夏祭り(細道組)
admin≫
2009/08/11 23:59:30
2009/08/11 23:59:30
改めて思った。
細道の二人、難しい…!
設定や話の流れも考えていたはずなのに、ちっともうまくまとまってくれませんでした。
・現代…?少なくとも旅の途中ではない。
・曽良くんがデレデレみたいな感じになりました。
・蕎麦のつもり…なんだけど…?
・読み直しして書き直すかも…
・今までで一番別人フラグ
こんなのですが読んでくださる方は追記から…
細道の二人、難しい…!
設定や話の流れも考えていたはずなのに、ちっともうまくまとまってくれませんでした。
・現代…?少なくとも旅の途中ではない。
・曽良くんがデレデレみたいな感じになりました。
・蕎麦のつもり…なんだけど…?
・読み直しして書き直すかも…
・今までで一番別人フラグ
こんなのですが読んでくださる方は追記から…
▼今日、お祭りみたいだよ!▼
「あれ…?」
芭蕉と曽良が夕涼みも兼ねて散歩に出掛けると、いつもの散歩コースになっている神社の周辺が騒がしかった。
人が溢れんばかりに集い、中にはちらほらと可愛らしい浴衣姿。
「今日って、もしかしてお祭り?」
芭蕉が隣の曽良を見上げて首を傾げると、曽良もごった返す人の並みを眺めながら「そのようですね。」と頷いた。
「ね、曽良くん!ちょっと寄って、かない…よね。」
「なぜ分かるんですか。僕の考えを勝手に決めつけないで下さい。」
最初は恐らく誘うつもりで口を開いたのだろうが、言っている間に諦めの色に変わっていった芭蕉の変化が気にくわなくて、曽良はムッとしたように言い返した。
そんな風に言い返されれば期待するのは当然で。
芭蕉はぱぁっと表情を明るくさせた。
「え、じゃあ寄ってくれるの!?」
「嫌ですけど。」
「チクショー!」
期待を込めた問いかけをコンマレベルの早さで切り捨てられて、芭蕉は悔しそうに声をあげた。
その姿を見て、曽良は他人が見たら変化はないが、満足げな笑みを芭蕉には見えないように浮かべる。
「良いもん、私一人でも見てくるから!曽良くんなんて一人で帰って一人寂しく縁側にでも座ってろー!」
「ったく…馬鹿ジジイが。」
当然笑みに気付かなかった芭蕉は一人でそう叫ぶと、曽良に背を向けて駆け出す。
曽良も苛立った様子で舌打ちして呟き、芭蕉の後を追った。
「人多いなー。そして屋台も多い!わー、いろんなもの売ってるー!」
「初めて来たわけでもないでしょうに。」
子どものように目を輝かせて芭蕉が騒いでいると、追い付いた曽良が呆れたようにため息をつく。
「あれー?曽良くん、一緒に来るのー?仕方ないなー、どうしても一緒にって言うなら一緒に回ってあげてもっ…おまつりっ!!」
結局ついてきた曽良を見てつい調子に乗った芭蕉は、言葉の途中で鋭い断罪を受けて吹っ飛んだ。
周囲にいた祭り客は何事かと足を止めて芭蕉と曽良を交互に見やる。
「すみません、芭蕉さん。あまりにも不快だったので、つい…」
「つい!?つい、でやるレベルじゃなかったよね?!今の!」
しかし、曽良も芭蕉もそんな視線を気にした様子はなく、いつものように口論を始める。
「ほら、さっさと立ってください。他の祭り客に迷惑ですよ。」
曽良は言いながら芭蕉に近づき、周囲の客に鋭い視線を浴びせながら芭蕉に声をかけた。
――いつまでもそこにいないでさっさとどこかに行ったらどうなんです?
