意地悪(閻魔×鬼男)
admin≫
2010/03/05 21:34:35
2010/03/05 21:34:35
サイトから移動した小説その2
ものすごく恥ずかしいですが、初めて書いた天国小説です。
うん…初心を忘れないために?
陵に献上したお話です。サイトに載せていたものなので、ちょっと妖しい雰囲気があります。
日和を読んで最初に私が思った天国CPは実は閻鬼だったんです。
あれ?これ、前にも書いたっけ?
・意地悪で余裕のある閻魔
・初々しくて(?)なんだか手馴れていない感じの鬼男くん
・なんという別人フラグ^q^
ものすごく恥ずかしいですが、初めて書いた天国小説です。
うん…初心を忘れないために?
陵に献上したお話です。サイトに載せていたものなので、ちょっと妖しい雰囲気があります。
日和を読んで最初に私が思った天国CPは実は閻鬼だったんです。
あれ?これ、前にも書いたっけ?
・意地悪で余裕のある閻魔
・初々しくて(?)なんだか手馴れていない感じの鬼男くん
・なんという別人フラグ^q^
▼多分甘め…?▼
「大王、今日ここに来た人の確認を…」
僕が書類を手に大王の部屋に入ると、あろうことか大王は机にうつ伏して寝息を立てていた。
まだ仕事はかなり残ってるのに、この人は…
「普段くだらないことばかりやってるからですよ…」
僕は呟いて書類を机に置くと、薄手の毛布を持ってきて大王の肩にそっと掛けた。
「さて、と…」
今日中に仕上げないといけない書類、どうするかな。とりあえず気休め程度に部屋を見回す。
「鬼男くんは、やっぱりオレに甘いよね。」
「え…」
不意に隣から聞こえた声に驚いて、一瞬動きが止まった僕を、大王は器用にも自分の机の上に押し倒した。
「なっ、アンタ起きてたのか!?」
「寝てたよ?でもオレ…鬼男くんの気配には敏感なんだよねぇ~。」
僕が焦ったように問いかけると、大王はそう言って、得意気にくすっと笑った。
悔しいけど、僕はこの人のこの表情がたまらなく好きだったりする。でも…
「起きたんなら、残りの仕事片付けてください。」
今は仕事優先だ。このままでは書類がたまる一方だから。
「えー、やだ~。紙ばっか見てもう飽きちゃった。鬼男くん、構ってよ~。」
「何ガキみたいなこと言ってんだこの…っ」
子供みたいなことを言う大王に、いつも通り爪を伸ばそうとして…できなかった。
「っ…!」
大王が、爪を伸ばそうとした方の腕を掴んで指先に口付けてきたから。
「どうしたの?鬼男くん。今、爪伸ばそうとしたよね?」
ちゅっ、とわざとらしく音を立てて聞いてくるこの人は、確実に確信犯だ。
「し、してません…っ!」
顔が熱いのを自覚していたから、それを見られるのが嫌で顔を背ける。
この机の上では、全く意味のない行動だけど。
「顔真っ赤だよ?」
案の定大王は凄く楽しそうに指摘してくる。
「うるさいっ…この、変態大王イカ…!」
苦し紛れに悪態をつくけど、大王はそれすら楽しげで。
「知ってる?鬼男くん。オレ…君にそういう風に言われるの、結構好きなんだよね。」
「っあ…!」
首筋に大王の吐息がかかったと思ったら、すぐに濡れた感触が襲った。
くそっ…こんな簡単に反応するなよ…!
