- 2024/11/27 [PR]
- 2009/09/27 おやつタイム(鬼男×閻魔)
- 2009/09/16 吸血衝動(鬼閻)
- 2009/09/08 我慢、出来なかったんです…
- 2009/08/29 君の嘘を見抜くのは(閻魔×鬼男)
- 2009/08/26 あなたの言葉だけが真実です(閻魔×鬼男)
おやつタイム(鬼男×閻魔)
2009/09/27 17:50:08
何となく甘いのが書きたくなって、撃沈…。
小説ってどうやって書くんだっけ…?ってくらいまで落ち込みました。
書き直したり全然違う話書いたりとかしてみたんですけどやっぱり上手くいかず。
でも、何とか書きあがったので上げてみる。
・目指したのは砂糖を吐きたくなるくらい甘い鬼閻→撃沈
・鬼男のさり気ない優しさ、ツンデレっぽさを出す→撃沈
・それどころか鬼男くんが別人フラグ。
・閻魔を甘えたで、鬼男くん大好きな感じに→撃沈(なんか幼くなった)
・冥界の間取り(?)どうなってんだよww(考えてなかった)
こんな感じのgdgd具合ですが…よろしいですか?
「お・に・お・くん!」
「ぅわっ…!?」
調理場で本日のおやつであるクレープの皮を焼いていた鬼男の背中に、突然名前を呼びながら飛びつく閻魔。
鬼男は火を扱っていたということもあり、焦った様子で手を止め、閻魔を振り返った。
「こンのアホ大王イカ!火を使ってるときは抱きつくなって言ってんだろ!!」
「聞いて聞いて!俺、今日はちゃんと書類全部終わらせたよ!」
叱りつけるように鬼男が声を荒げても、返ってくるのはぎゅっと抱きつかれる感触と褒めてくれといわんばかりのそんな答え。
「だからって抱きついていいことにはなりません。ほら、離れろ。」
「やーだー!なんだよー、褒めてくれたっていいじゃん!俺頑張ったんだよ?」
鬼男は片手でクレープの皮を皿に移しながら、空いた手で閻魔の頭を軽く押して離れさせようとするが、腕の力を強めて頑なに鬼男から離れることを拒む閻魔。
「…最初からおやつの時間までに終わらせる約束だっただろうが。第一、書類を終わらせるのは当然のことです。」
しばし閻魔を離れさせようと格闘したが、どうにも離れる気配がないので鬼男は諦めて、用意していたフルーツや生クリーム、チョコレートソースを盛り付け始めた。
「でもさ、この俺が珍しくやる気出して終わらせたんだよ?…ご褒美にイチゴもーらい!」
「普段からやる気出してれば書類は溜まらないんだけどな。」
鬼男が褒めてくれないのならと、抱きついたまま目に付いたイチゴに伸ばした閻魔の手を、言いながらぺちんとはたく鬼男。
「ぃたっ!もうっ、鬼男くんの意地悪!」
「すぐ出来るんだからもう少しくらい我慢しろ。」
実際は大して痛くないはずなので、鬼男は気にした様子もなくたしなめるような言葉を返す。
「ちぇー、イチゴ一個くらいいいじゃん…」
そんな鬼男の態度が気に入らなかったのか、閻魔は拗ねたように文句を言うが、やはり鬼男から離れる気配はなく、むしろ背中に頬をすり寄せてきた。
「…バニラとチョコ、どっちがいいですか。」
ふぅ…とため息をついてから、手馴れた様子で盛り付け終えたクレープを包んだ鬼男が不意に問いかける。
「えっ?」
「ご褒美をやるって言ってるんですよ。ほら、さっさと選べ。」
突然のことで理解できなかったらしい閻魔が聞き返すと、少しぶっきらぼうに答えて冷凍庫に手を伸ばす。
「いいの…?」
まさか本当にくれるとは思っていなくて、思わず確認するように問いかけてしまう。
「欲しいって言ったのはお前だろうが。それとも、いらないんですか?それならそれで…」
「わぁーっ、いる!いるってば!バニラがいい!バニラ!!」
やっぱり慣れないことはするものじゃない、と思って鬼男が言いながら冷凍庫を閉めようとすれば、慌ててその手を掴んで答える閻魔。
そんな閻魔の姿が面白くて、ふっと柔らかい笑みを浮かべた鬼男は「バニラですね。」と言ってバニラアイスに手を伸ばした。
「先に座って食べててください。今日もココアでいいですか?」
包み終えたクレープの上に落ちない程度の量をスプーンですくって乗せ、閻魔に手渡しながら鬼男は確認を取る。
「うん、ありがと!」