何となく、そんな声が聞こえた気がして立ち止まっていた客はそそくさと芭蕉たちから離れていった。
「もー、誰のせいでこうなったと思ってるんだよ!君はもっと、私を敬うべきだ!」
そんな祭り客と曽良のやり取りには全く気付かず、プンプンという効果音が聞こえそうな雰囲気で芭蕉は言葉を発し、立ち上がった。
「ほぅ…敬うことができるようなところを持っていると?」
「あるよ!俳句とか、俳句とか、俳句とか!」
片眉を上げて冷たく問いかける曽良に芭蕉は胸を張ってそう答えた。
曽良の動きが一瞬止まる。
「あれ…曽良くん?」
「そういうセリフは…調子を取り戻してから言いなさい、この下手男が!!」
「はなびっ!!」
不思議に思った芭蕉が曽良の顔を覗きこんだのとほぼ同時に腹部に繰り出された断罪チョップに、芭蕉はまたも吹っ飛ばされる。
「松尾芭ションボリ…」
芭蕉が地面に倒れたままポツリと呟いたとき、一筋の光が夜空に上り、弾けた。
「わ、あ…」
次々と光を走らせては弾ける鮮やかな華を見て、芭蕉は思わず痛みも忘れて起き上がり、空をじっと見つめた。
曽良は、そんな芭蕉の表情をどこか切なげに見つめている。まるで、迷子になった子どものような瞳。
「曽良くん!」
「っ…!」
突然、芭蕉が曽良の名前を呼んで振り返った。
芭蕉の視線が、意識が空ではなく曽良に向けられる。
「…何ですか、芭蕉さん。」
その事実にどこか安堵しながら、表情・口調はいつも通りを装って聞き返す。
「花火、もうちょっと見えやすいとこ探そう!」
「は…?」
「曽良くん、花火ちゃんと見たことなかったでしょ?ほら、行こう!」
曽良が芭蕉の言葉を理解するより早く、芭蕉は曽良の手をとって歩き出した。
周りの祭り客は花火に見入っているし、芭蕉もどんどん歩いていくので手を離すタイミングを逃し、手を引かれるままに曽良も歩く。
「うーん、やっぱどこも人でいっぱいだね。」
先程の場所と比べればいくぶん見やすい場所で立ち止まり、芭蕉が呟く。
いくら見やすいとはいえ、この人混みだ。曽良はあまり好まないだろう。
「…ここからでもちゃんと見えますから、問題ありませんよ。」
うーん…と悩む芭蕉に、曽良はため息混じりの声で答えた。
「いいの?だって曽良くん、こういう人混み…苦手でしょ?」
「どこに行ったって同じくらいの人ですよ。その間に花火が終わってしまったら、意味がないでしょう。」
芭蕉の心配そうな問いかけに、曽良はそれだけ答えて視線を空に向けた。
「…ありがと、曽良くん。」
芭蕉自身も花火をしっかり見たいと思っていたので、曽良のその言葉が嬉しくてこそっと礼を言うと、繋いだ手の力を少し強めて空を見上げた。
「すごい、今の見た!?星形!」
ただ手を繋いでいる…それだけなのに、芭蕉の意識は先程のように空だけに集中することはなく、時々曽良のほうに目を向けて声をかけてくる。
いつもなら、やかましいと言って黙らせるのに、今日はなんだかそんな芭蕉に安堵している自分がいた。
「わ、すごい!五色に分かれた!」
「……」
気付けば曽良は、弾けては空を彩る華よりも、その光に照らされ笑顔を見せる芭蕉の方をじっと見つめていた。
ただ大きな音をたてて空で炎色反応を起こしている花火より、その炎色反応を見る度に子どものようにはしゃぐ芭蕉が、今度はいつ自分の方を見てくれるか…そんなことを考えていた。
「綺麗だねぇ…」
「そうですね。綺麗です、凄く。」
芭蕉が空を見上げて呟くと、同意する曽良の声。
それに反応してパッと曽良のほうに視線を移した芭蕉は「そうだよね!」と笑顔を見せた。
「えぇ。花火に照らされる芭蕉さんは、綺麗ですよ。」
「…え?え、ちょちょっ、違うって!私じゃなくて、花火でしょ花火!」
曽良があまりにも真剣な目をして言うものだから、芭蕉は一気に頬が熱くなり、慌てて訂正する。
「こんなヘボジジイも綺麗に見せるんですから、炎色反応も侮れませんね。」
曽良は一瞬はっとした表情を見せた後、すぐに空に視線を戻して憎まれ口を叩く。
「ヘボジジイって…松尾はまだ若いよ!失礼な!」
その言葉で恥ずかしさより怒りが勝ったのか芭蕉もいつも通りに言い返す。と…
「ねぇねぇ、知ってる?」
横にいた若い女性が恋人であろう男性に寄り添いながら声をかけた。
知ってる?と聞かれると、人間気になるもので。
思わず口論をやめて、その女性の次の言葉を待ってしまう。
「知ってるって、何を?」
「いつ上がるか分からないんだけどね?ハート型の花火が打ち上がったときにキスしたカップルは一生離れないんだって!」
恋人が続きを促すと、女性は嬉しそうに続きを話した。
それを聞いて、曽良と芭蕉は何とはなしに顔を見合わせる。