「ね…このまましちゃってもいい?」
「っ、良い訳ねーだろこの変態セーラー野郎っ!!」
今度こそ大王を思いっきり蹴飛ばした。
ようやく無理な体制から解放された僕は、乱れた衣服を整えながら立ち上がる。
「げほっ…ちょっ、鬼男くん…今のはさすがにひどくないっ…?」
腹を思いっきり蹴ってしまったので、さすがの大王も苦しいらしい。
でも、そんなことは関係ない。
「セクハラで訴えられないだけマシだと思え。」
ふんっ、とそっぽを向いて吐き捨てる。だが、それがいけなかった。
「ふぅん…どこに訴えるの?」
「っ…!」
大王に背を向けてしまったばっかりに、いとも容易く後ろから抱きすくめられてしまった。大王の匂いをすぐ近くに感じて、不覚にも胸が高鳴る。
「鬼男くん…」
「あ…」
耳元で名前を呼ばれると、もう駄目だった。全身の力が抜けて、前に回された大王の腕に触れることで体を支える形になる。
「顔…見せてよ。」
僕は、大王の声に操られるように顔を上げた。するといつだって大王は満足げに微笑んで、唇を重ねてくれる。
「ん…ふっ、ぅ…」
大王の温もりも、匂いも、この感触も、僕はどうしようもないくらいに好きで、最近は離れてしまうのを恐れるようになってしまった。
今も、ずっとこのままでいれたら…なんて考えている。
「鬼男くん…」
少しだけ唇を離して、大王が僕の名前を呼ぶ。
「大好きだよ。」
あぁ…もう。だから早く離れたかったのに。
「大王…」
僕がもう抵抗しないと分かったらしい大王が、腕の力を緩めてくれたので、僕は向き直って大王の服を掴む。
僕も好きですなんて、絶対に言えないから。
「…鬼男くんって、時々可愛いことするよね。」
大王は困ったように笑って、僕に口付けた。
「ん…っ、ぅ…」
大王からのキスに応えながら、薄目を開けて大王の顔を盗み見る。
目が伏せられてて、あの綺麗な深紅の瞳を見ることは叶わなかったけど、間近で見る大王の顔は色が白く、整っていて、なんだか僕と正反対だなと思った。
「ん…!」
不意に、ひやっとした何かが僕の腹部に触れた。驚き目を見開くと、大王が楽しげに笑っている。いつのまにか壁に追いやられてて、気付けば逃げ道がなかった。
この野郎、わざとだな…!
「んぁっ!」
大王の手が、服の下で僕の肌を撫でる感覚に、僕の意思とは関係なしに身体が震えた。
「ちょっ、だいお…やめっ…!」
首筋に顔を埋める大王の肩を必死で押すけど、全然退く気配はない。
いつの間にこんな力…違う。僕の方の力が抜けてるのか。
「なんで?ついさっきまで、鬼男くんもその気だったでしょ?」
「や…っ!」
首元に唇を近づけたまま上目使いで大王が喋るから、吐息が首にかかってゾクゾクしてくる。大王を退かすために肩に置いていた手は、いつの間にか僕自身が立っているための支えになっていた。
「今の君…凄く可愛い顔してる。」
「るっ、せ…言うなっ…!」
アンタの顔も大概妙な色気出しててカッコいいんだよ…!
絶対口には出さないけど、心の中でそう言い返す。
「素直じゃないなぁ…」
僕の答えに肩を竦めて、大王は笑った。
「まぁ、そんなところも大好きなんだけど…」
言いながら大王は服の中に入れていた手を引き抜き、僕から離れた。
え…?と不思議そうに大王を見上げると、大王は妖しく微笑んで
「追加書類ってこれだよね。」
と、机の方に向かってしまった。
「は、い…そうです、けど…」
理由も分からぬままただ問いに頷くと、大王はもう何事もなかったかのように残りの書類に目を通し始める。
僕はずるずると壁に背を預けて座り込んだ。
「なんで…」
「ん?何がー?」
思わず呟くと、大王はそ知らぬ顔で聞き返し、目が合ったら楽しそうに笑った。
「っ…!」
笑った顔が言っている。
――続きがしてほしかったら、君から誘ってごらん?