受け取って、子どものように無邪気に笑った閻魔はようやく鬼男から離れ、待ちきれない様子で休憩室に駆けていく。
「あ、こら走るなイカ!落としても、もう作ってやりませんよ!」
「分かってるよーだ!」
鬼男が怒鳴っても、閻魔は返事だけでさっさと行ってしまった。
「ったく、もう…」
舌打ち混じりに呟いても、それだけ早く食べたいと思ってくれているんだと思うと、自然口元が緩む。
鬼男は手早く片づけを済ませると、砂糖を少なめにしたココアを持って閻魔のいる休憩室に向かった。
「これ、すっごく美味しいよ鬼男くん!」
鬼男が休憩室に入って開口一番、閻魔は満面の笑みで感想を口にする。
「それはどうも。」
マグカップを閻魔の前に置き、自分も向かいに座りながら礼を返す鬼男。
閻魔はちょうど喉が渇いていたのか、すぐさまマグカップに口をつけた。
「鬼男くんってさ、なんでこんなにお菓子作るの上手いの?」
再びクレープに口をつけながら閻魔が不思議そうに問いかけてくる。
その鼻の頭にはちょこんと可愛らしく乗った生クリーム。
「さぁ…?誰かさんが毎日多種多様なリクエストをくれるから、ですかね。」
冗談っぽく答えながら、鬼男は閻魔に顔を近づけてチュッと生クリームを舐め取るように鼻の頭に口付けた。
「っ!」
予想していなかった鬼男の行動にぴきっと体を固まらせる閻魔。
それを至近距離で楽しげに眺めて、鬼男は何事もなかったように元通り向かいに座る。
「どうかしましたか?あんまりのんびり食べてると、溶けますよ?」
頬杖をついてからかうように言ってくる鬼男の楽しそうな笑顔。
…やられっぱなしは気に入らない。
「俺一人じゃ食べきれないから、鬼男くんにもあげるよ。」
閻魔は鬼男が甘いものをあまり好まないことを知りながら、にっこり笑って鬼男の目の前にクレープを差し出す。
例え食べなくても、嫌がる顔くらいは見れると思ったのだ。
「そうですか?…では、遠慮なく。」
「えっ…!?」
しかし、鬼男は嫌がる様子どころか、むしろ嬉しそうに目の前のクレープに口をつけたので、閻魔のほうが驚いてしまう。
「お、美味しい…?」
とりあえず、食べた感想を聞いてみる。
それくらいしか次の行動が浮かばなかったから。
「甘いです。お前用に作ってるから、余計に甘い。」
「じゃ、じゃあなんで食べたんだよ!」
鬼男の行動の意味がさっぱり分からず、思わず食いつくように聞き返す閻魔。
すると鬼男はまたもしてやったりという顔で楽しげに笑って、一言。
「そりゃ、口直しに期待できると思ったからですよ。」
「っん…」
抵抗しようと思うことすら忘れるくらいに自然に重なった唇。
溶けると言っておきながら、すぐに離す気配のないゆっくりとしたこの甘い愛撫は何だろうか。閻魔は離れがたくなって自らも鬼男に舌を絡ませ始めた。
「っ、ふ…ぁ、んぅ…」
力が抜けてクレープを落とさないよう考慮したつもりなのか、片手はしっかりと閻魔の手に添えて、もう片方は後頭部に回して。
溶け出したアイスと生クリームが二人の手を濡らす。
「ふ…は、ぁ…」
「やっぱり大王の口の中も甘いですね。口直しどころかさらに甘さが強まりました。」
ようやく離れたと思ったら、舌なめずりしながらそんなことを言われた。
「君、ねぇ…っ、する前から分かってたでしょ…っ、そんなこと…!」
分かっててじっくり堪能するようにしてきたくせに何を言ってるんだ、と内心思いながら閻魔は乱れた呼吸のまま文句を言う。
あぁ、手がベタベタだ。
「同じ甘いでも、大王との口付けならまた違うかなって。」
「っ…!」
言いながらぺろりと自分の手のひらを伝うアイスを舐める鬼男の舌がやけに色っぽく見えて。
閻魔は思わず頬を染めて目を逸らした。
「それで?食べきれないのなら、口直し付きで僕が食べてあげますけど?」
くすくすと笑いながらクレープを持つ閻魔の腕を掴み、自分の口元まで持ってきて問いかける鬼男。
「っ…お、俺もまだ食べたい…から、半分…こ。」
閻魔はそんな鬼男を横目で見ながら、小声でぼそっと呟いた。
何だかんだで、鬼男とのキスは嫌いじゃないから。
「分かりました。休憩時間内に食べ終わりましょう。」
クレープも…大王も、ね。
「っ!!」
耳元で付け足された言葉に、閻魔はクレープを食べられないくらい硬直した。
さて、本日の業務はちゃんと終わるのでしょうか…?