「そんなおまじない、あるんだね。」
「…たかが花火にそんな力はないと思いますけど。」
ふふっと微笑ましげに芭蕉が言うと、曽良は興味がないというよりは端から否定しているように答えた。
「もう、またそーいうこと言って。好きな人とずっと一緒にいたいっていうのは誰だって願うことだよ。」
芭蕉はそう言って、曽良の手を握る手に力を込めるから。
曽良は柄にもないことを口にしてしまったのだろう。
「なら、試してみますか?」
「え!?」
曽良の言葉に芭蕉が本気で驚いた顔を見せる。
それほど、彼の言葉は意外だった。
「花火が上がる音がする度口付ければ、そのうちにハート型の花火が上がったときにキスできますよ。」
「い、いや!いいよ!それにっ…!」
「わぁ、すごい!ハート型だ!!」
焦った様子で話す芭蕉の声を遮って、後ろの方で女の子の声がした。
「え…!?」
「あぁ、上がってしまいましたね。」
その声で慌てて空を見上げると、綺麗にハート型になった花火が消えていくところが目に映った。
「残念でしたね。試すことはできませんでした。」
やはり曽良は何の感動もないような口調で芭蕉に言った。
「別に試したかった訳じゃないから!それに…」
「…?それに、何です?」
不自然に言葉を切って、いまだに打ち上がる花火を見上げた芭蕉に曽良が聞き返すと、芭蕉は柔らかく微笑んでこう言った。
「私、曽良くんから離れるつもりも…曽良くんを離すつもりもないから。」
「…つまり僕は一生を芭蕉さんと共に過ごさなくてはいけないわけですね…冗談じゃありません。お断りします。」
「えぇ!?側にいてよ、曽良くん!」
――例え気休めでも、一生あなたの側にいられると言う保証ができると、少し思ってしまいました。
「僕に何のメリットもないじゃありませんか。」
「酷い!松尾のことなんだと思ってるんだ!」
「スランプの全く直らないもうろくジジイですかね。」
――でも、そんな願掛けはあなたの前では無意味なようです。
「私は曽良くんのこと、大好きなのになぁ…」
「奇遇ですね、僕もです。」
弾けた花火の音に紛れて本音をこぼす。
お互いの耳に届いたかどうかは…お互いだけが知っていればそれでいい。
――――――――
奇跡も、ジンクスも関係ない細道組。
芭蕉と曽良が夕涼みも兼ねて散歩に出掛けると、いつもの散歩コースになっている神社の周辺が騒がしかった。
人が溢れんばかりに集い、中にはちらほらと可愛らしい浴衣姿。
「今日って、もしかしてお祭り?」
芭蕉が隣の曽良を見上げて首を傾げると、曽良もごった返す人の並みを眺めながら「そのようですね。」と頷いた。
「ね、曽良くん!ちょっと寄って、かない…よね。」
「なぜ分かるんですか。僕の考えを勝手に決めつけないで下さい。」
最初は恐らく誘うつもりで口を開いたのだろうが、言っている間に諦めの色に変わっていった芭蕉の変化が気にくわなくて、曽良はムッとしたように言い返した。
そんな風に言い返されれば期待するのは当然で。
芭蕉はぱぁっと表情を明るくさせた。
「え、じゃあ寄ってくれるの!?」
「嫌ですけど。」
「チクショー!」
期待を込めた問いかけをコンマレベルの早さで切り捨てられて、芭蕉は悔しそうに声をあげた。
その姿を見て、曽良は他人が見たら変化はないが、満足げな笑みを芭蕉には見えないように浮かべる。
「良いもん、私一人でも見てくるから!曽良くんなんて一人で帰って一人寂しく縁側にでも座ってろー!」
「ったく…馬鹿ジジイが。」
当然笑みに気付かなかった芭蕉は一人でそう叫ぶと、曽良に背を向けて駆け出す。
曽良も苛立った様子で舌打ちして呟き、芭蕉の後を追った。
「人多いなー。そして屋台も多い!わー、いろんなもの売ってるー!」
「初めて来たわけでもないでしょうに。」
子どものように目を輝かせて芭蕉が騒いでいると、追い付いた曽良が呆れたようにため息をつく。
「あれー?曽良くん、一緒に来るのー?仕方ないなー、どうしても一緒にって言うなら一緒に回ってあげてもっ…おまつりっ!!」
結局ついてきた曽良を見てつい調子に乗った芭蕉は、言葉の途中で鋭い断罪を受けて吹っ飛んだ。
周囲にいた祭り客は何事かと足を止めて芭蕉と曽良を交互に見やる。
「すみません、芭蕉さん。あまりにも不快だったので、つい…」
「つい!?つい、でやるレベルじゃなかったよね?!今の!」
しかし、曽良も芭蕉もそんな視線を気にした様子はなく、いつものように口論を始める。
「ほら、さっさと立ってください。他の祭り客に迷惑ですよ。」
曽良は言いながら芭蕉に近づき、周囲の客に鋭い視線を浴びせながら芭蕉に声をかけた。
――いつまでもそこにいないでさっさとどこかに行ったらどうなんです?
