何が余計なことだ!私はこの感動を鬼男たちにも聞かせてやろうとだなぁ…」
「それが余計なことなんです!もう何も言うなアホ太子!」
俺たちを置き去りにギャアギャアと口論を続ける二人に、思わずため息がこぼれる。
「もう大丈夫なんだな、小野?」
「えっ?」
フッと、安心したような笑みを浮かべて鬼男くんが問いかける。妹子くんはその言葉にキョトンとした表情で。なんか…かわいいな。
「もう、素の自分を出せるんだね?ってことだよ。前みたいに無理しなくても、さ。」
起き上がって座った状態で妹子くんを見上げ、鬼男くんの言葉を補う。妹子くんは一瞬驚いたような顔をしたあと、ちらりと太子の方に目を向けてすぐにこっちに視線を戻した。
「えぇ…まぁ。鬼男先輩、ご迷惑お掛けしました。」
取っ組み合いの途中で、未だに掴んでいた太子の腕から手を離して、妹子くんはペコリと頭を下げる。
「良いって、別に。まぁ、無理はしないようにな?」
そんな妹子くんの頭をくしゃりと撫でて答える鬼男くんに、さすがにオレもムッとする。オレにはそんなことしたことないくせにっ…!
見ると、太子も不機嫌そうに眉根を寄せてる。視線を太子に送って、無言で頷き合う。
「鬼男くーん?」「いーもこ!」
せーので同時に相手の腕を掴んで二人を引き離した。
「うわっ!」「えっ!?」
「オレには辛辣なのに、妹子くんには優しいんだ?」
「っ…!何言ってんだ、この大王イカッ!」
ギュッと腕を掴んで、上目使いで鬼男くんを睨む。頬を軽く赤らめてまたいつものようにイカ扱い。でも、今はそれが正解。そうやって俺だけを見ててよね?
「ちょっ、何ですかいきなり!離せっ!」
「やだよー。妹子ってば鬼男とばっか話してるんだもん。」
一方太子は腕を掴んで引き寄せてから後ろから妹子くんを抱きしめて会話をしてる。オレもあんな風にすればよかったなー。腕に抱きつくよりよっぽど良いかも。
「何言ってんだアホ太子!鬼男先輩に謝罪しただけでしょう!」
「それでもヤなのっ!ずっと、妹子と全然話せなかったから私は寂しかったんだ!」
「それはっ…謝りますけど…。それとこれとは話が別です!」
「別じゃないやい!一緒だ!」
うん、仲いいのは分かったからさぁ…
「「他所でやれ。」」
思わず鬼男くんとハモって出てきた言葉。オレたちの邪魔しといて、自分達は見せつけるってどうなの?ホントに…。
「あっ、すみません。仕事の邪魔ですよね。ほらっ、太子行きますよ!」
「うわっ、アホ妹子!急に引っ張るな!」
「うるさい!大体アンタが余計なことしなければですねっ…!」
「じゃ、また明日な閻魔~、鬼男~」
やっぱりぎゃあぎゃあ騒ぎながら二人は生徒会室を出ていった。…何だったの、ホントに。
「ところで、会議はどうなったんです?」
「へっ?」
いきなりの話題転換についていけず、思わず間抜けな声が出る。
「今日、会議があるって言っておきましたよね?」
鬼男くんは、それを忘れていたととったらしい。怒りを露にした低い声で確認をとってくる。…こ、怖っ!
「ちょ、待って!行ってきた、ちゃんと行ってきたよ!んで、体育祭のことで聞きたいことができたから聞こうと思ったら君が寝てたのっ!」
オレは断じて悪くない!
「あぁ、そうなんですか。…すみません。それで?聞きたいことってなんですか?」
「…あれ、何だっけ。」
どうしよう。どうやらさっきまでのやり取りですっかり頭から抜け落ちちゃったみたいだ。
「っ、お前は何のために会議に出たんだこのアホ大王イカー!!」
本日何度目かのイカが、生徒会室に響き渡った。
【続く…と、いいね♪】