【終】
―――――――――――
書き終わってから気がついたんですけど、クレープで作るのって皮と生クリームくらいですよね。鬼男くんの技術力って分かるのだろうか…?
どうにも私は鬼男くんにお菓子作りをさせたいようです。毎日閻魔のために、閻魔の要望どおりにお菓子を作ってたら、すごく素敵だと思いませんか?
そろそろ飛鳥・細道のメンバーも書きたいけど、ネタが浮かばない…。誰かネタをくだs(殴
最後まで読んでくださりありがとうございました!
吸血衝動(鬼閻)
2009/09/16 20:31:29
漣さんの素敵過ぎるイラストに一目ぼれして、テスト勉強も手につかなかったので書き上げた後、納得行かずに非公開→本日大幅に書き直し。
イラストの色気と瞳にすごく惹かれたのですが、上手く表現できずにすごく残念な感じに仕上がってしまいました。
でも、最初に書いたのよりはマシになった…はず。いや、そう信じたいだけなのかもしれない。
・鬼男くんが血を欲しがります。
・閻魔様がちょっと乙女入ってます。
・後半は私が暴走して、軌道修正した結果。
意気込んで書かせてくださいといったのにこんな感じで本当に申し訳ないです。
最初と比べると、糖度が高くなっているかもしれません。
漣さん、全力ですみませんでしたっ!
目の前にはさぁどうぞと言わんばかりに無防備にさらけ出された白い肌と、大王が生きていることを証明する脈拍。
「えっ、と…鬼男くん?」
大王がビクッと体を震わせた、その動作すら愛しい。
どくん、と僕の心臓が大きく脈打った。
早く、早く…と体が騒ぎ立てる。
僕の中にいる何かが、待ちきれないと訴えるように。
「鬼男くん…来て…?」
あぁ、もう…どこまでバカなんだお前は。
「…っ!」
「はっ…ぁ…」
血液が急激に減少したことによりただでさえ白い肌がさらに白さを増している。先ほどまで僕を支配していた気持ちはすっかり消え、強い恐怖心が襲う。
自分のしようとした事があまりに信じられなくて。
ついさっきまでの自分の行動、思考に嫌気が差す。
「っ…!」
か細い声とともにそっと、僕に差し出される大王の手。僕の頬に添えるように優しく触れてくる。
「もう、へいき…?」
大王の声と存在を感じたからか、不思議と冷静になった僕は、もたれかかってきた大王を支えるように抱きしめながらようやく大王に容体を問いかけることができた。
「ん…?俺はへーき。ちょっと、くらくらするけどね。」
ふふっ、といつもどおりに笑う大王に、胸が締め付けられるような感覚に陥る。
「本当に…すみませんでした。」
「そんなに謝らないでよ。俺の方が困っちゃう。」
何度も謝る僕にくすくすと笑って答える大王。
僕がしたことは、決して許されることじゃないはずなのに…。
「鬼男くんが元気になるなら、俺はそれでいいんだ。…今度からは、もっと早くに俺を求めてね?」
毎回貧血になるのはさすがに嫌だよ。と、冗談っぽく言う大王に愛しさが募る。
「…ありがとうございます。でも、大王の血をそう何度もいただくわけには…」
好きになった相手の血が最も美味しいとはいえ、大王に仕える秘書である僕が大王から血を貰うのは、さすがに分不相応だろう。
「でもさ、鬼男くん?大王と秘書であると同時に、俺たち一応…その、こい…な、か…でしょ?」
僕の思考を読み取ったかのように、大王が頬を赤らめて問いかけてきた。
それは、確かにそうなんだけど。
「俺は、鬼男くんになら…いくらでもあげたいと思ってるんだけど、な…?」
「っ…!」
なんだこのイカは。
傍から見ればただのオッサンのはずなのに…
「わ、ちょっ鬼男く…苦しいっ!」
思わずギュッと強く抱きしめてしまって、僕の胸に顔を押し付けられた大王が騒いだけど、離してなんかやらない。
ちょっとくらい、この喜びと感動をかみ締めさせろ。
「大王。」
「ん…なぁに?」
耳元で名前を呼べば、すぐに返ってくる声。
失わなくて良かった。
離れなくて良かった。
そばにいて良かった。
好きになって、良かった。
「大好きです。これからも…よろしくお願いします。」
「うん…!」
【終】
―――――――――――――――
あれ、おかしいな…?書き直したらいつもみたいな感じに納まってしまったぞ?
とりあえず書きたかったのは我を失いかける鬼男くんなんですが…うぅーん…。
普段の違う雰囲気を出したら納得いかなくて書き直したくなったんだから、きっとこういう雰囲気が一番書きやすくて好きなんでしょうね、私は。
漣さん、書き直してもこんな感じですみませんでした!!