この人は時々、普段の仕返しをするかのようにこういうことをする。
やったこともないことをやるのが、どれだけ難しくて恥ずかしいことか分かってるんだろう。
「鬼男くんー?そんなところに座り込んでないでこっちにおいでよ。」
にやにやとどこまでも楽しそうに僕に言う。
「分かってます…!」
目的が何であれ、大王が仕事をしているのに僕がいつまでも座っているわけにはいかない。
「はい、これでいい?」
僕が近づいてすぐ、大王は確認の終わった書類を渡してくる。それを受け取って、軽く目を通した。
形だけじゃなく、本当にしっかりやってある。
「はい。この調子でお願いします。」
このまま僕が何もしなければ、真面目になるんじゃないか?コイツ…
「……」
しばらく会話もせずに、ただ紙をめくる音と筆を走らせる音だけが不規則に部屋に響く。僕は大王のそばで、仕事をする大王をじっと見つめた。
「……」
机に頬杖をついて、書類を眺めるために軽く目を伏せる大王の表情からは、何を思っているか読み取れない。
少し疲れたように薄く口を開けて息を吐き、乾きを潤すように唇を舐める舌。
書類をめくる指は細くて、凄く綺麗だ。
「っ…」
仕事をする大王は、こんなにもカッコいい。見ているだけで胸が騒ぎ出すのが分かった。…でも、いつもなら時々僕の存在を確認するように上げる顔が、今は一度も上がらない。
それだけで、そんなに長いこと時間が経ってる訳じゃないのに、凄く長く感じた。
ただでさえ、さっき中途半端に投げ出されて欲求不満なのに…
「…鬼男くん?」
大王が顔を上げて、僕を呼んだ。
「なっ、なんですか?」
あまりにも突然だったから、声が上擦ってしまった。
すると大王はふふっと笑って
「ひょっとして無自覚?…手。」
僕の手に目を向けた。それにつられるように僕もそちらに目を向ける。
「あっ…!」
僕は慌てて無意識のうちに大王の服を掴んでいた手を離した。
「寂しかった?」
「っ、なわけないだろ!仕事しろ、さっさと!」
僕の様子を窺うように問いかけてくる大王に、僕はまた思っていたのと違うことを叫んでしまった。
「ふふーん、もう終わったもんねー。」
あっ、と思って手で口を塞いだ僕に、大王は誇らしげに答える。
「えっ…!?」
急いで確認すると、なるほど全て終わっている。
「ねぇ、鬼男くん…。この後どうしよっか?」
きっとこれが、最後の機会。大王は、僕が誘うのを待ってるんだろうか。
「あ…」
言えるわけない。第一、何て言ったら良いか分からない。
「そんな顔をさせるつもりはなかったんだけどな。」
よほどひどい顔をしてたんだろう。大王はすまなそうに呟いて、座ったまま僕を抱き寄せた。
「少し苛めすぎちゃった。ごめんね、鬼男くん。」
頬に触れるだけの口づけをして、ふわりと頭を撫でてくれた。
こんなことで泣きそうになるなんて…
「うたた寝するくらい疲れてるならっ、さっさと寝ますよ大王!」
顔が見えないように俯いて怒鳴ると、僕は大王の腕を掴んで寝室に歩き出した。
「…って言うわりには、寝かせるつもりはないみたいだね。」
僕が大王の寝室のドアに手をかけたのを確認すると、大王はくすっと笑った。
「っ…」
「うん。鬼男くんにしては上出来。合格だよ。」
…やっぱり慣れないことはするもんじゃないと、僕は翌日後悔することになる。
【終】
―――――――――――――――
なんていうか…すみませんでした!
多分、死闘を一回帰りの電車の中で目を通しただけで書き上げたんじゃなかったかな…これ。なんというひどさ^q^
後悔したことを公開中。じゃない、公開したことを後悔中。
最初に読んだときは鬼男くんが可愛いと思ったんだよ、きっと!
お目汚し失礼しました。そして最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
「大王、今日ここに来た人の確認を…」
僕が書類を手に大王の部屋に入ると、あろうことか大王は机にうつ伏して寝息を立てていた。
まだ仕事はかなり残ってるのに、この人は…
「普段くだらないことばかりやってるからですよ…」
僕は呟いて書類を机に置くと、薄手の毛布を持ってきて大王の肩にそっと掛けた。
「さて、と…」
今日中に仕上げないといけない書類、どうするかな。とりあえず気休め程度に部屋を見回す。
「鬼男くんは、やっぱりオレに甘いよね。」
「え…」
不意に隣から聞こえた声に驚いて、一瞬動きが止まった僕を、大王は器用にも自分の机の上に押し倒した。
「なっ、アンタ起きてたのか!?」
「寝てたよ?でもオレ…鬼男くんの気配には敏感なんだよねぇ~。」
僕が焦ったように問いかけると、大王はそう言って、得意気にくすっと笑った。
悔しいけど、僕はこの人のこの表情がたまらなく好きだったりする。でも…
「起きたんなら、残りの仕事片付けてください。」
今は仕事優先だ。このままでは書類がたまる一方だから。
「えー、やだ~。紙ばっか見てもう飽きちゃった。鬼男くん、構ってよ~。」
「何ガキみたいなこと言ってんだこの…っ」
子供みたいなことを言う大王に、いつも通り爪を伸ばそうとして…できなかった。
「っ…!」
大王が、爪を伸ばそうとした方の腕を掴んで指先に口付けてきたから。
「どうしたの?鬼男くん。今、爪伸ばそうとしたよね?」
ちゅっ、とわざとらしく音を立てて聞いてくるこの人は、確実に確信犯だ。
「し、してません…っ!」
顔が熱いのを自覚していたから、それを見られるのが嫌で顔を背ける。
この机の上では、全く意味のない行動だけど。
「顔真っ赤だよ?」
案の定大王は凄く楽しそうに指摘してくる。
「うるさいっ…この、変態大王イカ…!」
苦し紛れに悪態をつくけど、大王はそれすら楽しげで。
「知ってる?鬼男くん。オレ…君にそういう風に言われるの、結構好きなんだよね。」
「っあ…!」
首筋に大王の吐息がかかったと思ったら、すぐに濡れた感触が襲った。
くそっ…こんな簡単に反応するなよ…!
