君の嘘を見抜くのは(閻魔×鬼男)
2009/08/29 17:14:28
それでもやはり、何となく納得はいっていないのですがwww
でもまぁ、とりあえずおわったっぽいのでここに載せてみます。
この恥知らずがっ!
って感じではありますけどね…。もったいない精神です!
・鬼男くんを可愛く書いてみたかったんだよ。
・閻魔にちょびっと怒ってもらいたかったんだよ。
・大幅に書き直したけど、ちょっとつなぎがおかしいかもしれないよ
・全体的にがっかりクオリティだよ。
それでも風邪を引いた鬼男くんが見たい方は追記からどうぞ
…絶対おかしい。
閻魔は仕事をしながらいつもの定位置にいる鬼男を盗み見て思った。
仕事はいつも通りこなしているし、背筋を伸ばして真っ直ぐ立ってチェックを入れながら死者を呼ぶ声も、いつものように透き通って耳心地がいい。
だけど…どこか、絶対におかしい。
「鬼男くーん。」
「…何ですか、大王。休憩はまだですよ。」
次の死者を呼ぶまでのほんの少しの合間を狙って、閻魔は声をかけた。
返事、対応はいつも通りだが、反応までの時間がいつもより少しだけ、遅かった。
「鬼男くん、ちょっとこっち来て。俺の近く。」
「…何でですか?まだ仕事中ですよ。」
言って閻魔が手招きすれば、鬼男はあからさまに嫌そうな態度で問いかけてくる。
「鬼男くん。」
「っ…」
問いには答えず、ただ一言名前を呼んで閻魔は鬼男をじっと見つめた。
「…分かりました。ほら、何ですか?」
鬼男はその視線に耐えられなくなって、諦めたようにため息をつくと閻魔に近づき、改めて問いかけた。
足取りが少し、覚束ない。
「うん、ちょっと…」
「うわっ、ちょっ…!」
言いながら閻魔は立ち上がると、ギュッと鬼男を抱きしめた。
突然のことに驚き、鬼男が声を上げる。が、閻魔は気にせず抱きしめたままぺたぺたと鬼男の体に触れた。
「大王…?」
「鬼男くんさぁ…熱あるでしょ。」
鬼男が不思議そうに名前を呼ぶと、閻魔はやはり抱きしめたまま少し怒った様子で返した。
「…仕事に支障は来していないと思いますが?」
抱きしめられれば当然気付かれてしまうことは分かっていたので、鬼男は大して驚いた様子も焦った様子も見せず、仕事ができることを訴える。
「仕事はいつも通り進んでる。進んでるけど、これだけ熱が出てて鬼男くん、辛くないってことはないでしょ。」
閻魔は鬼男から少し体を離すと、自然叱るような口調になって言った。
「僕の体より重要なのは職務でしょう。僕がいなきゃまともに仕事しないくせに何を」
「そういうことを言ってるんじゃない。」
鬼男自身、なぜ閻魔に叱られなければいけないんだという苛立ちがあって、ムッとしたように意見すると、閻魔は静かではあるが、確かに怒りを露にして言葉を遮った。
「俺が言ってるのは、なんでこんなに熱が出てるのに黙ってたかってことだよ。」
スッと紅玉を宿す目が細められて、死者の嘘を見破ったり諭したりするときのような鋭い目付きで閻魔は言葉を続けた。
こういうとき、閻魔は相当怒っていることが多い。
「っ、それは…」
「仕事をいつも通りこなせばバレないと思った?熱が出ていれば、いくらいつも通りを装ってたって判断力や体力、思考力だって低下する。
ゴメスみたいなことがあったらどうする気なの?その時に対応できる自信はあるの?」
熱のせいで霞む頭でなんとか言葉を繋げようとする鬼男に、まるで言い訳は許さないと言いたげに逆に捲し立てる閻魔。
「っ…」
自覚している症状を言い当てられ、ゴメスの一件を思い出し、鬼男は言葉に詰まる。
「あー…違う。違う違う!言いたいのはこんなことじゃなくて…!」
鬼男の態度を見てハッとした閻魔は、慌てて首を振って素直に心配そうな表情を見せた。
「…君に、無理してほしくないんだ。辛いときは辛いって言ってほしいし、俺を頼ってほしいっていうか…。」
「……」
閻魔が純粋に心配の言葉を投げ掛けたが、鬼男は泣き出しそうに眉根を寄せるだけで、黙って俯いた。
「ねぇ、鬼男くん?君はすごく真面目ないい子だけど、真面目すぎる。体調が悪いときくらい部屋でゆっくり休んでたって、俺は何も言わないよ。むしろ、無理して普段通りにされるよりその方がずっと安心する。」
そんな鬼男の頭を、くしゃっと撫でて閻魔は優しく、宥めるように声をかけた。
「ね、今から休みをあげるから部屋でゆっくり…」
「っ、や…す…」
このまま休ませるのが得策だろうと思って閻魔が言葉を続けると、震えてかすれた声が返ってきた。