我慢、出来なかったんです…
2009/09/08 21:36:14
本当は昨日1本書いたのですが、納得いかず非公開状態に。
これも、昨日よりは満足いっているけど…という感じなので、テストが終ったらまた書き直してるかもしれません。
漣さん、こんな中途半端ですみません!
あのイラストの綺麗さと色気を上手く表現できませんでした…orz
・鬼男くんが閻魔の血を欲しがってます。
・閻魔が乙女くさいです。
「お、鬼男…くん?」
2人きりの執務室で、閻魔は突然鬼男に抱き寄せられた。
本当に何の前触れもなかったのでただ腕の中で名前を呼ぶくらいしか出来なくて。
「ずっと、我慢してたんですが…そろそろ無理みたいです。」
耳元で囁く鬼男の声は、驚くほど熱っぽくて余裕のなさが見え隠れしていた。
閻魔を抱きしめている体も、熱をはらんでいて体温の低い閻魔には少し熱いくらいだ。
「どういう、こと…?」
首をかしげて問いかける閻魔。
「大王…あなたの血を、僕にください。」
鬼男は言いながら閻魔の衣服を少しずらして肩を肌蹴させると、菓子類をいつも食べているせいなのか、それとも大王自身がそういう香りを纏っているのか、ふわりと甘い匂いを放つ閻魔の首筋に唇を寄せた。
「え…!?」
「ダメですか…?」
閻魔が目を見開けば、肩に手を添えて噛み付く準備は万端といった様子で、上目遣いに鬼男がたずねてくる。
血に飢えて妖しく光る鬼男の瞳。
「っ…」
その翡翠に見つめられると、閻魔は胸がざわついて何も言えなくなる。
それにこれは、滅多にわがままを言わない鬼男の唯一の要望で…閻魔自身、最近激しい喉の渇きと倦怠感に襲われて辛そうにしていた鬼男の姿も知っている。
「鬼男くんが、それで楽になれるなら…いいよ。」
正直、どうなるか分からないしどれくらい痛いのかも分からないから怖い。
でも鬼男がこんなにも辛そうに言ってくるのだから、自分に出来ることならしてあげたいと閻魔は思ったのだ。
「ありがとう、ございます…。」
閻魔の返答に少し安心したように表情を和らげて鬼男は礼を言った。
「すぐに、済みますから。」
「うん…。」
鬼男の言葉に閻魔が頷くと、翡翠の妖光が強くなり隠されていた鋭い牙が首筋に食らいついた。
「っ、あ…!」
爪が突き刺さるのとはまた違った、皮膚が破れる感覚とそこから溢れ出す熱と痛み。
ごくりとすぐ近くで喉が鳴る音がして、次の瞬間には生暖かく柔らかい感触とともに痛みが消え去っていた。
「…ッ、おに…おっ、く…?」
「傷はちゃんと塞いでおきましたから。…大丈夫ですか?」
鬼男が離れる感覚になぜか不安を覚えて名前を呼ぶと、片手で閻魔を支えながら空いた手で飲みきれず口端を伝った血液を拭い取る鬼男。
指についたその血液すら惜しむように、舌で触れる鬼男の姿はどこか妖艶さを醸し出していた。
「あ、うん…だい、じょう…っ!?」
「ばかっ…!」
言いながら離れようとした閻魔は、足に力が入らず慌てて支えた鬼男の腕の中に再び倒れこんだ。
「アンタただでさえ血液量少ないんですから、僕に血を飲まれて平気なはずないでしょう。」
「どれだけ俺の血飲んだのさ…」
ここまでふらつくのは予想外だったらしく、鬼男の言葉に閻魔はため息混じりに呟く。
鬼男はばつが悪そうに「すみません…」と謝るだけで、具体的な数値は教えてくれなかった。
「もう、平気なの?」
抱きしめられたまま、閻魔は鬼男の服をきゅっと握っていまだに不安そうな表情を見せて問いかける。
それを見て少し驚いたように瞬きしてから、鬼男は嬉しそうにふわりと微笑んだ。
「おかげでもうすっかり良くなりましたよ。ご迷惑おかけしました。」
「ッ…そ、それなら…いいけど、さ…」
本当に最近は辛かったんだということが分かるくらい、久々に見る自然な鬼男の笑顔に閻魔は頬を朱に染める。
「大王?」
大王の変化に気づき、不思議そうに名前を呼ぶ鬼男。
名前を呼ばれるその声にも優しさと柔らかさが戻っていて。
嬉しさと、ここまで我慢させてしまった申し訳なさで閻魔はくしゃりと表情を歪めた。
「っ、ひ…っう、っく…ふ…っ」
「え、ちょっ…なん、どうしたんですか大王!?」
一度溢れ出した雫は止まることを知らなくて、次々と閻魔の頬を伝う。
一方鬼男は閻魔がなく理由がまったく分からず、ただただ戸惑うばかり。