「ね…このまましちゃってもいい?」
「っ、良い訳ねーだろこの変態セーラー野郎っ!!」
今度こそ大王を思いっきり蹴飛ばした。
ようやく無理な体制から解放された僕は、乱れた衣服を整えながら立ち上がる。
「げほっ…ちょっ、鬼男くん…今のはさすがにひどくないっ…?」
腹を思いっきり蹴ってしまったので、さすがの大王も苦しいらしい。
でも、そんなことは関係ない。
「セクハラで訴えられないだけマシだと思え。」
ふんっ、とそっぽを向いて吐き捨てる。だが、それがいけなかった。
「ふぅん…どこに訴えるの?」
「っ…!」
大王に背を向けてしまったばっかりに、いとも容易く後ろから抱きすくめられてしまった。大王の匂いをすぐ近くに感じて、不覚にも胸が高鳴る。
「鬼男くん…」
「あ…」
耳元で名前を呼ばれると、もう駄目だった。全身の力が抜けて、前に回された大王の腕に触れることで体を支える形になる。
「顔…見せてよ。」
僕は、大王の声に操られるように顔を上げた。するといつだって大王は満足げに微笑んで、唇を重ねてくれる。
「ん…ふっ、ぅ…」
大王の温もりも、匂いも、この感触も、僕はどうしようもないくらいに好きで、最近は離れてしまうのを恐れるようになってしまった。
今も、ずっとこのままでいれたら…なんて考えている。
「鬼男くん…」
少しだけ唇を離して、大王が僕の名前を呼ぶ。
「大好きだよ。」
あぁ…もう。だから早く離れたかったのに。
「大王…」
僕がもう抵抗しないと分かったらしい大王が、腕の力を緩めてくれたので、僕は向き直って大王の服を掴む。
僕も好きですなんて、絶対に言えないから。
「…鬼男くんって、時々可愛いことするよね。」
大王は困ったように笑って、僕に口付けた。
「ん…っ、ぅ…」
大王からのキスに応えながら、薄目を開けて大王の顔を盗み見る。
目が伏せられてて、あの綺麗な深紅の瞳を見ることは叶わなかったけど、間近で見る大王の顔は色が白く、整っていて、なんだか僕と正反対だなと思った。
「ん…!」
不意に、ひやっとした何かが僕の腹部に触れた。驚き目を見開くと、大王が楽しげに笑っている。いつのまにか壁に追いやられてて、気付けば逃げ道がなかった。
この野郎、わざとだな…!
「んぁっ!」
大王の手が、服の下で僕の肌を撫でる感覚に、僕の意思とは関係なしに身体が震えた。
「ちょっ、だいお…やめっ…!」
首筋に顔を埋める大王の肩を必死で押すけど、全然退く気配はない。
いつの間にこんな力…違う。僕の方の力が抜けてるのか。
「なんで?ついさっきまで、鬼男くんもその気だったでしょ?」
「や…っ!」
首元に唇を近づけたまま上目使いで大王が喋るから、吐息が首にかかってゾクゾクしてくる。大王を退かすために肩に置いていた手は、いつの間にか僕自身が立っているための支えになっていた。
「今の君…凄く可愛い顔してる。」
「るっ、せ…言うなっ…!」
アンタの顔も大概妙な色気出しててカッコいいんだよ…!