何となく、そんな声が聞こえた気がして立ち止まっていた客はそそくさと芭蕉たちから離れていった。
「もー、誰のせいでこうなったと思ってるんだよ!君はもっと、私を敬うべきだ!」
そんな祭り客と曽良のやり取りには全く気付かず、プンプンという効果音が聞こえそうな雰囲気で芭蕉は言葉を発し、立ち上がった。
「ほぅ…敬うことができるようなところを持っていると?」
「あるよ!俳句とか、俳句とか、俳句とか!」
片眉を上げて冷たく問いかける曽良に芭蕉は胸を張ってそう答えた。
曽良の動きが一瞬止まる。
「あれ…曽良くん?」
「そういうセリフは…調子を取り戻してから言いなさい、この下手男が!!」
「はなびっ!!」
不思議に思った芭蕉が曽良の顔を覗きこんだのとほぼ同時に腹部に繰り出された断罪チョップに、芭蕉はまたも吹っ飛ばされる。
「松尾芭ションボリ…」
芭蕉が地面に倒れたままポツリと呟いたとき、一筋の光が夜空に上り、弾けた。
「わ、あ…」
次々と光を走らせては弾ける鮮やかな華を見て、芭蕉は思わず痛みも忘れて起き上がり、空をじっと見つめた。
曽良は、そんな芭蕉の表情をどこか切なげに見つめている。まるで、迷子になった子どものような瞳。
「曽良くん!」
「っ…!」
突然、芭蕉が曽良の名前を呼んで振り返った。
芭蕉の視線が、意識が空ではなく曽良に向けられる。
「…何ですか、芭蕉さん。」
その事実にどこか安堵しながら、表情・口調はいつも通りを装って聞き返す。
「花火、もうちょっと見えやすいとこ探そう!」
「は…?」
「曽良くん、花火ちゃんと見たことなかったでしょ?ほら、行こう!」
曽良が芭蕉の言葉を理解するより早く、芭蕉は曽良の手をとって歩き出した。
周りの祭り客は花火に見入っているし、芭蕉もどんどん歩いていくので手を離すタイミングを逃し、手を引かれるままに曽良も歩く。
「うーん、やっぱどこも人でいっぱいだね。」
先程の場所と比べればいくぶん見やすい場所で立ち止まり、芭蕉が呟く。
いくら見やすいとはいえ、この人混みだ。曽良はあまり好まないだろう。
「…ここからでもちゃんと見えますから、問題ありませんよ。」
うーん…と悩む芭蕉に、曽良はため息混じりの声で答えた。
「いいの?だって曽良くん、こういう人混み…苦手でしょ?」
「どこに行ったって同じくらいの人ですよ。その間に花火が終わってしまったら、意味がないでしょう。」
芭蕉の心配そうな問いかけに、曽良はそれだけ答えて視線を空に向けた。
「…ありがと、曽良くん。」
芭蕉自身も花火をしっかり見たいと思っていたので、曽良のその言葉が嬉しくてこそっと礼を言うと、繋いだ手の力を少し強めて空を見上げた。
「すごい、今の見た!?星形!」
ただ手を繋いでいる…それだけなのに、芭蕉の意識は先程のように空だけに集中することはなく、時々曽良のほうに目を向けて声をかけてくる。
いつもなら、やかましいと言って黙らせるのに、今日はなんだかそんな芭蕉に安堵している自分がいた。
「わ、すごい!五色に分かれた!」
「……」
気付けば曽良は、弾けては空を彩る華よりも、その光に照らされ笑顔を見せる芭蕉の方をじっと見つめていた。
ただ大きな音をたてて空で炎色反応を起こしている花火より、その炎色反応を見る度に子どものようにはしゃぐ芭蕉が、今度はいつ自分の方を見てくれるか…そんなことを考えていた。
「綺麗だねぇ…」
「そうですね。綺麗です、凄く。」
芭蕉が空を見上げて呟くと、同意する曽良の声。
それに反応してパッと曽良のほうに視線を移した芭蕉は「そうだよね!」と笑顔を見せた。
「えぇ。花火に照らされる芭蕉さんは、綺麗ですよ。」
「…え?え、ちょちょっ、違うって!私じゃなくて、花火でしょ花火!」
曽良があまりにも真剣な目をして言うものだから、芭蕉は一気に頬が熱くなり、慌てて訂正する。
「こんなヘボジジイも綺麗に見せるんですから、炎色反応も侮れませんね。」
曽良は一瞬はっとした表情を見せた後、すぐに空に視線を戻して憎まれ口を叩く。
「ヘボジジイって…松尾はまだ若いよ!失礼な!」
その言葉で恥ずかしさより怒りが勝ったのか芭蕉もいつも通りに言い返す。と…