「大王、泣かないでください…」
とりあえず泣き止ませようと、くしゃりと閻魔の髪を撫でて鬼男は閻魔を強く抱きしめた。腕の中でしゃくり上げる閻魔の耳元で、安心させるように声をかける。
「がまん…っ、いで…」
「え…?」
鬼男の胸に顔をうずめたまま嗚咽交じりに呟いた閻魔の言葉を聞き取ることが出来ず、思わず聞き返す。
すると、閻魔は顔を上げて濡れた紅玉を鬼男に向けた。
「俺は…鬼男くんが、好きだから。いつもみたいな、辛辣だけど時々優しい鬼男くんに、そばに居て欲しい、から…」
鬼男の首に手を回して、抱きつきながらもしっかりと目を合わせる。
「もう、我慢しないで。欲しいときは、ちゃんと言って。」
「大王…。でも」
「貧血でふらつくより、鬼男くんが辛い方が俺は嫌なの。それに、今みたいに俺がふらついても、鬼男くんが支えてくれるんでしょ?」
反論しようとした鬼男の言葉を遮って閻魔はにっこり笑う。
そんな絶対的な信頼を抱いた笑顔とともに言われて、鬼男がこれ以上の反論を出来るはずもなく。
「…分かりました。これからは気をつけます。」
苦笑して頷き、誓うように鬼男は閻魔に触れるだけの口付けを送った。
【終】
――――――――――
どうしても我慢できず、書き上げてしまいました。
昨日の夜に一度書いたのがどうしても納得いかなくて、勉強にも身が入らなかったので(笑)
これもこれでどうなんだって感じなんですが…。
漣さんには、全力で謝罪をしたいところです。すみませんでした!
君の嘘を見抜くのは(閻魔×鬼男)
2009/08/29 17:14:28
それでもやはり、何となく納得はいっていないのですがwww
でもまぁ、とりあえずおわったっぽいのでここに載せてみます。
この恥知らずがっ!
って感じではありますけどね…。もったいない精神です!
・鬼男くんを可愛く書いてみたかったんだよ。
・閻魔にちょびっと怒ってもらいたかったんだよ。
・大幅に書き直したけど、ちょっとつなぎがおかしいかもしれないよ
・全体的にがっかりクオリティだよ。
それでも風邪を引いた鬼男くんが見たい方は追記からどうぞ
…絶対おかしい。
閻魔は仕事をしながらいつもの定位置にいる鬼男を盗み見て思った。
仕事はいつも通りこなしているし、背筋を伸ばして真っ直ぐ立ってチェックを入れながら死者を呼ぶ声も、いつものように透き通って耳心地がいい。
だけど…どこか、絶対におかしい。
「鬼男くーん。」
「…何ですか、大王。休憩はまだですよ。」
次の死者を呼ぶまでのほんの少しの合間を狙って、閻魔は声をかけた。
返事、対応はいつも通りだが、反応までの時間がいつもより少しだけ、遅かった。
「鬼男くん、ちょっとこっち来て。俺の近く。」
「…何でですか?まだ仕事中ですよ。」
言って閻魔が手招きすれば、鬼男はあからさまに嫌そうな態度で問いかけてくる。
「鬼男くん。」
「っ…」
問いには答えず、ただ一言名前を呼んで閻魔は鬼男をじっと見つめた。
「…分かりました。ほら、何ですか?」
鬼男はその視線に耐えられなくなって、諦めたようにため息をつくと閻魔に近づき、改めて問いかけた。
足取りが少し、覚束ない。
「うん、ちょっと…」
「うわっ、ちょっ…!」
言いながら閻魔は立ち上がると、ギュッと鬼男を抱きしめた。
突然のことに驚き、鬼男が声を上げる。が、閻魔は気にせず抱きしめたままぺたぺたと鬼男の体に触れた。
「大王…?」
「鬼男くんさぁ…熱あるでしょ。」
鬼男が不思議そうに名前を呼ぶと、閻魔はやはり抱きしめたまま少し怒った様子で返した。
「…仕事に支障は来していないと思いますが?」
抱きしめられれば当然気付かれてしまうことは分かっていたので、鬼男は大して驚いた様子も焦った様子も見せず、仕事ができることを訴える。
「仕事はいつも通り進んでる。進んでるけど、これだけ熱が出てて鬼男くん、辛くないってことはないでしょ。」
閻魔は鬼男から少し体を離すと、自然叱るような口調になって言った。
「僕の体より重要なのは職務でしょう。僕がいなきゃまともに仕事しないくせに何を」
「そういうことを言ってるんじゃない。」
鬼男自身、なぜ閻魔に叱られなければいけないんだという苛立ちがあって、ムッとしたように意見すると、閻魔は静かではあるが、確かに怒りを露にして言葉を遮った。