「え?」
「いや、です…」
聞き取れずに閻魔が聞き返せば、鬼男は顔を上げてその提案を拒否した。
「嫌です、って…鬼男くん、今自分がどれだけ辛いか自覚してるでしょ?仕事してるより、休んだ方がよっぽど良いって分からない?」
「どれだけ熱が高いか、分かってるから…嫌なん、です。」
呆れたように言う閻魔に、言葉にされることでだんだん本格的に体調が悪くなってきたらしい鬼男は、隠す気力もなくなってきたのか辛そうに言い返す。
「鬼男くん…?」
「傍にいちゃ、いけませんか…?部屋で一人、みんなが働いている音を聞いてるの、嫌なんです…」
すごく、寂しくて。そう言って持っていたファイルをきゅっと握りしめる鬼男。
誰だって、病気の時は不安になる。そんな当たり前なことを、閻魔はすっかり忘れていた。
「よし、今日は仕事終わり!」
「…は?」
突然閻魔はにっこり笑って言った。
あまりにも突然だったため思考がついていかず、反応に遅れてほんの少し動きを止める。
「終わり終わり。俺と一緒に部屋行こ、鬼男くん。」
「えっ…はっ?ちょ、ちょっと待てイカ!お前、何考えてっ…!」
ファイルを取り上げられ、空いた手を握られたところでようやく状況に頭がついてきた。
「今日仕上げなきゃいけない書類は鬼男くんの部屋でも出来るから。…死者の裁きは鬼男くんが心配で判断誤っちゃうかもしれないしね。」
悪戯っ子のような笑みを浮かべて、閻魔はどこか楽しそうに言った。
「バカ言うな!大王がそんなんでどうすん」
「はい、叫ばない。熱上がるでしょ。」
「っ…!?」
しかし、そんなことで黙ってしまってはこの大王の秘書は務まらない。
鬼男が再び口を開いていつものように叱りつけようとすると、閻魔はそれを予測していたようにまたも遮って、無理をして声を張り上げる鬼男の口を顔を近づけて塞いだ。
「っ、ふ…んぅ…」
ふっと、鬼男の体から力が抜ける。同時にゆっくり瞼がおりていき、閻魔が唇を離したときにはもう鬼男は寝息を立てていた。
「…ゆっくり休んでね、鬼男くん。」
閻魔が乱れた気を整えたことで、先程より少しは熱が下がった鬼男の体を支えながら呟いて、そのまま部屋へ移動した。
◇◇◇
「これでよし、と。」
鬼男を布団に寝かせ、氷枕を当ててから閻魔は一人呟いた。
死者の裁きは、明日が大変だがとりあえず保留。書類については最重要のものだけを回してもらって残りは明日以降に。
「鬼男くんの方が、大事だもんね。」
熱のせいで額に張り付いた髪をはらって、鬼男の頭を撫でる。
その手つきには愛しさが溢れていて、分かっているのかいないのか、鬼男の寝顔が幸せそうに和らいだ。
「だい…お…」
「わっ…」
不意に、鬼男が寝言とともに体を横に向けて閻魔の腕をぎゅっと抱きしめる。
そして、そのまま再び寝息を立て始めた。
「うーん…これだと、さすがに何もできないなぁ…」
それ以前に、結構無理な体制になっているため維持するのが辛い。
「このまま俺も寝ちゃおっかな…。」
鬼男と同じように横になってしまえば幾分楽だ。
閻魔はさも名案が浮かんだと言いたげに笑みを浮かべると、鬼男を起こさないように隣に潜り込む。
「ん…」
「おぉ、大胆。」
すると、鬼男は甘えるように閻魔にくっついてきた。
恐らく、体温が低いので気持ちいいのだろう。
「早く良くなってよね。鬼男くん?」
小さな声で囁いて、額に軽く口付ける。
「ん…ぅ…?」
閻魔が唇を離すと、鬼男の睫毛が震えてゆっくりと目を覚ました。
「あ…ごめん、起こしちゃった?」
「だい、おー…?」
トロンとした瞳で舌足らずに閻魔を呼ぶ鬼男。
「うん。…大丈夫?鬼男くん。」
優しく、安心させるように微笑みかけて閻魔は鬼男に容態を尋ねた。
「だいおーのおかげで、だいぶ…らくに、なりました…」
寝起きだからか、熱のせいか、舌足らずのまま子どものように柔らかく微笑んで鬼男は答える。
「…良かった。今日はずっと一緒にいるから、何も気にしなくていいよ。」
「…ありがとー、ございます…」
ギュッと閻魔の服を掴んで安心したように再び眠りにつく鬼男。
その姿が可愛らしくて、閻魔は密かに笑みを浮かべ、さらさらと指通りの良い鬼男の髪を優しく撫でた。
【終】
――――――――――
最初はもっと長くて、裏にいきかけるシーンが何度か出てきたのですが…手直ししたらこんな中途半端になりました。
きっと翌日、鬼男くんは羞恥のあまり閻魔を突き落とすでしょうwww