絶対口には出さないけど、心の中でそう言い返す。
「素直じゃないなぁ…」
僕の答えに肩を竦めて、大王は笑った。
「まぁ、そんなところも大好きなんだけど…」
言いながら大王は服の中に入れていた手を引き抜き、僕から離れた。
え…?と不思議そうに大王を見上げると、大王は妖しく微笑んで
「追加書類ってこれだよね。」
と、机の方に向かってしまった。
「は、い…そうです、けど…」
理由も分からぬままただ問いに頷くと、大王はもう何事もなかったかのように残りの書類に目を通し始める。
僕はずるずると壁に背を預けて座り込んだ。
「なんで…」
「ん?何がー?」
思わず呟くと、大王はそ知らぬ顔で聞き返し、目が合ったら楽しそうに笑った。
「っ…!」
笑った顔が言っている。
――続きがしてほしかったら、君から誘ってごらん?
この人は時々、普段の仕返しをするかのようにこういうことをする。
やったこともないことをやるのが、どれだけ難しくて恥ずかしいことか分かってるんだろう。
「鬼男くんー?そんなところに座り込んでないでこっちにおいでよ。」
にやにやとどこまでも楽しそうに僕に言う。
「分かってます…!」
目的が何であれ、大王が仕事をしているのに僕がいつまでも座っているわけにはいかない。
「はい、これでいい?」
僕が近づいてすぐ、大王は確認の終わった書類を渡してくる。それを受け取って、軽く目を通した。
形だけじゃなく、本当にしっかりやってある。
「はい。この調子でお願いします。」
このまま僕が何もしなければ、真面目になるんじゃないか?コイツ…
「……」
しばらく会話もせずに、ただ紙をめくる音と筆を走らせる音だけが不規則に部屋に響く。僕は大王のそばで、仕事をする大王をじっと見つめた。
「……」
机に頬杖をついて、書類を眺めるために軽く目を伏せる大王の表情からは、何を思っているか読み取れない。
少し疲れたように薄く口を開けて息を吐き、乾きを潤すように唇を舐める舌。
書類をめくる指は細くて、凄く綺麗だ。
「っ…」
仕事をする大王は、こんなにもカッコいい。見ているだけで胸が騒ぎ出すのが分かった。…でも、いつもなら時々僕の存在を確認するように上げる顔が、今は一度も上がらない。
それだけで、そんなに長いこと時間が経ってる訳じゃないのに、凄く長く感じた。
ただでさえ、さっき中途半端に投げ出されて欲求不満なのに…
「…鬼男くん?」
大王が顔を上げて、僕を呼んだ。
「なっ、なんですか?」
あまりにも突然だったから、声が上擦ってしまった。
すると大王はふふっと笑って
「ひょっとして無自覚?…手。」
僕の手に目を向けた。それにつられるように僕もそちらに目を向ける。
「あっ…!」
僕は慌てて無意識のうちに大王の服を掴んでいた手を離した。
「寂しかった?」
「っ、なわけないだろ!仕事しろ、さっさと!」
僕の様子を窺うように問いかけてくる大王に、僕はまた思っていたのと違うことを叫んでしまった。
「ふふーん、もう終わったもんねー。」
あっ、と思って手で口を塞いだ僕に、大王は誇らしげに答える。
「えっ…!?」
急いで確認すると、なるほど全て終わっている。
「ねぇ、鬼男くん…。この後どうしよっか?」
きっとこれが、最後の機会。大王は、僕が誘うのを待ってるんだろうか。
「あ…」
言えるわけない。第一、何て言ったら良いか分からない。
「そんな顔をさせるつもりはなかったんだけどな。」
よほどひどい顔をしてたんだろう。大王はすまなそうに呟いて、座ったまま僕を抱き寄せた。
「少し苛めすぎちゃった。ごめんね、鬼男くん。」
頬に触れるだけの口づけをして、ふわりと頭を撫でてくれた。
こんなことで泣きそうになるなんて…
「うたた寝するくらい疲れてるならっ、さっさと寝ますよ大王!」
顔が見えないように俯いて怒鳴ると、僕は大王の腕を掴んで寝室に歩き出した。
「…って言うわりには、寝かせるつもりはないみたいだね。」
僕が大王の寝室のドアに手をかけたのを確認すると、大王はくすっと笑った。
「っ…」
「うん。鬼男くんにしては上出来。合格だよ。」
…やっぱり慣れないことはするもんじゃないと、僕は翌日後悔することになる。
【終】
―――――――――――――――
なんていうか…すみませんでした!
多分、死闘を一回帰りの電車の中で目を通しただけで書き上げたんじゃなかったかな…これ。なんというひどさ^q^
後悔したことを公開中。じゃない、公開したことを後悔中。
最初に読んだときは鬼男くんが可愛いと思ったんだよ、きっと!
お目汚し失礼しました。そして最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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