「俺が言ってるのは、なんでこんなに熱が出てるのに黙ってたかってことだよ。」
スッと紅玉を宿す目が細められて、死者の嘘を見破ったり諭したりするときのような鋭い目付きで閻魔は言葉を続けた。
こういうとき、閻魔は相当怒っていることが多い。
「っ、それは…」
「仕事をいつも通りこなせばバレないと思った?熱が出ていれば、いくらいつも通りを装ってたって判断力や体力、思考力だって低下する。
ゴメスみたいなことがあったらどうする気なの?その時に対応できる自信はあるの?」
熱のせいで霞む頭でなんとか言葉を繋げようとする鬼男に、まるで言い訳は許さないと言いたげに逆に捲し立てる閻魔。
「っ…」
自覚している症状を言い当てられ、ゴメスの一件を思い出し、鬼男は言葉に詰まる。
「あー…違う。違う違う!言いたいのはこんなことじゃなくて…!」
鬼男の態度を見てハッとした閻魔は、慌てて首を振って素直に心配そうな表情を見せた。
「…君に、無理してほしくないんだ。辛いときは辛いって言ってほしいし、俺を頼ってほしいっていうか…。」
「……」
閻魔が純粋に心配の言葉を投げ掛けたが、鬼男は泣き出しそうに眉根を寄せるだけで、黙って俯いた。
「ねぇ、鬼男くん?君はすごく真面目ないい子だけど、真面目すぎる。体調が悪いときくらい部屋でゆっくり休んでたって、俺は何も言わないよ。むしろ、無理して普段通りにされるよりその方がずっと安心する。」
そんな鬼男の頭を、くしゃっと撫でて閻魔は優しく、宥めるように声をかけた。
「ね、今から休みをあげるから部屋でゆっくり…」
「っ、や…す…」
このまま休ませるのが得策だろうと思って閻魔が言葉を続けると、震えてかすれた声が返ってきた。
「え?」
「いや、です…」
聞き取れずに閻魔が聞き返せば、鬼男は顔を上げてその提案を拒否した。
「嫌です、って…鬼男くん、今自分がどれだけ辛いか自覚してるでしょ?仕事してるより、休んだ方がよっぽど良いって分からない?」
「どれだけ熱が高いか、分かってるから…嫌なん、です。」
呆れたように言う閻魔に、言葉にされることでだんだん本格的に体調が悪くなってきたらしい鬼男は、隠す気力もなくなってきたのか辛そうに言い返す。
「鬼男くん…?」
「傍にいちゃ、いけませんか…?部屋で一人、みんなが働いている音を聞いてるの、嫌なんです…」
すごく、寂しくて。そう言って持っていたファイルをきゅっと握りしめる鬼男。
誰だって、病気の時は不安になる。そんな当たり前なことを、閻魔はすっかり忘れていた。
「よし、今日は仕事終わり!」
「…は?」
突然閻魔はにっこり笑って言った。
あまりにも突然だったため思考がついていかず、反応に遅れてほんの少し動きを止める。
「終わり終わり。俺と一緒に部屋行こ、鬼男くん。」
「えっ…はっ?ちょ、ちょっと待てイカ!お前、何考えてっ…!」
ファイルを取り上げられ、空いた手を握られたところでようやく状況に頭がついてきた。
「今日仕上げなきゃいけない書類は鬼男くんの部屋でも出来るから。…死者の裁きは鬼男くんが心配で判断誤っちゃうかもしれないしね。」
悪戯っ子のような笑みを浮かべて、閻魔はどこか楽しそうに言った。
「バカ言うな!大王がそんなんでどうすん」
「はい、叫ばない。熱上がるでしょ。」
「っ…!?」
しかし、そんなことで黙ってしまってはこの大王の秘書は務まらない。
鬼男が再び口を開いていつものように叱りつけようとすると、閻魔はそれを予測していたようにまたも遮って、無理をして声を張り上げる鬼男の口を顔を近づけて塞いだ。
「っ、ふ…んぅ…」
ふっと、鬼男の体から力が抜ける。同時にゆっくり瞼がおりていき、閻魔が唇を離したときにはもう鬼男は寝息を立てていた。
「…ゆっくり休んでね、鬼男くん。」
閻魔が乱れた気を整えたことで、先程より少しは熱が下がった鬼男の体を支えながら呟いて、そのまま部屋へ移動した。
◇◇◇
「これでよし、と。」
鬼男を布団に寝かせ、氷枕を当ててから閻魔は一人呟いた。
死者の裁きは、明日が大変だがとりあえず保留。書類については最重要のものだけを回してもらって残りは明日以降に。
「鬼男くんの方が、大事だもんね。」
熱のせいで額に張り付いた髪をはらって、鬼男の頭を撫でる。