「ねぇねぇ、知ってる?」
横にいた若い女性が恋人であろう男性に寄り添いながら声をかけた。
知ってる?と聞かれると、人間気になるもので。
思わず口論をやめて、その女性の次の言葉を待ってしまう。
「知ってるって、何を?」
「いつ上がるか分からないんだけどね?ハート型の花火が打ち上がったときにキスしたカップルは一生離れないんだって!」
恋人が続きを促すと、女性は嬉しそうに続きを話した。
それを聞いて、曽良と芭蕉は何とはなしに顔を見合わせる。
「そんなおまじない、あるんだね。」
「…たかが花火にそんな力はないと思いますけど。」
ふふっと微笑ましげに芭蕉が言うと、曽良は興味がないというよりは端から否定しているように答えた。
「もう、またそーいうこと言って。好きな人とずっと一緒にいたいっていうのは誰だって願うことだよ。」
芭蕉はそう言って、曽良の手を握る手に力を込めるから。
曽良は柄にもないことを口にしてしまったのだろう。
「なら、試してみますか?」
「え!?」
曽良の言葉に芭蕉が本気で驚いた顔を見せる。
それほど、彼の言葉は意外だった。
「花火が上がる音がする度口付ければ、そのうちにハート型の花火が上がったときにキスできますよ。」
「い、いや!いいよ!それにっ…!」
「わぁ、すごい!ハート型だ!!」
焦った様子で話す芭蕉の声を遮って、後ろの方で女の子の声がした。
「え…!?」
「あぁ、上がってしまいましたね。」
その声で慌てて空を見上げると、綺麗にハート型になった花火が消えていくところが目に映った。
「残念でしたね。試すことはできませんでした。」
やはり曽良は何の感動もないような口調で芭蕉に言った。
「別に試したかった訳じゃないから!それに…」
「…?それに、何です?」
不自然に言葉を切って、いまだに打ち上がる花火を見上げた芭蕉に曽良が聞き返すと、芭蕉は柔らかく微笑んでこう言った。
「私、曽良くんから離れるつもりも…曽良くんを離すつもりもないから。」
「…つまり僕は一生を芭蕉さんと共に過ごさなくてはいけないわけですね…冗談じゃありません。お断りします。」
「えぇ!?側にいてよ、曽良くん!」
――例え気休めでも、一生あなたの側にいられると言う保証ができると、少し思ってしまいました。
「僕に何のメリットもないじゃありませんか。」
「酷い!松尾のことなんだと思ってるんだ!」
「スランプの全く直らないもうろくジジイですかね。」
――でも、そんな願掛けはあなたの前では無意味なようです。
「私は曽良くんのこと、大好きなのになぁ…」
「奇遇ですね、僕もです。」
弾けた花火の音に紛れて本音をこぼす。
お互いの耳に届いたかどうかは…お互いだけが知っていればそれでいい。
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奇跡も、ジンクスも関係ない細道組。
PR
この記事へのコメント
--無題--
ここにコメ久しぶりだった件^p^
そして何この二人www
2424しながら見てたよ(・v・*)2828
最初らへんは爆笑してました←
曽良君が原作でね、思わず吹いちゃったww
次は鬼芋かな、鬼芋かな(*´д`*)ハアハア((
そして何この二人www
2424しながら見てたよ(・v・*)2828
最初らへんは爆笑してました←
曽良君が原作でね、思わず吹いちゃったww
次は鬼芋かな、鬼芋かな(*´д`*)ハアハア((
コメントありがとうございます!
そして、コメント早いww
2428してくれたなら嬉しいよー。ありがとう!
細道のあの原作での会話はついついさせたくなっちゃうんだよww
だって、楽しいじゃない。
鬼芋は現在書いてる最中だよ~。しばしお待ちを!
そして、コメント早いww
2428してくれたなら嬉しいよー。ありがとう!
細道のあの原作での会話はついついさせたくなっちゃうんだよww
だって、楽しいじゃない。
鬼芋は現在書いてる最中だよ~。しばしお待ちを!
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