その手つきには愛しさが溢れていて、分かっているのかいないのか、鬼男の寝顔が幸せそうに和らいだ。
「だい…お…」
「わっ…」
不意に、鬼男が寝言とともに体を横に向けて閻魔の腕をぎゅっと抱きしめる。
そして、そのまま再び寝息を立て始めた。
「うーん…これだと、さすがに何もできないなぁ…」
それ以前に、結構無理な体制になっているため維持するのが辛い。
「このまま俺も寝ちゃおっかな…。」
鬼男と同じように横になってしまえば幾分楽だ。
閻魔はさも名案が浮かんだと言いたげに笑みを浮かべると、鬼男を起こさないように隣に潜り込む。
「ん…」
「おぉ、大胆。」
すると、鬼男は甘えるように閻魔にくっついてきた。
恐らく、体温が低いので気持ちいいのだろう。
「早く良くなってよね。鬼男くん?」
小さな声で囁いて、額に軽く口付ける。
「ん…ぅ…?」
閻魔が唇を離すと、鬼男の睫毛が震えてゆっくりと目を覚ました。
「あ…ごめん、起こしちゃった?」
「だい、おー…?」
トロンとした瞳で舌足らずに閻魔を呼ぶ鬼男。
「うん。…大丈夫?鬼男くん。」
優しく、安心させるように微笑みかけて閻魔は鬼男に容態を尋ねた。
「だいおーのおかげで、だいぶ…らくに、なりました…」
寝起きだからか、熱のせいか、舌足らずのまま子どものように柔らかく微笑んで鬼男は答える。
「…良かった。今日はずっと一緒にいるから、何も気にしなくていいよ。」
「…ありがとー、ございます…」
ギュッと閻魔の服を掴んで安心したように再び眠りにつく鬼男。
その姿が可愛らしくて、閻魔は密かに笑みを浮かべ、さらさらと指通りの良い鬼男の髪を優しく撫でた。
【終】
――――――――――
最初はもっと長くて、裏にいきかけるシーンが何度か出てきたのですが…手直ししたらこんな中途半端になりました。
きっと翌日、鬼男くんは羞恥のあまり閻魔を突き落とすでしょうwww
あなたの言葉だけが真実です(閻魔×鬼男)
2009/08/26 01:34:12
黒たんとミケにゃんの結婚式が9月にあるということで、お祝いの品を送りたいと思います。
ミケにゃんのリクは閻鬼でした!
・シリアス展開!
・鬼男くんがなんか精神的に弱い?
・閻魔が余裕ありげ?
・つーか、なんか別人!
こんなのですが、よろしければどうぞ
「鬼男くん、今までありがとう。」
それは、何の前触れもなく唐突に訪れた。
「は…?いきなり何言って…」
「もう…時間なんだ。お別れだよ、鬼男くん。君のこと、大好きだった。」
なんだ、このイカは何を言っているんだ。
なんで、こんなこと…
「大王、何を言ってるんで…えっ…?」
大王に触れて問い詰めようとして、出来なかった。
大王の体をすり抜ける、僕の腕。
「ごめん。」
「そんな…なんで…!」
信じられなくて、もう一度手を伸ばす。腕が、透けてる…?
「もう、無理なんだよ。」
「なっ…ふざけんなよっ!なんで、なんで僕がこんなことになってんだ!」
「ごめんね。ありがとう…鬼男くん…」
遠ざかる大王の姿。
消えていく僕の体。
届かない。広がり続ける距離。
「ぃやだっ…大王っ!!」
鬼男は、自分の声で目を覚ました。
「え…?」
見慣れた天井と、何も変わっていない自分の体。
思わず起き上がり、自分の体を確認したりこぶしを作っては開いてみたりする。
それくらい、現実的な夢だった。
「はぁ…夢…」
何も変わっていないことをきちんと確認して、ようやく鬼男は安心したように息を吐く。
「だい、おう…。」
思わず口に出して呼んでみれば、鬼男の胸に不安が走った。
大王は、ちゃんといるだろうか?ちゃんと、いつものように…
「っ…!」
鬼男は大急ぎで布団から出て、支度を始めた。
◇◇◇
「…おはよう、ございます。」
鬼男が出仕すると、閻魔はすでにいつもの位置に座っていた。
「おはよう、鬼男くん。珍しいね、俺より遅いなんて。」
「っ…」
いつもの位置で、いつものように笑いかけてくる閻魔の姿に、鬼男は無性に泣きたくなった。
「…鬼男くん?」
返事をしない鬼男を不思議に思ったのか、閻魔が名前を呼ぶ。
「っ、あ…すみません。ちょっと、寝坊を…してしまいまして。」
その声にはっとして、鬼男は慌てて返事をすると、何事もなかったように装って仕事を始める準備に取り掛かる。
「寝坊?あっ…もしかして、一昨日の夜の疲れがまだ抜けてない?」
鬼男が寝坊をするなんて、前日にそういうことをしたときに時々あるくらいだったので本当に珍しいと思い、閻魔はからかうように問いかけた。
「……」
姿も見たし大丈夫だと言い聞かせているのに、消える気配のない不安に捕らわれていた鬼男は、そんな閻魔の声も耳に届いていなかった。
「…鬼男くん。」
さすがにおかしいと思った閻魔は真剣な表情で立ち上がって、名前を呼ぶ。
「え…はい!何です…か?」
名前を呼ばれたと認識するまでに少し時間がかかって、返事をしながら振り返ると、閻魔は鬼男のすぐそばまで来ていた。
「どうしたの?何かあった?」
「っ…いえ、別に何も。」
閻魔が心配そうに問いかけるが、ただの夢だと言い聞かせている今、鬼男は内容を口にするのが怖くて目を逸らして返した。
「私の前で嘘を吐く気?」
閻魔が少し怒ったように問いかける。
「っ…」
口にしたら、現実になるんじゃないかという不安が渦巻きながらも、話して否定して欲しいという思いもわずかにあって。
鬼男は言葉に詰まった。
「鬼男くん…?」
「…夢を、見たんです。大王は、僕に別れを告げていて…僕は体が、消えていって。手を伸ばしても…声をかけても、アンタに全然、届かなくてっ…」
閻魔がもう一度鬼男に呼びかけると、鬼男は一瞬ためらうように視線をさ迷わせたが、次の瞬間には夢の内容を口にしていた。
思った以上に自分の声が震えていて、話しているうちに喉が締め付けられるような息苦しさと、目が熱くなる感覚が襲ってきて。
これ以上、話すことは出来なかった。
「鬼男くん。」
「っ!」
名前を呼ばれて、抱き寄せられた。
背中と頭に回った閻魔の手が、そこに自分がいるということを教えてくれる。
「大丈夫。君はここにいるよ。俺のそばで、俺の手の届く距離にいる。」
「っ…だい、お…」
耳元で安心させるように囁かれた言葉に、鬼男は思わず確かめるように背中に手を伸ばして名前を呼ぶ。
閻魔はぽん、ぽん…と鬼男の背を撫でて「それはただの夢だよ。」と告げた。
「…い、おう…だい、おう…っ!」
その動作に、言葉に、今度こそ本当に安心して、鬼男はすがりつくように閻魔を呼んだ。
感情とともにあふれ出した雫は止まることを知らなくて、次から次へと鬼男の頬を…閻魔の肩口を濡らしていく。
「鬼男くんは俺の大切な秘書で、恋人なんだから。どこかに行ったり消えたりするなんて、俺が許さない。」
ギュッと鬼男を強く抱きしめて、閻魔ははっきりと言った。
「ありがとう…ございます。」
いつだって…どこでだって、鬼男の中で閻魔の言葉は絶対で。
夢のことでこんなにも不安になったのは、例え夢の中だとしても閻魔に別れを告げられたからだということに鬼男は気づいた。
今、閻魔の存在とともに再びちゃんとそばにいていいと、恋人であると言ってもらっただけで不安は消え去ったのだから。
「僕はきっと、アンタに存在を否定されたらその通りに消えてしまうんでしょうね。」
思わず呟いた。
それくらい、閻魔の言葉の影響力は強い。
冥界だとか、閻魔大王だからとか、そんなのを抜きにしたって鬼男にとっては閻魔が全てとも言えるから。
「…言わないよ。言う理由も、必要もない。俺のことが、そんなに信じられない?」
「いえ。大王の存在が、僕の中ではかなり大きいということが言いたかったんですよ。あんたの言葉一つで、僕の感情はこんなにも揺れ動く。」
責めるように問いかける閻魔に、鬼男は首を横に振って答えた。
「じゃあ、ここで誓おうか。…鬼男くん、俺はずっと君から離れない。そして、俺から離れようと思う隙すら与えないくらい君を愛して、大切にする。」
「っ…」
目を逸らすこともなく、真っ直ぐに赤い瞳で鬼男を射抜いて誓いの言葉を紡ぐと閻魔は鬼男の唇に触れるだけのキスを送る。
「絶対、逃がさないよ?」
「…逃げる気も、ありませんけどね。」
唇を離して閻魔が言うと、鬼男は恥ずかしそうにそう返した。
【終】
――――――――――
書き終えて思ったこと。
こんな話、閻魔と鬼男が逆の状態で書いた気がする…www
本当はこんなシリアスじゃなくて、甘い話を書く予定だったのですがどうにも裏に行くのを止められそうになくて、急遽こっちにしました、
ごめんね!こんなのでよければ受け取ってください!!